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【売れるマーケ】ありふれた町中華が生き残る理由。

なぜ、このお店は潰れないのか?
と、誰もが不思議に思うお店はたくさんあります。

私が独身時代にたまに寄っていた
中華屋さんもそのひとつ。

外観には特徴も無く、汚くはないものの古ぼけた感じで、
“わざわざ”行くようなお店ではありません。

マズくはない程度で、特に美味しいわけでもなく、
一押しメニューも無し。変わったメニューも無し。

しかし、夜はお客さまが結構入っていて、
長年営業を続けていました。

このお店が潰れない理由は「5つ」あるのではないか、
と私は考えます。

1つめは、場所です。

駅から住宅街に入るまでの中間にあり、
仕事帰りの独身が寄りやすい場所にありました。

「もうすぐ家」という“ホッとする位置”で、
食べた後すぐに帰ることができる、
という安心感があったのではないかと思います。

2つめは、ライバルの存在です。

お店のまわりをはじめ、
駅周辺にも中華のお店がありませんでした。

ライバルがいなければ、中華が食べたい時には、
このお店を利用することになります。

3つめは、特徴の無いごく普通の味です。

すごく美味しい料理は、印象には残りますが、
毎日食べると飽きてしまいます。

しかし、このお店の料理にはまったく特徴がありません。
まるで、家庭料理のような味のレベル。

さりとて、家庭料理を毎日食べているからといって、
飽きるようなことはありません。

食べていて、「安心できる味」とでも言うのでしょうか。

飽きないから、毎日でも立ち寄ることができるのです。

4つめは、テレビ。

古い飲食店ならよく見掛ける光景ですが、
テレビがあって、野球中継が流れていました。

独身の中年男性が、ビールと餃子を頼んで、
テレビを見ながら、
しばしホッとする時間を過ごすのです。

ビールが無くなると、
ご飯と一品もしくは炒飯を頼んで、夕食とします。

このパターンは、かなり多く見掛けました。

5つめは、漫画本。

汚れてきてはいるものの、
かなり多くの漫画本がありました。

こちらは、若い男性がよく読んでいました。

ご飯を食べながら、漫画を読む。
1冊読み終えると、帰って行きます。

また次の日、続きを読みます。

1冊読むと、続きを読みたくなるので、
しばらくはお店に通うことになります。

このように、男性ばかりではありますが、
“つい足が向いてしまう”お店なのです。

男たちにとって、ここはダイニングのような存在です。

自宅の居間でくつろぐ前に、
台所横のテーブルで食事をしているようなもの。

家に帰ったような安心感があり、
ホッとできる場所なのです。

このお店は、そんな“時間”を提供しているのです。

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