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「ICT施工監理」の開発を

「SHE(安全・衛生・環境)コンサルタント」育成も重要な課題に
ポストコロナのインフラ整備では、「密」を避ける視点から設計をはじめ工事プロセスのあり方も技術・手法的に大きく変わっていくはずだ。鍵はやはり、「ICT技術」の活用だろう。業界の動向を追うとともに、新しい整備プロセスのあり方を探った。(文責:企画営業部)

再渡航の動き、活発化
 開発コンサルタントやゼネコンをはじめ、国際協力事業関係者は徐々に海外のプロジェクト現場に戻りつつある。しかし、外務省や国際協力機構(JICA)からプロジェクト再開に向けた明確な指針が打ち出されない中、現場復帰は各社・団体の判断、つまり自己責任に委ねられている。
 再渡航に向けた条件としては、①医療施設・体制がある程度整っており、②現地までの航空便が確保されていること、さらに③中堅・若手のスタッフが主体、などが最低限の判断基準になっているようだ。①については各社とも現地の大使館やJICAの在外事務所などを通し、医療体制に関わる情報収集・確認に努めており、送り出す社員の健康・安全には相当神経を使っている状況だ。③の指摘も同じ文脈上にある。
 関係各社からは「ECMO(体外式膜型人工肺)の手配やICU(集中治療室)の確保が難しい現場には再渡航させない」(中堅ゼネコン)、「万一の場合に国外搬送できる体制がなければ社員は出せない」(ソフト系コンサルティ
ング企業)、「高齢の技術者は帰国、もしくは渡航させず、若い人材から早く現場に戻したい」(大手コンサルティング企業)との声が聞かれる。各社ともプロジェクトの早期再開を目指しながらも、なお慎重に判断せざるを得ない状況にあるようだ。
 現場復帰は航空便がある程度確保され、比較的感染が抑え込まれている東南アジアを中心に進んでおり、ベトナム、ミャンマー、カンボジアなどでは案件再開に向けて準備を加速させる社が増えている。アフリカについても、出張ベースを含めて現場に戻るゼネコン、メーカー、コンサルタント関係者
が目立っている。施工・施工監理上の業務目的が中心で、徐々にではあるがリモート・コントロールの限界も見えてきたと言えよう。
 アフリカの無償資金協力、円借款によるインフラ案件については、完全に止まっているもの、遠隔で現地のエンジニアを指導しながら施工前の準備作業を進めるもの、さらには現地のサブコンなどを通じて基礎工事に入っているものなど、案件ごとに状況は異なる。基礎工事の監理では、現地からデー
タ、写真、工事内容などの報告を送ってもらうとともに、必要に応じて現地とTV会議でつなぎ、適宜問題点の確認や進捗を図る手法が一般的だ。あるアフリカの道路整備プロジェクトでは、現地のサブコンが行った基礎工事に沈下部分が画像上で認められたため、急遽コンサルタントが現地に飛んだ事例などが報告されている。
 いずれにしても、施工前の準備段階や基礎作りまでは遠隔でマネジメント出来ても、構造物の施工など重要な段階に入れば、やはり現場に赴くことが求められる。現場に戻る日本人技術者が目立ってきていることは、遅れ気味だったアフリカのインフラ案件も本格再開に向け、動き出していることを
意味しよう。

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国際開発ジャーナル11月号 連載ポストコロナの第4弾○○協力ではインフラ整備に注目!経済活動や人々の生活を支えるインフラ整備に焦点を当て…

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