GIGAスクールが始まって気づくあれこれ(その3)

ブラウザベースのツール

 その2で,ツールが重要であるという話をしたが,クラウドベースのGIGA端末だからこそ,ブラウザでの利用が基本となる。では,ブラウザを起動したら,一番はじめのページ,いわゆるスタートページに,何が表示されているだろうか。まさかとは思うが,家庭用と同じスタートページ(PCメーカーのサイトや各OSメーカーのポータル)になっていることはないだろうか。ここは一般的なポータル画面だったりすることは避けたい。

毎朝何をする?

 学校に来て,ランドセルを降ろし,教科書やノートを机の中に入れたら,教室の端末庫から,自分の端末を取り出し,まず起動する。そして,ブラウザ上のアプリで何をするか,である。
 ニュースサイトから,ニュースを見るのもいいだろうが,興味のない子にとっては,せいぜい写真を見るくらいで終わってしまう。おそらくそのうち見なくなる。そうではなくて,毎日何かを入力したり,何かの指示を見たりするようなことができる仕組みが必要である。では,小学生が毎朝GIGA端末で行うことって,何だろうか。そこを考えることが先決である。

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 たとえば,毎日の気分を朝と帰りに入力し,その子の心理的安定度を測り,保健的,生徒指導的なデータとして活かすといった実践がある。毎日の子供達の人間関係を見ていき,学校での子供達のすごしやすさや,解決すべき課題を早めに見つけるなど,成果を上げている。
 こういったことを行うと,朝と帰りに必ず利用する習慣となる。授業中に利用する呼び水となるはずである。さらにこれらのデータは,瞬時に養護教諭や管理職等も共有されるため,直接声をかける前段階としての利用ができる。

ドリルとして利用

 さて,次は,朝のドリルの時間での利用である。これは一番分かりやすいと思うが,各自の理解度,進度によって,漢字や計算ドリルを,端末上でやっていく。紙がいいとか悪いとかという議論は,発達段階や用途によって,異なるだろうから,一律にその是非を議論しても,結論は出ないので,その話は置いておく。
 むしろ,電子ドリル化し,個別に取り組みながら,その子に応じた問題がでてくることに,何が問題があるのか。瞬時に採点され,傾向が明らかとなり,一人一人が,より伸びていくための手法により,学習に対する充足感が得られれば,それは大きな意味を持つはずである。また,なにより一人の担任が採点するよりは,はるかに早く結果を示せる。もちろん教師の負担も減り,本当に支援の必要な子供への丁寧な指導へとつながる。

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 そして,自分の取り組みの進度や成果などをマイページから確認でき,客観的に,自分のめあてが見えるようになることも,これらのメリットである。
 これまでこのような仕組みは存在したが,自分持ちの端末からのアクセスするという部分では,より現実的になるはずである。教育分野のDXの第一歩であると思うが。

授業が始まりました

 いよいよ1時間目がはじまる。今日は国語だ。さて,どの部分にGIGA端末の出番があるだろうか。国語の授業といっても,その活動は様々であるが,内容も多岐にわたる。少し羅列してみると,
・新出漢字
・音読
・視写
・ことばの用法
・漢字の組み立て
・物語の読み方
・説明文の読み方
・作文
・・・・と,たくさんの活動に分かれている。新出漢字については,部首を確認したり,実際の使い方を練習したりするが,なによりいろいろな読み方ができたり,鉛筆を使って,新しい漢字を書くことができたりするようにならなければならない。これまで,新出漢字が書けるようになることと,タブレットの画面を使って練習することとの違いを調べた結果は,・・・・・・・
 では,実際にどのような場面でGIGA端末のツールを利用したか見てみると,次のようになる。
 いずれも,各自が書いたメモのようなものを教師が集め,それらを分類したり,代表作品を提示したりして,みんなの学習に利用するというスタイルである。
 例えば,
・物語を読んだあとの感想
・新しく習った接続詞を使った例文づくり
・音読した様子を各自がビデオに撮る
・テスト問題を写真に撮る
・ノートに書いた振り返りを写真に撮る
といった,個々の意見を集約したり,具体物の写真を撮影するなど,自分の学習の記録としても利用する。さらに,それらを教師があとでゆっくり見ながら評価に活かすこともできる。

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国語に限ったことではない

 実は気づいていると思うが,ここでの利用事例は,国語に特化したものではない。どの教科でも,ほぼ同じ事ができる。むしろ,同じような使い方で事足りると言ってよい。

 そうなると,他の教科や領域で使うには,どうするのと言う話になるが,教科等に特化した使い方をあれこれ紹介するのは,本当に有益なのだろうかと思う。

その4に続く

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