感染症診療における「三方よし」
モンダイ:次の「患者」と「医師」の会話の中のマチガイを探してください
患者:カゼ引いたので早く良くなるように「抗生物質(抗菌薬)ください!」
医師:でも、「カゼ」に『抗生物質(抗菌薬)』は必要無いんですよ」
患者:この前のカゼの時にもらった、あの抗生物質(抗菌薬)『〇〇キサシン』よく効きましたよ
医師:(心の声:まあこの患者さん抗生物質(抗菌薬)出さないと、満足してくれなさそうだな・・・)それじゃあ、この前のカゼと同じ『〇〇キサシン』出しておきますね。お大事に・・・
上記の会話の中のマチガイ~読者の皆様にはおわかりですね!?
本日は「三方よし」のお話しです。
古から、近江商人はその経営哲学として「三方よし」という考え方を持っていたそうです。
「三方よし」とは、「売り手よし」、「買い手よし」、そして「世間よし」です。
商売は、「売り手」と「買い手」が満足すれば、それで成立してしまいます。
しかしながら、この三方よしでは、「世間よし」が加わる点が重要なのです。
それでは、「世間よし」とは?
この「世間よし」とは「社会貢献」のこととされています。
近江商人の「三方よし」の経営哲学では、「売り手」と「買い手」が満足するだけではなく、さらに社会貢献としての「世間よし」があって初めて商売はうまくいくと言っているようです。
この「三方よし」の考え方を常に念頭において「商売において『社会貢献』が重要」という思想・考え方が尊重されていれば、いわゆる「悪い商売」、例えば「金儲けに走る商売」や「自己中心的な商売」はできませんね。
それでは、この「三方よし」の考え方を「感染症診療」に当てはめてみるとどうなるでしょうか?
「売り手よし」は「医療提供者よし」、「買い手よし」は「患者の皆様よし」でよろしいでしょうか。
それでは、社会貢献となる「世間よし」は?
筆者が考える、感染症診療における「世間よし」には『社会貢献』の要素として、以下を考えることが必要なのではないかと想像いたします。
・薬剤耐性AMR問題
・医療費・コスト
・未来への想像力
感染症診療では、医療提供者が良しとし、患者の皆様が良くなる・納得する医療だけでは不十分。
さらに「世間よし」≒『社会貢献』の視点、薬剤耐性AMR、医療費・コスト、そして未来の世界に生きるであろう人々のことまで考えて「よし」と言える診療が、「望ましい・理想的な感染症診療」と言えるのかと思います。
本日の冒頭のモンダイのこたえ:患者の皆様の満足のみを考えて、抗生物質(抗菌薬)を処方してはダメ~「世間よし」の視点から、広く世間一般への社会貢献につながるかどうかの視点から考えることも重要
「感染症診療における三方よし」~読者の皆様はどのように考えますか?
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