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i-constructionの手法を学ぶ

「安全・安心な」インフラ整備が一層重要に

コンサルティング事業統括本部 海外営業部長 田村 勤氏

「リモート施工監理」を模索
 コロナ禍の影響により渡航制限が続く中、当社は7月から9月にかけ約50人の社員を海外の現場に戻している。現在は一部家族を含めて約200人の社員が海外に滞在している状況だ。
 一方、当社は長年にわたり海外ネットワークの構築に注力してきており、各地に現地法人や事務所を設置している。例えばインドの子会社には約300人、ミャンマーでは約200人の現地スタッフが働いている。現地に派遣している限られた社員を軸に彼らと連携を図りながら、動かせるものは動かし
ていくという姿勢で案件に取り組んでいる。円借款事業では施主が「工事STOP」と言わない限り、動かざるを得ない。
 国際協力機構(JICA)の調査業務や無償資金協力については、3月から4月上旬にかけて従事する全社員を帰国させており、その後、国内作業で対応できる部分については人工(人月)を振り替え、「期待以下」ではあるが進捗を図っている状況だ。スキーム的に難しさを感じているのは円借款の準
備調査だ。特に環境調査などにおける住民説明会を、どう“密”にならない形で行っていくか。リモート方式は現実的に難しいだけに進捗の遅れを招く要因になっている。円借款事業本体への影響が非常に懸念されるところだ。2021年から23年にかけての新規円借款はかなり厳しくなると思う。
 加えて、施工監理のあり方も非常に重要な課題である。この部分は、いわば開発コンサルタントの“死角”になっていた問題とも言え、いみじくもコロナ禍が炙り出した形だ。ゼネコン各社は、コロナ禍以前からi-construction手法を施工現場に積極的に導入しており、技術者の高齢化や人手不足に対応し、無人化・省人化を進めてきた。施工監理についても5年後、10年後を見据えた時、その形は必ず変わってくる。

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国際開発ジャーナル11月号 連載ポストコロナの第4弾○○協力ではインフラ整備に注目!経済活動や人々の生活を支えるインフラ整備に焦点を当て…

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