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一度は読んで欲しい! |咀嚼《そしゃく》の話・・・・(中)

皆さん、こんにちは。
今日もこのサイトにご訪問いただきありがとうございます。

今回は前回のワイドショーを見ている途中に流れた男性の若者が丼ものかお茶漬けをものすごい勢いかきこむように食事をしていたCMの続きです。
前回は3500文字でありましたが、今回は結局6000文字近くなってしまいました。ということで三部構成になりました。今回は約3000文字です

お付き合いいただける範囲でお読みいただき、皆さんの生活に取り入れていただければ嬉しいです。

前回の投稿はこちらです。

前回は要約すると如何に日本の早食い文化(特に昼食)が醸成されるのか、そして早食いで咀嚼を疎かになることによって誤嚥性肺炎ごえんせいはいえんのリスクが高まることについて書きました。
誤嚥性肺炎の死亡者は累計のコロナやアルツハイマー死亡者よりも多いこともお伝えしました。

今回の纏め

恐らく全部読んでいただける殊勝な方は少ないかと思いますので、今回の纏めを先に書きたいと思います。

・「噛む」ことはただ食べるだけにあらず、栄養素を吸収するためには必要不可欠な道具です。
・咀嚼能力が高い人は健康寿命が長い
・口の衰え(=オーラルフレイル)になると死亡・要支援・要介護リスクがそうでない人と比較し2倍以上に高まる
・口の筋肉をを鍛える機会が減少している

ということです。それでは始めたいと思います。

そもそも咀嚼=噛む力とは何か?

本来はこの定義を最初にすべきであったかもしれませんが、噛む力とはただ歯を食いしばって噛むことだけではありせん。
食物を噛み砕き、すり潰し、唾液と混ざり合わせて塊にして飲み込みやすくすることも含めて「噛む力」です。
噛む力が衰ろえ、口周りの筋力・機能の低下は体を作るエネルギーの摂取に大きく影響を与えます。

つまり、

しっかり噛んでこそ高価で、体に優しい、栄養の高い、良質な食べ物も意味をなすということです。

咀嚼、嚥下と老化


ちょっと古いですが2012年の日本補綴歯科学会にほんほてつしかがっかいの121回のシンポジウムで

「咀嚼能力の向上は健康余命を延伸する」

という発表がなされています。難しい所もあるし真の解釈は一次情報に皆さんで確認していただくとして、私なりにサラッとまとめると以下の通りです。この論文ではまず、咀嚼能力として5段階に分けています。(判断はインタビュー形式での回答による)

5は 堅い食品をしっかり噛み切ることのできる筋力がないと噛めない、
 例:さきいか・たくあん 
4 は歯があるだけではなくある程度の力を入れないと噛めない食品である
 例:豚ももゆで・生にんじん・セロリ
3は歯がないと噛めない
 例:油揚げ・酢だこ・白菜の漬物・乾しぶどう 
 2 は歯のない顎でも噛める
 例:ご飯・林檎・つみれ・ゆでたアスパラガス
 1 は舌だけでもつぶせる食品
 例:バナナ・煮豆・コーンビーフ・ウエハース 
1未満 どの食品も噛み切れない 
 (1999 年日本大学「健康と生活に関する調査」より)

健康寿命の定義については、このアカウントでは何回か取り上げています。
指標としては主指標の「日常生活に制限のない期間の平均」と副指標である
「自分が健康であると自覚している期間の平均」があります。
ただこの調査では、入浴、食事、排泄などの日常生活動作7項目と買い物、食事、金銭管理7項目で一つでも困難な場合は健康寿命から外れ不健康な状態としたそうです。(詳細は後述のPDFをご参照ください)

その結果、以下の通り

咀嚼能力が高い人(5の人)の方が4以下の人よりも健康寿命が長い

ことが分かったそうです。

咀嚼能力 健康寿命

この論文ではこのように健康寿命が延伸する理由は,よく噛める人は摂取できる食品のバリエーションが大きく,多くの種類の食品を摂ることができ,吸収できる栄養素も豊富な種類を含んでいるため、食品多様性があるからではないかと推定しています。

下記のURLから確認することができます(PDFデータのためリンクが腫れませんでした)。コピー&ペーストでご覧ください。

https://hotetsu.com/s/doc/irai201211_006.pdf

オーラルフレイル

人は年齢を重ねて足腰の筋力が低下するのは一般的ですが、同様に年を重ねると前述の咀嚼能力等の口の衰えが出てきます。
これをオーラルフレイルと呼ぶのです。
このオーラルフレイルになると食べることは勿論、行うコミュニケーションにも支障が出てきます。
前項の「咀嚼能力の向上は健康余命を延伸する」を補う資料として、日本の地域在宅高齢者2000人を対象とした研究があります。以下の通り、オーラルフレイルの人は健康な人に比べて、死亡リスクが高まることや、要介護状態になりやすくなる、ということがわかっています。

フレイルと死亡リスク

咀嚼能力や嚥下能力の大切だが健康な老後を過ごすのに如何に大切か気づいていただけたでしょうか?

口の筋肉を鍛える機会も減少・・・

実は咀嚼能力が衰える理由は実は一口の噛む回数だけとは言えない面があります。
食べ物も全体的に柔らかいものが増えて、咀嚼力を必要としないものも増えています。

ラーメンがお好きな方も多いと思いますが、ラーメンやお蕎麦はしっかり噛まずともツルツルと喉へ運ばれ、飲みこみ(=嚥下えんげ)へと行きます。
どこでも長蛇のに列が出ているハンバーガーチェーン店で提供されるパテもバンズは柔らかくそんなに噛まなくても粉々になりますね。(フランスパンやドイツ等で食べられている硬いパンは別ですが・・・)

みんな大好きカレーライス!(私も大好き)ですが、ついついカレーライスも噛む事が疎かになり、カレーの水分でふやけたお米はスイスイと喉へと運ばれていきます。

お煎餅よりもケーキ、ゼリー、クッキー等、ほとんど噛まなくても食べられるおやつを食べる機会が多いでしょう。
焼き魚や煮魚が苦手な子供も多く、魚屋さんやスーパーではピンセットで骨を取り柔らかい身だけを販売していることが多いと思います。

このように柔らかい食べ物(=軟食)が増えて噛む機会が減少しているのです。

つまり口の筋肉を鍛える機会が減少しているというのも一因と言えます。

今回は以上で終わりたいと思います。


少しでも、噛むことの大切さや硬い物も食べることが重要であることが皆様に伝われば嬉しいです。

次回はいよいよこのシリーズの最終となります。是非とも、次の投稿も読んでいただければ嬉しいです。
また(上)もご覧になっていない方は読んでいただけると嬉しいです。


https://note.com/ifyls/n/n697ed49b94fa

こんな長文にも関わらず本日も最後までお付き合いいただきありがとうございました。

今日のサムネイルはAdobeStockから「噛む」子供の画像を使わせていただきました。ありがとうございます!

また次回の記事で会いましょう!

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