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#6 音楽は嘘をつけない。建物もそう。 | 音の建築 -空間にはすでに音がある-

表参道ヒルズ、東京銀座資生堂ビル、グランフロント大阪、電通ビル、愛知万博、浜名湖花博…多数の空間や建築を「音」の切り口からプロデュースしてきた井出 祐昭。音と建築について、その極意をお話します。

前回は「そもそも本当に音がいるのか?」をテーマに、加える判断と加えない判断についてお話しました。

今日のテーマは「音楽は嘘をつけない。建築もそう」。
さあ、いったいどんなお話でしょう。


音楽は嘘をつけない?

ミュージシャンや音楽家って、嘘ついてやっててもバレバレみたいなところがあります。音楽だけは絶対嘘がつけないんです。

どういうことかというと、音楽が外に出たとたん、素っ裸で外出ちゃうのと一緒なくらい、見る人が見るとバレているんです。
特に演奏なんかは、上手く弾こうと思っていても、飾りでしかない。私たちはそこを見ている訳じゃない。その人から出いるものを感じています。

これを見抜くのは特殊な能力というわけではありません。「なんか嘘っぽいじゃん」という感性って誰にでもありますよね。それに近いです。
専門性があるとすれば、「ちょっと奥をみれる」というところ。どこまで深くみれるかどうかが、プロかどうか、かもしれないですね。

音楽的な建築

ごまかしの効く今の世の中では、「嘘がつけない」って、むしろ結構正常だと思っています。
音楽なんてやっても意味がないように言われがちですが、むしろ「音楽的に」全部やっていったら、色んな事が上手くいくと思います。
例えば、音楽的な政治とか。

建築もそうです。初回からずっと一貫していますが、表面の飾りの部分ではない、重心のようなものがどんなものにもあります。

香水はつけない

前回の「そもそも音がいるのか?」という話でいうと、例えば薄いBGMを流すというのは、空間の重心を見破れずに「香水で雰囲気をごまかす」ことに近いかもしれません。
華やかな役目は確かにありますが、長くは続かない。

その空間の言いたいことがもっとある。
出たがっている本来のエネルギーが表出できれば、嘘っぽいものをまとう必要なんてないんです。

あとは技術

実際に表現する段階に行くと、数学的な所にぱっと切り替えます。
具体的なお話は次回をお楽しみに。


嘘の対局にありそうな、「誓いの日の音楽集」をどうぞ



井出 祐昭 HIROAKI IDE
サウンド・スペース・コンポーザーSound Space Composer

ヤマハ株式会社チーフプロデューサーを経て、2001年有限会社エル・プロデュースを設立。最先端技術を駆使し、音楽制作、音響デザイン、音場創成を総合的にプロデュースすることにより様々なエネルギー空間を創り出す「サウンド・スペース・コンポーズ」の新分野を確立。
主な作品として、30周年を迎えるJR新宿・渋谷駅発車ベル、愛知万博、上海万博、浜名湖花博、表参道ヒルズ、グランフロント大阪、東京銀座資生堂ビル、TOYOTA i-REALコンテンツ、TOYOTA Concept-愛i、SHARP AQUOS、立川シネマシティ、世界デザイン博など。
またアメリカ最大のがんセンターMD Anderson Cancer Centerで音楽療法の臨床研究を行う他、科学と音楽の融合に取り組んでいる。最近では、日本ロレアルと共同で髪や肌の健康状態を音で伝える技術を開発。米フロリダ州にて行われた化粧品業界のオリンピックである第29回IFSCC世界大会、PR分野の世界大会であるESOMAR 2017にてグランプリを受賞。メディア出演・講演多数。

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