【連載小説】『お喋りな宝石たち』~竹から生まれし王子様~第二部 第二十三話「妖精のアクセサリー」
第二十三話「妖精のアクセサリー」
「ねえフォス。魔法の杖はどうやって見つけたの? 」
「ばあばがあそこにあるって言った」
そういうとキャビネットを指さした。
えっ? お祖母さんはまだいるの?
瑠璃は部屋を見回した。
「ばあばはまだいる? 」
「ううん。もういない」
フォスが瑠璃を見た。
どうしてコンパクトの在処を言ってから成仏しないのよ~
瑠璃はため息をつくと、
「ここの映像はあなた達が定期的に誤魔化しておいてね」
「なんでさ」
「フォスの事もあるし、
万が一あなた達の事がばれても困るから」
「今の所、俺達は宝石王国から来てるから、
人間には見えないはずだけど、
フォスは人だから俺達がベールをかけて消してあるよ」
「だったらフォスの安全も考えて、
そうしておいてね」
「………そういう事なら致し方ない」
モルガはお菓子を食べながら言った。
瑠璃は考えるのも疲れて、
和室迄這っていくと仰向けに寝転がった。
――――――――
石橋はフェイク画像を見ながら、
「そういえばこの女、独り言をしゃべってましたよね。
この前も和室にジャンプしたと思ったら、
転がってたでしょ。
今も箸を持って口に運んでるんだけど、
何も乗ってないんですよ。
空気をつまみにビール飲んで、
一人でしゃべって笑ってるなんて、
ちょっと不気味です」
と怖そうな顔をして高木を見た。
今の映像は瑠璃がTVを見ている姿が映し出されていた。
「長い事一人でいるとおかしくなるんじゃないの?」
「という事はバツイチの高木さんも、
この女と同じ?
家で一人で話して笑うんですか? 」
「そういう石橋君だって独り身でしょう? 」
「俺は彼女がいますからね」
石橋はそういうと宅配ピザにかぶりついた。
「でもその三種の神器ってどこにあるんですかね~」
「さぁ? どんなものかもよくわかってないからね。
ただ上の者が言うには、
老人はそれを使って占っていたんじゃないかって」
「占いって言ったら水晶? 」
石橋は椅子の背もたれに寄りかかりながら上を向いた。
「宝石みたいなもの? 石? を使ってたそうで、
大臣も彼女の占いで今の地位に付いたそうだから、
三種の神器はみんな狙ってるんだよ」
「でも手に入れたって使い方が分からなきゃ意味ないですよね。
それとも魔法の石?
だったら大臣だけじゃなくて、
みんな欲しいんじゃないですか?
俺もそれで大金持ちになりたい」
石橋がコーラを飲んでケラケラ笑った。
――――――――
瑠璃は次の休日、
妖精たちに宝石アクセサリーを作らせてみた。
宝石は杖でボンボン湧いて出てくるので、
幾らでも作れるはずだ。
しかも本物の宝石王国の作品だ。
トレーサビリティの問題もあるので、
ジュエリーは無理だが、
アクセサリーなら出来上がりしだいで売れそうだ。
最初にフレアが作ったのは王冠。
「これは無理。国宝級レベルでしょ」
瑠璃がまぶしい輝きの王冠に驚くと、
スマホの画像を見せた。
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