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楽食探訪:“いつかは……”と思っていた「あんこう鍋」を初体験。

茨城県では、冬になると
あんこう鍋屋さんに行列ができるほどだという。

旬のあんこうを求めて、全国からやって来るというので、
どれほど美味しいものだろうかと、興味が沸騰していた。

僕も、いつかあの行列に並んでみようと、
近い将来を夢見ていた。

ある日、新聞の折り込みチラシを見ていたら、
「あんこう鍋セット」という文字を見つけた。

これだ!

茨城にはなかなか行けないので、家で食べればいい。
どんな魚なのかぐらいはわかるだろう。

よし、家でやってみよう! となった。

スーパーに行き、売り場で発見。

この量でこの値段は高いなぁ〜。
身は少しで、ほとんどがアラじゃないか。

と思ったものの、お試しだと考えれば、
安いのではないか。

迷わず買って、家で鍋の用意。

ネットで「あんこう鍋」のレシピを探し、
その中から、最大公約数的な作り方を引き出した。

粉末だしの素と醤油、
みりん風調味料があればできそうだ。

ただ、少し面倒なのは、あんこうの下処理が必要なこと。

塩を振り、しばらく置き、10秒ほどサッと茹でるか、
熱湯で湯引きした後、冷たい水で晒す。

こうした手間がすんごく嫌いな僕だけど、
初物のためには仕方がない。

白菜や白ねぎなど、適当な材料で鍋を作り、
最後にあんこうを投入して、火が通れば完成。

いよいよ初体験の時が。

パクリと口に入れると、
ほぉ〜ほぉ〜これがあんこうか、と一瞬だけ、
食べることができた感動があった。

でも、すぐに、なんじゃこりゃ?

淡白な白身魚の味。
クセがない。

少し弾力があり、噛んだ感じはカニのよう。

この程度のものなのか。

これを食べるために、行列に並んでいるのか。
う〜ん。

アラのまわりの残った身も食べてみる。

プニプニのゼラチン質。
やや強めの弾力。

味は……ない。
あるけど、表現するほどじゃない。

僕は、これを美味しいとは言えない。

たとえ作った人の前でも言えない。

誤解されては困るけど、
本当の魚好きには美味しいのだと思う。

僕は、握り寿司の魚以外では、
鯖、秋刀魚、鮭など、ややクセのある魚が好きなので、
白身魚は特徴がないと感じてしまう。

恐らくそのせいで、
あんこうを美味しいとは思えないのだろう。

“いつかは……”という夢は、達成されたと同時に、
儚くも消え去った。

もう食べることはないと思う。

でも、回転寿司店のあん肝の軍艦巻きは好きで、
よく食べている。

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