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ツールド福島211kmで勝つための体づくり②|食べもの以外のこと

スポーツ選手って、マジメだと思います。

何をいきなり?と思われるかもしれませんが、真実だと思います。

トレーニングはもちろんのこと、食事にリカバリー、ありとあらゆることを考え、できる限りの工夫をしています。裏を返せば自転車のこと以外考えていないということなんですけど。

基本、お菓子やジャンクフードは食べないし、ジュースも飲みません。(よね?みなさん!笑)早寝早起きだし、寝室でスマホをダラダラ見るなんてこともしません。(ですよね?みなさん!)

そう、食事やトレーニング以外にもやっていることはたくさんあります。

日常の細部にまで気を配ることで、生活の質を上げるんです。そのうえで、キツいトレーニング、リカバリーを繰り返し、レベルアップを図っていく。すべては、レースで結果を残すために、です。

トレーニングを除き、食べること以外に気を付けていることを幾つか紹介します。気になるところ、チェックしてみてください。

1.生活習慣の見直し

体づくりは食事の管理だけでは成り立ちません。1日24時間、生活のあらゆる場面でできることはたくさんあります。そして、それらを全てやります。

1つ1つは小さな変化かもしれませんが、積み重ねた時の威力は大きい。よく言われる1%成長の積み重ねというやつです。

元プロ自転車選手でMBA取得者のサー・デイブは、「わずかな改善の積み重ね(marginal gains)」の理論を自転車競技に適用した。競技に必要とされるあらゆる要素を噛み砕いて分析し、各要素を1%改善すれば、その積み重ねによってパフォーマンスを劇的に向上できると考えたのだ。

Eben Harrell. "最初から完璧さを追求しない、「1%の改善」が金メダルにつながる".
Harvard Business Review. 2016-02-04. https://dhbr.diamond.jp/articles/-/3980, (参照2023-01-12)

結果は既に出ています。

行動あるのみです。

① 規則正しい生活

これが本当に難しいんです。

嫁、子ども3人の5人家族なもんで、1年間継続して仕事と家庭とトレーニングを両立できるのはほぼ奇跡に近い所業です。

子どもが風邪をひいたり、夜泣きして寝れなかったり。泊まりの家族旅行だったり、友だちが泊まりに来たり。

家族のイベントに合わせてトレーニングを調整したりはするのですが、予定が重なったり自分も含めて家族の体調不良が重なってしまうと、それまで続けていたトレーニングがリセットされることもしばしば。

ただ、そんなことがあったとしても、めげずに再スタートし元のパフォーマンスをできる限り早く取り戻すようにしています。

平日、土日祝日関係なく規則正しい生活を送る。この理想に、できる限り近づけるように努力します。

② 早寝早起き 

規則正しい生活のためには、なんといっても早寝早起き。これが1番だと思います。ただこれがまた難しいわけ。ついダラダラテレビを見たり、スマホを見たりしがち。

なので、毎晩自問自答の日々です。朝早く起きて朝一のハードトレーニングをキメて、清々しい1日をスタートさせるのか。それとも、日も上がりきってダラダラとベッドから起き上がるか。自分で選んだ結果がその日の1日を決める。そう思ってできるだけ早く就寝するようにしています。

因みに早起きするための夜のルーティンですが、夕飯のあと21時前までは家族でテレビを見たりお楽しみの時間。21時になったら子どもたちは布団の中に。自分はニュースを一通り見て、遅くとも22時前には就寝。22時までに寝れば、どんなに遅くても5時前後には目が覚めます。

出勤のため自宅を出るのが8時前なので、2時間はトレーニングできるわけです。それだけできれば平日としては御の字。やっぱり早寝早起きするに限ります。

③ 残業しない

規則正しい生活は早寝早起きから。フルタイムワーカーの社会人としてこれを実現するためには、仕事からできるだけ早く帰ってくること。これが最優先事項になります。早く帰宅し、早くお風呂に入り、早く晩ご飯を済ませ、早く就寝する。一刻一秒を争います。

なので、イレギュラーな場合を除いて、残業は極力しないよう就業時間中はフルコミット。自転車関係なく職業人として当たり前の話ですが、油断していると結構ダラダラとしがちです。仕事術、時間術についてはまた別の機会に書きますが、就業時間中は仕事を効率的に進めるために様々な工夫をしています。

④ 質のよい睡眠を心がける

残業はせず、早く家に帰り、早くベッドに入っても、眠りの質が悪ければ元も子もありません。

(2024年1月現在)小学校3年生と1年生の娘たちは、それぞれの部屋で寝ていますが、今年4歳になる息子はまだ自分たち夫婦のベッドで寝ています。

夜泣きしたり、寝相が悪く蹴飛ばされたり、まだまだ夜も不安定なので、夜にぐっすり眠れる日の方がありがたいと感じる毎日です。

とは言え、そんな中でもできる限り質の良い睡眠ができるよう、部屋の中は暗くして、耳栓をして寝ています。枕は高過ぎず、睡眠中の体温が上がり過ぎないように室温に合わせて着る服もせいぜいシャツ1枚程度のもの。真冬の時期を除いては、基本生まれた時と同じ状態で眠るようにしています。(みなさんもそうですよね?

⑤ 昼寝をする

ようにしています。フルタイムのデスクワークで、基本座りっぱなしの仕事です。あまり良くありません。こまめに立って歩いたり、用を足しに席を立ったりしていますが、早朝のハードトレーニングの後では眠くなることもしばしば。

日中(特に午後)に、眠くなってしまわないよう可能な限り昼寝をします。昼寝の効果については今さらここで説明するまでもないと思いますが、5分でも10分でも横になって目を閉じ頭と体を休ませることに集中すると、頭もスッキリして午後の仕事も捗(はかど)ります。

⑥ 移動中も寝る

時もあります。

私、電車通勤なんです。片道30分の電車通勤。家から職場まではドアtoドアで約1時間です。(note執筆のための貴重な隙間時間です)

基本、席は空いてませんし、むしろ立って乗るように心がけているのですが、どうにも体が辛い時には、座れる時間を狙って乗車し、ちょっとでも寝るようにしています。少しだけでも目を閉じて(人目もはばからず口まで開けて)寝ることで、だいぶ回復すると実感します。

⑦ さらに寝る

のです。

疲れているんですねー。現代人は。

フランスでアマチュアクラブに所属しレースを走っていた頃、向こうのレースはよく午後スタートのレースがありまして。ゆっくり朝食をとって、お昼ご飯も食べてから移動、そしてレース、なんてことも結構ありました。

で、レース当日の午前中はフリーになることが多かったのですが、当時の監督からの指示は、「寝ろ」でした。

レースの前はできるだけ体を休めることに集中し、レースで一気に爆発させる、という方法を教わったわけです。

つまり、トレーニング以外の時間では、体が求める限りできるだけ体を休めることを意識しています。

時と場合が許せば、通勤の前や就業時間の前に寝ることもあります。昼休憩では、昼食より寝ることを優先させることもしばしばです。

毎日のトレーニングに家事育児、フルタイム勤務の社会人にとっては、いかに体を休ませて回復させるかが重要なので、ちょっとした隙間時間でも寝ることを心がけています。

2.記録をつける

トレーニングの記録、体重の記録、食事の記録などをこまめにつけるようにしています。体の変化や気になったことなど、ちょっとしたことでも記録することで、後で振り返ることができるようになります。過去のパターンに当てはめることが必ずしも正解ではありませんが、少なくとも、あの時どうしていたか(であれば今は何ができるのか)というように応用が可能になるのです。

ただ、記録することの習慣化は結構難しいと感じています。忙しい毎日に忙殺されて、結構すっぽかしたりしがちです。…ですが、できる限り記録をするようにしています。

因みに私の場合、記録は手帳に直筆で書いています。トレーニングのログなどはクラウド上に一瞬でアップロードされますし、より正確だと思います。

ただ、日々の体調の変化やログをとらないトレーニングの内容(筋トレだったりランニングでのメニューなど)は、記録していないと可視化できません。

一目でわかるようにしておくというのがミソで、1週間、1ヶ月ごとの進捗や成果を確認する上でも役立っていると感じています。

レースで勝つための体づくりに直接的に寄与するものではないかもしれませんが、目に見えて進捗と成果が確認できると、日々の生活の糧となり、継続するためのモチベーションになっていると実感します。

これから紹介する項目をすべて記録する必要はないかもしれませんが、いくつかでもやってみることをお勧めします。

① 就寝/起床時間

前の日に何時に寝て、何時に起きたか。つまり、睡眠が十分に取れているかを毎日確認するだけで、睡眠に対する意識が高まります。

また、トレーニングと休息の関係性についてもちょっとした変化に気づくようになるのです。

キツいトレーニングを行った日には、より早く就寝し睡眠の量も必要になってくるのに対し、軽い練習であれば短い時間でも質の良い睡眠で十分回復できる時もあります。

② 起床時(安静時)の心拍数

だから何だって話なんですが。レースばっかり走っていた時は、40bpm(毎分40拍)を下回る時もありましたが、今は50くらいでしょうか。

専門的な知識はありませんが、体調の良し悪し、疲労の具合を客観的に計るための一つの指標としています。

高いよりはひくいほうがいいかな、っていうくらいの感覚ですが、一応起床時には計るようにしています。

③体重

自転車選手的体重の計り方については先日の記事で解説しているので詳しくはこちらさをご覧ください。

体重は、基本毎日計っています。

とあうのも、人間の身体組成のうち、約60%が水分です。体重67kgの私で言えば、約40リットルが水分。

練習で流す汗や呼吸で排出される水分、食事や飲み水から摂取する水分の量、塩分摂取量次第では、いかようにも変化する数字です。

だからこそ、毎日計り、1週間、1ヶ月、半年、1年と言う単位でどう変化するかを記録しています。

④食事

食べたものを記録しています。

基本、水以外に摂取した食べ物や飲み物は全て記録します。間食で食べる果物やナッツ類、練習中に摂取した補給食もできるだけ記録しています。

この③と④は、いわゆるレコーディングダイエットに近いですね。というか、それそのもの。

まだまだ現役選手なので(…と自分では思っているので)体重を落とすことではなくてパフォーマンスを上げるための体づくりが目的ではありますが、にしても軽いに越したことはありません。

この方法で少しでも体重が抑えられるのであれば、ぜひ取り入れてみてはどうでしょうか?

⑤トレーニング

これは結構取り入れている人も多いのではないかと思います。

今ではクラウド上でのデータ管理が主流かと思いますが、自分の場合はデータに加えて手帳でも記録しています。

この項目の最初でも触れましたが、ログには残らない自分で設定したメニューは何だったのか、その時の体感はどうだったのか、など、自分の中で整理・消化するために手書きで残すようにしています。

そういうのも全部ひっくるめてデータで記録していくというのもいいとは思いますが、まあ、ここからはもう好き嫌いの話になってくるので。

⑥体調

日々の体調や、体の変化・感じ方は、記録していないと結構曖昧になるものです。ここはやはり記憶より記録です。

疲労感や調子の良し悪し、病気や怪我など、純中満帆とはいかないのが競技人生。

過去を振り返って、今に対する最適解を見つけるために参考にできるものの1つが、自分史、つまり記録です。

疲れた、しんどい、キツい、と一言だけの時もあれば、長文になることもしばしば。ノルマにはせず、思ったことや感じたことをただつらつらと書くだけです。

最近の記録から1つご紹介。

"まだほんのちょっとだけ咳と痰が。でも調子は良い"

一見矛盾しているように思いますが、それが実際の肌感覚。事実と感覚は時にズレることがあります。

年末年始に体調を崩して約2週間。普通に練習はできているし、体に力も入ります。ただ、気管支系の状態は98〜99%の回復率。あとほんの少しで万全の状態です。

なんてことも、記録していなければわかりませんし、後から振り返ることもできませんね。

⑦ 余談その1|機材

体づくりとは関係のない話ですが、記録の話なのでついでに。

チェーンを替えたとか、ワイヤーを新調したとか。タイヤ、バーテープなど、自転車に乗る人にとっては何だかんだと消耗品が多いのも泣かせどころです。

特にチェーンは、切れたりすることは稀なので、伸びたままでも結構そのまま乗ってしまいがちです(特に私のことです)。

なので、チェーンをはじめ消耗パーツは、交換した日を記録することで、次回交換時期の目安にしています。

⑧余談その2|行事やイベントなど、その日の出来事

体づくりとは関係のない話ですが、記録の話なのでついでに…その2です。

仕事や家族旅行など、毎日同じ生活リズムとはいかないものです。が、その変化の中で、無理をしたり、妥協をしたり、どのように調整・工夫したりするかが大事だと思います。

なので、練習を左右するイベントや記憶に残るその日の出来事はたまに書くようにしています。

土日の休みに1時間のランニングだけで終わっているのには、その日が仕事だったとか、雪が降っていて乗れなかったとか、それなりの理由があったりするものです。(夫婦喧嘩で練習どころではなかった…なんて記録も年に数回あったりなかったり

3. 鏡の前でポージング

どうぞどうぞ。ナルシストと呼んでくださって結構です。

でもです。

そもそも競技選手は見られてなんぼ。ロードレースだったら尚更です。

一度ジャージを脱げは、それはもう、筆舌に尽くし難い引き締まった体と筋肉美。汗と涙の結晶です。自分で酔いしれるくらいのご褒美があったっていいじゃないですか。

というのはここまでにして、実際自分の体を見ることで、自分の体が今どんな状態にあるのか、毎日確認するんです。

思うようにトレーニングができていなかったり、食事の管理を怠ってしまうと、たちまち体の表面に現れます。それを自分の目で見て、受け入れ、改善していくために、鏡の前に立つのです。

血管が浮き出ていれば、本当に絞れているのか、それとも前日の練習からのただの脱水なのか。水分や塩分が足りていないのか、体重と併せて確認するようにします。

毎日自分の体を見ることで、ちょったした変化に敏感になります。結果、毎日の微調整ができるようになるのです。

体づくりは1日にしてならず

当たり前の話ですが、目標を達成するにはそれ相応の努力と継続が必要です。

ちょっとしたことの積み重ねが本当に大事だと実感します。

生活習慣を見直したり、記録をつけたりしても、その日だけを見れば直接体づくりに効果があるわけではありません。むしろもしかしたら全く関係ないかもしれない。

でも、関係があるとかないとか、効果があるとかないとかというのは、誰にもわからないんです。どれか1つをしなかったからといって、結果は変わらないかもしれません。

しかし、できることを全てやって結果が出るのなら、それまでの過程が全て正解になるのだと思います。

間違った努力を続けることほど時間の無駄はないし、無意味なことはありませんが、まずは続けてやってみることでしか正解か不正解かの結果はわからないと思います。

まずは自分の信じることを続けること。
ここから始めようと思います。

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