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国際協力に日本モデルの 概念化が必要

Special Interview
グローバルファンド(世界エイズ・結核・マラリア対策基金)
戦略・投資・効果局長
國井 修氏

感染症対策のヒト・モノ・カネ・技術の客観的評価から
新型コロナウイルスの感染拡大が続く一方、その影響が深刻化しているのが世界三大感染症だ。これらの対策を講じているグローバルファンド(世界エイズ・結核・マラリア対策基金)戦略・投資・効果局長の國井修氏に、現状と日本の国際保健協力への提言を聞いた。

7分の1に減った結核治療の報告
 新型コロナの感染者は2020年12月初めの段階で、世界で6,500万人を超え、死者は150万人以上に達した。私は8月に出版した著書『人類vs感染症 新型コロナウイルス 世界はどう闘っているのか』で、グローバルな視点
から解説し、緊急提言をした。ウイルスに各国はどう対処し、将来のパンデミックに人類はどう備えればいいのか、といった内容だ。
 グローバルファンドの本部があるスイスなど欧州では、天井が見えないほど感染再拡大があり、ロックダウン(都市封鎖)が続いている。第1波が小さく思えるほど第2波は大きく、イタリアのように死者も急増中の国もある。
 ただ、感染者数ではマラリアが年2億人以上で、はるかに多い。死者数では結核が年140万人以上いる。さらに、深刻なのは開発途上国の状況だ。グローバルファンドは世界100以上の国で、エイズ、結核、マラリアの世界三大感染症対策を支援し、2030年までの終焉を目指している。ところが、新
型コロナの感染拡大でその7割以上の国でロックダウンなど強硬措置がなされ、現地に治療薬を届けるのが遅れたり、ストップしたりする悪影響が出ているのだ。

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