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高1の妹

6月24日、くうが16歳になった。


私はとにかく動物が大好きなこどもだった。
犬か猫と暮らしたかったけれど、賃貸だったのもあってその夢はなかなか叶わず、バッタ・カブトムシ・金魚・めだかなど、できるだけ世話のかからない命(母にとって)を飼うことでその欲求を満たしていた。

それでも道に野良猫がいれば近寄って撫でまわしたし、祖母の友人の家にいた中型犬のブッチを自分の子のように愛したし、両親への犬猫がほしいアピールを何年も続けた。


そんな我が家に転機がやってきた。
両親がマイホームを建てたのだ。マイホームを建てて浮かれたのか、次は犬かな〜の雰囲気になった。

柴犬を迎え入れたかった私たちは、ブリーダーを調べたり週末にはペットショップを見て回りはじめた。

(ペットショップがあったから出会えた命だから文句言えた立場じゃないけど、大人になった私はペットショップ運営に反対で、法律がかわることを強く望んでいます。)



2004年 9月5日 日曜日。


その日、たまたま入ったペットショップでかわいい仔犬たちを眺めていた。

うちは両親ともに猫と育ち、犬と暮らした経験がなかった。
店員さんは、「柴犬を育てるのは未経験者には難しいです。初心者には小型犬のほうが育てやすいと思いますけど、この子とか抱いてみますか?」


そこで抱っこをさせてもらったのが、くう。
生後2ヶ月半のミニチュアダックスフンドの女の子。
13歳の私の腕半分に収まるほどちいさい。かわいくてかわいくて仕方がなくて、私たちはその場で、この子を連れて帰ることにした。一瞬の、だけど運命的な出来事だった。


新しい家族を迎え入れるための道具をすべて揃え、家に帰る。
道中で、小さな箱の中から「くぅーん、くぅーん」と鳴くその小さな愛しい命をくうと名付けた。


その晩、しあわせに満ちた私たちが晩ご飯にしゃぶしゃぶを囲んでいるとき、紀伊半島南東沖地震が起きた。大阪でも震度4はあったので結構な揺れで、私は瞬時に横のゲージにいるくうを抱き上げ、父は鍋の火を消し、妹は泣いた。

そんな、忘れられない一日だった。




愛おしくて仕方のない我が妹は、今日16歳になった。

わたしたちの生活に数え切れない笑顔をもたらし、まっすぐに愛を与え続けてくれている。彼女の存在が、わたしたちの人生を何倍も色鮮やかにする。


今日も元気におしりフリフリ歩いて、いっぱい食べて、いっぱい寝よう。
今日はケーキ買ってくるからね。毎年恒例、晩ご飯は缶詰で。

これからも元気で、ゆっくり年をとっていこうね。
大好きよ。



うれしいです。がんばります。