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下肢装具を上手く活用するためには 〜各論2 両側金属支柱付きAFO〜

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両側金属支柱付きAFOの国内で処方されている数は、下肢装具のベスト5にはいります。


適応は、シューホーンブレイス(SHB)と同じく、膝関節の動揺(膝折れ・反張膝)、内反尖足を抑制したいケースです。
その他に、
・BRSはⅢ〜Ⅳレベル
・下肢のMAS(筋緊張)は1〜3
も目安になります。

そうなると、SHBとの使い分けが必要なので、比較しながら両側金属支柱付きAFOのメリット・デメリットを説明します。

メリットは
・プラスチックであるSHBより矯正力があること
・側方安定性がありラテラルソラスト等の前額面アライメントに対応しやすいこと
・足継手の調節が行えること
・治療用装具として両側金属支柱付きKAFOを購入すると、その後、ネジを外してカットダウンすることでそのままAFOとしても活用できること
・足継手の運動軸が、実際の足関節の運動軸を一致すること
等があります。

デメリットは
・プラスチックのSHBより重たいこと
・プラスチックAFOより分厚いため、靴に挿入しにくいこと
等があります。

費用は、80000円くらいです。

両側金属支柱付きAFOを処方されやすい対象者は、SHBでは矯正しきれない脳卒中の重症例であり、最終的(回復期病院の退院時)に歩行獲得を見据えているケースです。
処方される時期は、急性期または回復期の入院初期に、治療用装具として、両側金属支柱付きKAFOまたは両側金属支柱付きAFOが用いられることが多いです。
その後、回復期の入院後半(症状の変化が緩やかな時期)に、更生用装具として、両側金属支柱付きAFOよりも軽いSHBやオルトップAFO等を処方されることが多いです。
両側金属支柱付きAFOに考えられる他の対象者や処方する時期について知っている人はコメントください。

両側金属支柱付きAFO とSHBで迷った際には、両側金属支柱付きAFOが良いと考えます。装具本来の目的である矯正ができなければ意味がないためです。私の経験則ですが、筋緊張が高い症例で矯正を許していると、外来リハ等の生活期に再評価した際に筋緊張が増悪しているケースをみます。下肢装具の選定で迷った際にはややオーバーブレイス(下肢装具の矯正力で必要以上に止めてしまうこと)の方がよいと考えます。

しかし、筋緊張が高いからといって、なんでも下肢装具で矯正すると潜在的な身体機能を引き出せません。そのため、何かしらの環境(下肢装具による矯正でなければ、装具なくても筋緊張が抑制できる取り組み)で筋緊張の亢進を許してない日常生活を提供できるといいなと考えます。

底屈制限のある下肢装具を多用するうえでの注意点は、例えば本人の随意的な足関節背屈といった身体機能が改善しなくても、歩行は自立できることがあるため、裸足歩行の継続的な評価を軽視してしまうことです。
入院中に下肢装具を使用して屋内歩行が自立できた症例の次なるステップは「下肢装具を使用した状態で屋外歩行を自立する」なのか、「下肢装具を外しても筋緊張を抑制した状態での屋内歩行が行える」等、対象者のニーズに沿って目標を考えたいものです。

補足ですが「筋緊張が高くなるのに、下肢装具を外していいのですか?」と同職種・多職種から意見を頂くことがあります。
「屋内であれば装具外しても筋緊張が亢進しない策がありますよ」と、他職種や対象者にも直接見て理解頂ける取り組みがあればよいですね。

最後に、両側金属支柱付きAFOとSHBの両者の良い点を採用しているRAPS−AFO等、他にも様々な下肢装具がありますので、検討してみてくださいね!

次回は「オルトップAFO」について解説します!

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