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百冊で耕す(近藤康太郎)読書感想文

 読書法の本。ハウツー的な要素はもちろんあるのだけれど、読んでいて思ったのは、思想書でもあり、詩でもあるなあ、ということ。著者の熱い想いと、美しい文章に魅了された。
 
 感銘を受けた文章を引用する。

「読書はファッションである。かっこつけである。本棚はなりたい自分の姿、未来の自分への約束だ。読める読めないは別として、難しい本を買ってしまう。百冊本棚(※著者の造語)が、少しずつ充実したものに変わっていく。本棚の「つらがまえ」が変わる。それは自分が変わることを、直接的に意味する。」

 私はこの言葉に唆されて、居間に大きな本棚を置いた。ちょっと邪魔ではあるけれど、いつでも本と向き合えているのがとても心地よい。

 この本を読んで良かったのは、「体系的な読書」を心掛けられるようになったこと。それまで、なんとなく適当に選んだ本を読んでいたけれど、そうではなく、たとえば海外文学なら、まずヘミングウェイ、モーム、ドストエフスキーやトルストイなどの19~20世紀頃のものを読み、次に17~18世紀のボッカチオやゲーテに挑み、それが終わってはじめて現代の小説「小説の否定」であるプルーストやジョイスを読む。(※理由は割愛。本書を読んで)
 また、小説だけでなく哲学書や詩集などにも言及しており、今まで漠然と行なっていた「読書」という行為に、何か自分の中で道標のようなものが出来上がって、読書のレベルが別次元の段階へ進んだように感じる。
 とにもかくにも、この本に出会えて本当に良かった。
 
 姉妹本の「三行で撃つ」は文章術の本。こちらも目から鱗どころか魚肉がボロボロと零れ落ちた。文章を書くなら読んで損はない。というか読まなきゃ損。

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