#5 本当に音が必要か? | 音の建築 -空間にはすでに音がある-
前回は「結晶化されたひとこと」で如何に現場と共有し、初志貫徹できるかをお話しました。
今日のテーマは、「そもそも本当に音がいるのか?」。実は音を加えることをやめる判断もしょっちゅうしています。
音を出さない判断
綺麗な騒音
まず、空間には騒音がありますね。実は綺麗な騒音というのがあります。
そのものが出来ちゃってる。極論すれば、そのまま自然に行っちゃえば、そこで音の世界が出来あがっている、という状態です。
シリーズのサブタイトル「空間には既に音がある」に通じる考えです。
音を出さない、やめるというのも一つの大事な判断。結構あります。
BGMの薄い雰囲気で安心しない
なんでもBGMつけちゃう、とかはよくないなと思います。薄い雰囲気はできるから、安心はできるんですけどね。
いっそ無くしてみると、スカーンと開けたような気持ちの良い感じがすることがあります。それでいいんです。
音を加える判断
団子状態
あえて色んな音の中にもっと音をぶち込んで団子状態にすると、飽和状態になってエネルギーを持つこともあります。
ゲームセンターで何かしてくださいっていう話なら、団子状態にした方が面白い。
(自分はそんなに得意じゃないけど)
精神世界をあえて音でつくるタイプ
天才型の建築家は、空間とは違うファクターでエネルギーをつくるということもします。特に精神的なものは音でやったほうがいいから、あえて「加えてください」と言う依頼もあります。薄い所は魂を入れると。
ただ、徐々に時間と共に色々なものが変わってくるので、当初のものがずっとあるということはないけど…それでもコアがのこるから、そういうものなのかな。
自分の考えで付け加えない
無くすのも飽和状態にするのも、どっちでもいいんだけど、要は「その場所が持ってるエネルギーが出てるわ」という感じにするのが一番いい。
やはり「重心みたいなもの」があるんですよね。エネルギーの重心がどんなものか。そこから発展するものをやって行けば間違いないと思います。
初回からお話している、空間が既に持っているものを感じ取るという話に繋がるわけですね。
次回は、「音楽は嘘を付けない。建物もそう。」
本質を見抜く、ややプロデューサー的な視点の話を深堀します。
そこはかとない、さりげない幸せを感じる音楽をご紹介
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