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村上春樹にハマるかどうかの分水嶺。ねじまき鳥クロニクルを英語版wikiで読む #8

"The Birdcatcher", the third, final, and lengthiest part, ties up most loose ends while introducing a few new characters.

いよいよ第3章!これでいよいよプロット・サマリーの終わりがみえてきました。
ties up
結びつける 企業と「タイアップ」というときのあれです。

loose ends
やり残されている
tie up (the) loose endsで やり残した仕事をする という表現になるみたいです。

Introduce
紹介する

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第3章"The Birdcatcher"は最後で最も長いパートです。この章ではほとんどのやり残されていたことをします。(伏線回収?)新しいキャラクターを紹介しながら。

また、この「The Birdcatcher」編 日本語では「鳥刺し男」編となっています。
モーツァルトのオペラ「魔笛」のパパゲーノという登場人物から題がとられているみたいです。ちなみに僕は恥ずかしながら魔笛を全くしらないので、パパゲーノとスパゲッティーニとペペロンチーノの違いもよくわかっていません。


The well-dressed woman Toru met while people-watching is revealed to be Nutmeg, whom he sees again when he reverts to people-watching.

revert
戻る 元の場所にぐるりともどるイメージ。踵を返す的な。

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人間観察を再びしていると、身なりの良い女性に再び会い、彼女が「ナツメグ」だと明かされます。

まぁ実際は「実はナツメグでした!」と明かされるというよりは「名前?そんなの必要かしら?そうね、じゃあナツメグで」みたいなノリで決まった仮名だったはずです。
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She hires him to relieve clients, middle-aged or older women, of some kind of inner turmoil that develops inside of them.

hire
雇う イギリスでは借りるという意味で使うみたいです。日本だとなんかタクシーとなにがちゃうねん?的なあいつですよね。


ハイヤー(和製英語: hire)は、営業所・車庫などを拠点に利用客の要請に応じて配車に応じる自動車のことをいう。

relieve
安心させる reliefは「救済」という意味。リリーフピッチャーのあれです。

inner turmoil
内なる混乱。とGoogle先生は訳してくれます。turmoilはざわついているイメージです。

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develop
成長させる→発展させる みたいなイメージ。そのときによって「成長する」「発展する」「開発する」「伸ばす」などいい感じの和訳をもってくる感じですかね。

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ナツメグは、クライアントである中年女性の心のざわつきを安心させるためにトオルを雇います。

トオルには女性を癒やす不思議な力があるみたいです。
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The blue mark is involved in this somehow, though its power is never fully explained.

somehow
なんかしらんけど とラフな感じで訳してます。

though
にもかかわらず

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顔の青いあざがなんかしらんけど関与しいる、にもかかわらず、その力は完全に説明されることはありません。

これはもう、村上春樹あるあるなんです。わざわざすべてを説明するような野暮なことはしないんです。
ほら、目に見えない影の部分に日本の美はある、と谷崎潤一郎の「陰翳礼讃」に書かれているでしょう?村上春樹は「海外作家かぶれ」みたいな不当なイメージがあったりなかったりしますが、よく読むと、とても日本的な美意識を持っています。
そして、この抽象性を受け入れられるかどうかが、村上春樹を好きになれる分水嶺だったりします。
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In return, Toru receives pay and partial possession of the abandoned house that had been purchased to resell by some property agency.

In return
その見返りに。なんだかふるさと納税を想起させる表現ですね。

partial
一部分 最近の冷蔵庫には「パーシャル室」なんて便利な機能があるみたいですね。partial freezing 部分的に凍っている→少し凍っててすぐ解凍できまっせ!という機能みたいです。便利な世の中ですね。やれやれ。(そんないい冷蔵庫つかったことない笑)

possession
所有

purchase
購入する buy → 買う! purchase  → 購入する。 なんかノリが違うのがお分かりいただけただろうか?

resell
転売する。なんか転売ヤーみたいな悪いイメージがありますが、resellは普通にいらないモノ売る的に使えます。最近僕はリセール・バリューが高いものしか買わないようにしています。高く売れるモノを持っていたほうが、なんだか得した気分になれるし、品質がいい場合も多いです。

property agency
不動産業者。propertyは財産(特に不動産を指して言うことが多い)やRPGなどのゲームでよく使う特性、属性としての意味もあります。

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見返りに、不動産業者が転売のために購入していた廃虚の支払いと部分的な所有を受け取る。

廃虚の井戸を使うために、トオルは癒やしの力で頑張っていますと。
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Cinnamon, Nutmeg's son, maintains the house and refits the well with a ladder and pulley to open and close the well cap from the bottom.

maintain
維持、整備する maintenance メンテナンスの動詞がmaintain。仕事で整備を日常的にされている方は、今度から「メンテナンスしてもよろしいですか?」ではなく「メインテインってもよろしいですか?」と言ってみるのもヤバいヤツ感でておすすめ(?)です。

refit
(建物などを)改修する 家をメインテインるためにリフィットること大事ですよね。
ladder
ラダー → はしご

pulley
引く(pull)やつ → 滑車

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ナツメグの息子、シナモンは家を維持したり、井戸にはしごと底から井戸の蓋を開け締めするための滑車をつけるなどの改修を行っている。

僕の好きなシナモン登場です。海辺のカフカの大島にも共通する身体的特徴があり、かつ完璧な人シリーズ。かっこいいですよね。
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Toru periodically goes to the bottom of the well to think and attempt to revisit the hotel room.

periodically
定期的に。 period 期間。periodical フライデーなど定期的に発行されているもの。という意味なので、そこから推察できそうです。またよく見る「定期的に」はregularlyという英語もあります。

attempt
試みる

revisit
再び(re)visit(訪れる) 再訪 そのままですね。

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トオルは廃虚の井戸の底に定期的に訪れます。それは考えたり、謎の女がいたホテルを再訪するためです。
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復習タイム

"The Birdcatcher", the third, final, and lengthiest part, ties up most loose ends while introducing a few new characters. The well-dressed woman Toru met while people-watching is revealed to be Nutmeg, whom he sees again when he reverts to people-watching. She hires him to relieve clients, middle-aged or older women, of some kind of inner turmoil that develops inside of them. The blue mark is involved in this somehow, though its power is never fully explained. In return, Toru receives pay and partial possession of the abandoned house that had been purchased to resell by some property agency. Cinnamon, Nutmeg's son, maintains the house and refits the well with a ladder and pulley to open and close the well cap from the bottom. Toru periodically goes to the bottom of the well to think and attempt to revisit the hotel room.

ではまた!

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