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【日本アセアンセンター】日本ASEAN友好協力50周年を迎えて

平林総長メッセージ

日本アセアンセンター 事務総長
平林 国彦氏

「輝ける友情、輝ける機会」、新たなはじまり
 日本と東南アジア諸国連合(ASEAN)は50 年にわたり、「心と心の触れ合う信頼関係」と「対等なパートナーシップ」に基づき、友好と協力関係を育んできた。ASEAN は、ASEAN の中心性、統一性、地域構造に対する日本の継続的な支援を評価しており、これはASEAN+3、東アジア首脳会議、ASEAN 地域フォーラムなどのさまざまなASEAN 主導のメカニズムも同様だ。
 日本はASEAN が地域協力のハブとして機能し、より緊密に統合されることが、双方の安定と繁栄にとって重要であると捉える一方、ASEAN の持続的な平和、繁栄の共有および持続可能な開発を促進するための日本の継続的なコミットメントの重要性を認識している。本年、2023 年は日本ASEAN 友好協力50 周年で、日ASEAN 双方にとって、過去50年の成果と教訓を振り返り、次の半世紀に向けた将来の方向性を準備する特別な機会となるだろう。より

強固な橋を日本とASEANの人々の間に
 日本アセアンセンター(AJC) は、日本とASEAN 諸国との貿易、投資、観光の分野における双方のパートナーシップの強化と人物交流の促進を目的に1981 年に設立され、2021 年には40 周年を迎えた。協定に基づいて設置された国際機関としての信頼性と継続性を強みに、日本とASEAN 諸国との関係強化に貢献してきた。
 過去40 年の間に日本、ASEAN 地域、そして世界の状況は大きく変化し、デジタル変革など社会の利便性が向上する一方、偏狭な利己主義も顕在化している。ASEAN の経済規模を見ると、2020 年のASEAN の域内名目国内総
生産(GDP)総額は、およそ3 兆ドル(2020 年の平均為替レートで315 兆円)で、日本の2020 年の名目GDP のおよそ60%にあたる。ASEAN を一国とみなした場合、米国、中国、日本、ドイツに次いで、世界で第5 位だ(2010 年は世界9 位)。
 さらに、アジア開発銀行(ADB)によるASEANの2022 年のGDP 成長率予測 は4.9%、2023 年には5.2%だ。世界の成長センターとして、今後も高い潜在能力を維持すると予想される。このような時代の転換期において、私たちはこれまでにない発想で、自らの視野を広げ、得られる成果をより大きな波紋にしていくために工夫をこらし、組織・地域・国境を越えた結び付きをさらに強化していくことが、強く求められている。さらに、パンデミックからの復興と地域的な課題に対処するASEAN の取り組みをサポートすることが、AJC に対して、より一層求められている。

新たに掲げた中期戦略計画「AJC5.0」
 設立40 周年と日本ASEAN 友好協力50 周年という節目を迎えたAJC では、2022 年度に、「再考のための5 つの目標、5 つの戦略、5 つの機会」を掲げた中期戦略計画「AJC 5.0」を策定した。2022 ~25 年度の活動の礎となるAJC5.0 では、ASEAN 加盟国と日本の人々の最善の利益のために、特に零細・中小企業、サービスが十分でない地域、女性、若者に主眼を置く。また、これまでの教訓を生かしつつ、ASEAN 加盟国と日本の人々の新しくダイナミックなニーズを認識しながら、目的達成に集中し行動していく考えだ。
 日ASEAN 間の 貿易、投資、観光、人物交流におけるAJC の目標と戦略の強化を通じて、「ASEAN共同体ビジョン2025」と持続可能な開発目標(SDGs)における日ASEAN の共通課題の解決に貢献し、人間中心で、包摂的、持続的かつ強靭な社会への変化に向けて、地域の推進力となることを目指す。


輝け、ここからはじまる次の50年
日本ASEAN友好協力50周年特設サイトを開設

 2023 年に日本およびA S E A N諸国で実施される、日本ASEAN友好協力50周年の周年記念事業を紹介する特設サイトをローンチした。サイトでは、日本とASEAN諸国の人々をつなぐ懸け橋となって活躍されている方々を紹介する「The People of ASEAN-Japan」(毎月更新)や写真付きのお祝いメッ
セージを集めたコーナー「Happy ASEAN-Japan 50th!」もあり、年間を通して随時更新されていく。
 「The People of ASEAN-Japan」のコーナーでは、日本ASEAN友好協力50周年の正式ロゴをデザインした田邊真也さん(日本出身)、また正式キャッ
チフレーズの作者であるマーロン・ゲレーロさん(フィリピン出身)のインタビュー記事も掲載。両者が「日本ASEAN友好協力50周年ロゴマーク・キャッチフレーズコンテスト」に応募したきっかけや、作品に込めた思
いを知ることができる。
 また、AJCでは、日本とASEANの人々に参加を呼び掛け、一緒に50周年を盛り上げるキャンペーンも開催する。フォトキャンペー「GOLDENBRIDGE」は1月から6月にかけて、インスタグラムで開催する。テーマは2カ月ごとに変わり、各テーマの参加者の中から、抽選で日本ASEAN友好協力50周年記念グッズが贈呈される。さらに、各国のクリエイターがコラボレーションする日本ASEAN友好協力50周年記念動画制作キャンペーンも開催し、2 月以降、応募受付を開始する。課題を提示し、クリエイターにはそれぞれの解釈・表現で作品を制作、応募してもらう。入選作品は、日本とASEANの未来象を創るイメージムービーとして一つの動画に編集される。詳細は、特設サイトおよびインスタグラムにて随時発表予定。


ASEANまるわかり
楽しく学び、知る、ASEAN諸国の魅力

 楽しんでASEANについて学んでほしいという思いを込めて2022年にリニューアルされたASEANPEDIA(アセアンペディア)ウェブサイトは、ASEANやその加盟国の基礎情報の他に、世界遺産、レシピ、民族衣装、スポーツ、動物など親しみやすいトピックも掲載されている。また、日本とASEAN諸国の長年にわたる交流史年表や、貿易・投資・観光・人物交流をはじめ、さまざまな分野についての統計データを紹介するコラムなど、多様な側面からASEAN諸国についての情報を発信しているサイトだ。
 リニューアルに伴い、ASEANクイズや生まれた曜日で占うメコン占い、日本人の身近にあるASEAN諸国との関わりについて学べるショートアニメーション「ここにもそこにもASEAN」、駐日ASEAN各国大使館とともに制作した動画シリーズ「大使館で知る!ASEAN10カ国どんなところ?」が追加された。
 主に小学生・中学生・高校生を対象とした教材も提供しており、遊びながら学べるAJCオリジナルの「ASEANカルタ」や「ASEANぬりえ」も無料でダウンロードが可能。また、冊子版「ASEANPEDIA~ASEANまるわかり~」は、AJCの総合インフォメーションコーナーで無料配布している他、学生向けの訪問プログラムなどで配布している。


本記事掲載誌のご案内

本記事は国際開発ジャーナル1月号に掲載されています。
(電子版はこちらから


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