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遊びから仕事への移行|手仕事の授業より

週に一度、小学4・6年生のクラスで、手仕事を教えています。

わたしは「手仕事を教えることの専門家」ではないのですが、「育てること」と「手仕事」には、それぞれ親しみを持っています。

(両者がつながる場所として、辛うじて立っている状況・・・。)

「育てること」と「手仕事」

このつなぎ目を、もっと解像度高めで捉えることができるように!

そんな願いから、手仕事教育の原点が示されている海外のテキストを、ちびちびと読み進めるようになりました。

参考にしているのは、こちらのテキストです。

◆前回の記事・・・バランス感覚を育む話

◆前々回の記事・・・手仕事における「色」の話

◆初回の記事・・・手仕事が呼び醒ますもの

今回は
「CHAPTER III handwork In the kIndergarten and In the First school years」(幼稚園と低学年の手仕事)を読んで感じたことをまとめます。

翻訳が目的ではないので、自分のことばでざっくりメモしていきますね!

本物みたいな人形と手づくりの人形

まずは幼児期の遊びについてです。

みなさんは、子どもの頃、どんなお人形遊びをしましたか?

わたしは子どもの頃、リカちゃん人形が好きでした。(バービー人形ではない)あんまりたくさんおもちゃは買ってもらえなかったので、少ないグッズで必死にやりくりしていましたね〜。

一緒にお布団で寝たり、肌身離さずお出かけに持っていくような”お人形さん”やぬいぐるみは、持っていなかったと記憶しています。あんまりファンシーなノリが少ない家庭でした。

シュタイナー幼児教育の現場ではどうでしょうか。(わたしの育った家庭とは違って)そのような既製品のおもちゃというのはほとんど見かけることがありません。教育者や保護者による手づくりのもの、自然に近いものばかり並んでいます。ウォルドルフ人形ってやつが代表的ですね。

既製品のつくりこまれたおもちゃ・お人形との違いは、子どもの想像力を掻き立てるものであること。どんな表情にも見えるように、どんな遊び方もできるように、わざと細部が作り込まれていなかったりします。

子どものファンタジーをのびのびと羽ばたかせたいのなら、最新技術で立派に作り込まれたおもちゃじゃなくて、下手でも自家製のボロ切れ人形でいこうよ!という考え方ですね。

シュタイナー教育はよくモンテッソーリ教育と比較されますが、両者の違いはこの辺りにあるような気がします。

遊びと仕事の違い

幼児の遊びでもう一つ特徴的なのは「ごっご遊び」「おままごと」ですよね。

小さい子たちは、大人の働きぶりをよ〜く見ています。その辺にあるおもちゃでお母さんごっこをはじめてみたならば、妙に仕草がそれっぽかったり、さもお母さんの言いそうな文句を捉えていたりすることがありますよね?笑わせられたり、ハッとさせられることがよくあります。

そう、子どもたちは”本気で”遊んでいるのです!大人の真似をすることで、遊ことを通して、何かを獲得したいのですね〜。

では、子どもの遊びと大人の仕事の決定的な違いはどこにあるでしょうか。

子どもの遊びは、内側から決まります。展開したいように、展開させるものです。でも、大人の仕事は、外側から決められます。外の世界の要求するものに応えるようにして、自分を動かします。

ちなみに、わたしは働くことがそんなに好きじゃないのですが(笑)もしかして、遊びから仕事への移行をしくじったのかもしれませんね〜。そんな気がしてなりません。

仕事度1からはじめよう!

そういうわけで、学校の仕事は、遊びから仕事へ、徐々に徐々に引き継いでいくことです。単なる遊びでもなく、明日からいきなり仕事をさせるのでもなく。

低学年から高学年にかけて、仕事度1をゆっくりゆっくり10まで引き上げていきます。あれ、仕事できちゃってた?仕事好き!働きたい!ってなってくれたら、万々歳。

手仕事の授業の場合、低学年は編み物をすることからはじめます。つくれるものはまだ素朴だとしても、目的と意味があるものを生み出すことが大切です。この時期の子どもたちはまだ、大人の仕事を真似をしたい衝動が残っていますから、意外とすんなり、編み物を習得してくれると思いますよ◎

わたしの授業の場合:めんどうでもやってよかったと思えたら

「移行をスムーズに」ということで、シュタイナー教育では、各学年ごとにこれをやると良いよってことがだいたい決まっています。

でも、わたしが働いているような小規模な学校は2〜3学年でひとまとまりの複式学級なので、なかなか、カリキュラム通りというわけにはいきません。高学年からの編入生も多く、既に仕事と名のつくものに抵抗感があったりして・・・課題の設定に迷うこともしばしばです。

そういう時は、目の前の子どもの状況を見て、自分が判断したものを優先します。何が正解かわかりませんが、ちょっと低学年寄りの内容にするとか、同じ課題でも慣れている子とは難易度をずらすとか。

草木染めの布と糸で。がんばった形跡!


先日はこんなことがありました。

編入生男子が、自分でつくった刺し子ふきんで手を拭きながらこう言うのです。「お〜、少しは役に立つものをつくれたわ!笑」と。

はじめたばかりの頃は「手仕事って何の意味があるんですかあ」「めんどくせぇ」とばかり言うヤツだったので、わたしは心底うれしかったです。

たぶん、今も手仕事はめんどくさくて嫌だと思いますが(笑)ちゃんと使えるものが作れたわい!と心の中で密かに思ってもらえるよう、あの手この手で授業を進めていきたいと思います。

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