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早産児の絵画発達について、子どもの人物画から考える

先日、早産児(妊娠7か月、600g台で出生)末っ子の今後の学習方法や将来的な見通しについて、専門の医療機関に相談に行きました。

そこで、早産児特有の注意や情報処理・統合の問題などがあることを聞きました。そして、「ななめ」「重なる」の獲得が難しいことも。

その場で思わず「そうです」と大きく頷きました。
「三歳三角三輪車」と言いいますが(もう古い?)、小学3年になるまで三角は描けませんでした。なぜなら、「ななめ」の線がかけないから。三角は描けるようになりましたが「ななめ」がわかっているかは怪しいです。

学校での視力検査は口頭で方向を答えなければならないそうですが、ランドルト環(Cマーク)を「ななめ右上」などの微妙な方向に向けられたらおそらく答えるのは難しいでしょう。

視力検査はさておいて、そんなことを思い出していたら、ふと、絵画において「頭足人」から抜け出せないのも早産児の特徴のひとつなのかもと思ったのです。

小学3年生の初めまで、子どもの描くヒトは、顔から手と足が生える「頭足人」でした。

子どもの描いた頭足人(目と目の間にある線は「眼鏡」、口の下にある四角いものは「首」、手と足の先にある指らしきものは「爪」)※コピー、転載禁止(まず、ご連絡ください)

自分の頭・顔・首・体・足の位置は尋ねると、それぞれ示せていました。
頭足人になるのはボディイメージが確立していないからと言われますが、二次元に表したとき、自分の頭の中でヒトを投影したときの構成が上手くいかないといった情報処理過程の問題なのでしょうか。

「爪」を表現しているように、末梢の細部には注目できています。軸がしっかりしていない体幹や体を中心とした各パーツのつながりがあやふやなためでしょうか。

幼稚園の絵の時間には、先生がついて「頭の下に首、肩から手が出て、、、」と教えてくださっていたそうです。

しかし、この「頭足人」がある日突然成長を遂げます。

3日前までは頭足人を描いていた子どもの人物画(手足の先にある指らしきものは「爪」であることは変わらない)※コピー・転載禁止(まず、ご連絡ください)

「首」はないものの、胴体が現れ、胴体から手と足が生えている人物画を描いたのです。手足の先にある指らしきものが「爪」であることは変わりません。

何が子どもの中で変わったのでしょうか。突然胴体を描いたことに非常に驚きました。子どもの絵に胴体が描かれるようになってからは、人物画には必ず胴体が描かれています。「首」は今でもありません。

「胴体」を描こうと思ったのはなぜなのか、何がつながったのか、胴体が現れたことで子どものボディイメージは変わったのか、いまだに不思議に思います。

生活面でとくに変わったことはみられませんが「胴体」の認識が生まれたことで、子どもの中ですこしでも、生活のしやすさにつながっていたらなと思います。

※画像の無断コピー・転載禁止
何に使われたいかをご連絡いただけましたら、考慮のうえでお返事いたします。


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