見出し画像

【本日のコーヒー】ブラジルコーヒー 王者の歩み

コーヒー発祥の地から遠く離れた南米に、コーヒーの王者ブラジルは君臨している。現時点で世界シェアの3割、かつては半分以上を生産していた同国。その圧倒的な生産力で、全世界の愛好家や他国の生産者に大きな影響を与えている。コーヒー価格の震源地であり続けてきたブラジルの歩みを覗いてみたい。


巨大農園で大量生産

 サンパウロ市街地から車で1時間ほど走った場所に、コーヒーの港として有名なサントス港がある。そこに接岸した貨物船に、コーヒー豆を詰め込んだコンテナが大型クレーンで次々と載せられていく。コーヒー60kg入りの麻袋300袋分のコンテナが、年間で10万個以上も運び出されていく計算だ。
 ブラジルの強みは、各コーヒー農園の広大さにある。50haを超える大農園が数多くあり、中には山手線の内側に匹敵する巨大農園もある。そこでは小国一つ分の取れ高があるらしい。なお小規模な農園も多いと言われるが、あくまでもブラジル基準の話である。10haの農園ですら小規模農家と呼ばれることがあるが、世界的に見れば十分に大規模だ。
 雨季が明けた5月頃、同国にコーヒーの収穫期が訪れる。大農園において機械での収穫が行われる光景はブラジルらしいと感じる。10m近い高さの大型機械が、夜中にはライトで辺りを照らしながら24時間体制で稼働する。平らな農園にまっすぐ植えられたコーヒーの木に振動を加えて、成熟した実だけを収穫。そのまま乾燥させる他、一部では収穫した実を別の機械に投入して果皮と果肉を剥ぎ取り、中身だけを広大なスペースで乾燥させている。近代的な農業ビジネスという言葉がぴったりだ。

ここから先は

2,235字 / 3画像

¥ 100

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?