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900人の赤ずきん(SFアイディアショートショート)NINE HUNDRED AKAZUKIN

(書いててものすごく眠いから、明日、起きた時になんじゃこりゃとなるかもしれない。自分で書いたの読んで疲れた。笑)

本多(おれ)はさっきから、童話の赤ずきんを、面白おかしいパロディにできないかな?と頭をひねっています。

頭をひねくっていたら、腸ねん転ならぬ、脳ねん転を惹き起こしたらしい。しかも、これがメビウスの輪を描いていたために、赤ずきんの童話が合わせ鏡のような、無限の入れ子構造になって見えてきたのだ。

巻物に書かれた赤ずきんの童話を伸ばして、これでメビウスの輪を作ってみたら。


赤すぎんのメビウスの輪

ロシア民芸品のマトリョーシカは、赤ずきんみたいなデザインをしているけど、あれも思い出していただけると、いいかもしれません。


作者不在のストーリーを書くのが得意なわけではないし、僕と対話しながら「無限∞赤ずきん」の話をすすめていきましょう。

赤ずきんの童話なんだけど、そんなのありえないよ、おかしいよ、と思うことがある。

童話では狼が、お祖母ちゃんと、しまいには赤ずきんまで丸呑みしてしまいます。いくら狼の口が大きいからって、いくら狼の皮膚や消化管が強靭でよく伸びるからってちょっと考えられない。胃袋が膨張しすぎて、きっと、あばら骨が全部へし折れるし、呑み込まれた人たちが無傷で、無事なのもおかしい。

狼が、人間を二人丸呑みしても平気ということは、赤ずきんだって狼を一匹丸呑みすることくらい、わけがないはずである。

物語では、赤ずきんちゃんが、病気のお祖母ちゃんをお見舞いします。お祖母ちゃんは、すでにオオカミ(A)に呑み込まれているから、ベッドで蒲団をかぶって、赤ずきんちゃんを迎えるのは、お祖母ちゃんに変装したオオカミ(A)。

ここまではみんなもよく知っている童話の通りだけど、ここからメビウスの輪の無限効果を使うと、面白いことになる。

赤ずきんちゃんは森のお祖母ちゃんの家に向かう道中、繁みでぐーぐーとイビキをかいているオオカミ(B)を見つけ、耐えがたい空腹に襲われた。

↑おれが赤ずきんの童話の書かれた巻物でメビウスの輪を作ったから、物語の展開や、キャラクターの性質に変異が生じたのである。メビウスの無限効果は、赤ずきんに無限の食欲を与えた。

森の繁みのオオカミ(B)はお腹をぱんぱんに膨らませており、お腹いっぱいで寝ているようだ。

赤ずきんちゃんの空腹は、牛一頭を丸吞みしてもお腹ペコペコというくらいの飢餓感だった。彼女は、マンガ的にオオカミ(B)をペロリと呑んだ。オオカミ(B)はぐーぐー気持ちよく寝ているから目を覚まして、赤ずきんちゃんのお腹の中でジタバタ暴れたりはしない。

空腹も一応は満たされ、お祖母ちゃんの家にやって来た赤ずきんちゃん。童話だとここで、お祖母さんに化けたオオカミに、赤ずきんは食べられてしまいます。

この、無限赤ずきんでも同様。赤ずきんちゃんはオオカミに食べられてしまいました。

しかしここで、ちょっと待った。

オオカミ(A)は、お祖母ちゃんと、赤ずきんを飲み込みます。しかし、赤ずきんが森でオオカミ(B)を飲み込んでいるから、オオカミ(A)のお腹の中には、お祖母ちゃん、赤ずきん、オオカミ(B)が入っていることになる!

しかも、森の茂みでぐーぐー寝ていたオオカミ(B)はお腹をパンパンに膨らませていたけど、何を食べてお腹いっぱいだったの?

オオカミ(B)はお祖母ちゃん(B)と、赤ずきん(B)を食べて満腹だったのだ。笑

ということは、オオカミ(A)のお腹の中には、お祖母ちゃん、赤ずきん、オオカミ(B)、お祖母ちゃん(B)、赤ずきん(B)が入っているじゃないか!!

そして、どうやら赤ずきん(B)も、猛烈で差し迫った飢餓感に突如襲われ、森でオオカミ(C)を食べた。オオカミ(C)も、お祖母ちゃん(C)と、赤ずきん(C)を食べたらしく、、、、、、。これが永久にどこまでもつづく。笑

お祖母ちゃんの家で、入れ子構造の一番外側(現時点で一番外側ということ?)のオオカミ(A)が、お祖母ちゃんと、赤ずきんを丸呑みして、ふとんをかぶってベッドでガーガー大いびきをかいている。

ここで、本多(おれ)はメビウスの輪を解いた。しかし巻物には癖がついてしまい、紙は完全に真っすぐにはならずに、どうしてもカールしてひん曲がってしまう。

オオカミ(A)を追ってお祖母ちゃんの家に猟師がやって来た。彼はオオカミ(A)が赤ずきんを食べる一部始終を目撃していた。猟銃でズドンとオオカミを撃ち殺したら、中の赤ずきんまで殺しかねない。

猟師は鋭利なハサミで寝ているオオカミのお腹をジョキジョキと切った。

中からお祖母ちゃんと、赤ずきんが無事な姿で生還した。

赤ずきんは、メビウスの無限効果で生じた無限の食欲から、オオカミを丸呑みしたが、メビウスの輪を解いて貪欲な食欲から解放されたものの、覆水盆に返らず。物語の、展開の変わってしまった箇所はそのまんま。

赤ずきんは無限の食欲から解放された途端に、少女がオオカミを丸呑みするなんてさすがに食べ過ぎだから、お腹がパンパンで痛くて吐き気がした。赤ずきんの性質は元の童話の小食で華奢な少女に戻ったが、オオカミを呑み込んだ事実は変わらなかった。猟師が猟銃の銃尾でコンコンと赤ずきんの背中を叩くと、ボエエエエエとオオカミ(B)を吐き出した。

猟師がオオカミ(B)のお腹をまたジョキジョキ切って、赤ずきん(B)とお祖母ちゃん(B)を救出して、赤ずきん(B)の背中をコンコンとやって、ボエエエエエとまたオオカミ(C)を吐き出して、、、、。

これをえんえんと繰り返しているが、900人のお祖母ちゃん、900人の赤ずきん、900のオオカミの毛皮になっても、まだ終わりが見えない。

(訴訟では当事者を原告X、被告Yなどとします。「無限赤ずきん」にもオオカミB、オオカミC、赤ずきんBなど出てきますが、やがて900人の赤ずきんになるから、ABCを使いきってしまいます。こうなったら多数当事者訴訟のように赤ずきんX1、赤ずきんX2、赤ずきんX3、、、、、赤ずきんX900とするしかありませんね。笑)


赤ずきんとお祖母さんを無限に増やせることに気がついたら、読んだことないけどR・A・ラファティ「九百人のお祖母さん」というSFのタイトルを思い出した。900人の赤ずきんと、900人のお祖母さんにすることで、ストーリーにSFパロディの要素を強引にくっつけてやりました!!笑 1000人の赤ずきんと、キリのいい数字にしなかったのは、こういう理由です。笑 ところで、どんな話だろうね。面白そうだよね。








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