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内観独習法 その4 Ver1.2

Step8 注意点の把握 

内観独習法の各Stepを飛ばしていきなり「トラウマ掘り」を始めると、人によっては掘り出したトラウマに潰される恐れがあります。何故なら、自我を確立する前の未熟な精神状態では、理不尽な運命を受け入れて学びに転化する事が出来ないからです。

辛い過去を思い出すと、殆どの人は自己憐憫に耽り始めます。そして「嗚呼、何て自分は可哀想なのだろう」とか「こんなにも不幸な自分は、何らかの形で報われるべきだ」というような病んだ思考に侵されます。

「トラウマ掘り」は自己憐憫に耽る為のものではなく、飽くまでも問題解決の為に行うものです。でも、自我を確立する前の未熟な精神は、問題解決よりも自己憐憫に耽る事を選択してしまうのです。


日本の教育は「自我の確立」ではなく「協調性の獲得」に偏重しており、しかも「叱らない教育」の弊害で、極端にストレス耐性が低い人が激増しています。

人によっては辛い過去と向き合う事になる「トラウマ掘り」は、ハイリスクかつストレスフルなメソッドであり、しかもそれを独習する場合は、健全な自我と、過去を乗り越えたいという鋼のモチベーションが必要になります。

個人的には、過去と向き合えない人が増えているという事実は、日本の精神医療がカウンセリングではなく、投薬治療に舵を切った理由の一つでもあると考えています。


私は障害手帳二級の鬱病患者の介助をした事がありますが、その患者も自分自身や過去のトラウマと向き合う事が出来ずに進退窮まっていました。

日本の精神科医は薬を出すだけの人であり、カウンセラーは患者の話を聞くだけの人です。もちろん患者に寄り添ってくれる先生も居ますが、そういう人とはなかなか出会えません。

由々しき事に、日本国内には「自己との向き合い方」や「トラウマを克服する方法」を学びたくても、教えてくれる場所が無いのです。これが内観独習法を世に出した一番の理由です。


内観独習法を実践すると、次第に憎悪や恨みといった感情が発散されていき、それまでとは異なる新しい見解を獲得する事があります。これは明確な進歩であり、この進歩を積み重ねていくと更に新しい境地が開けてきます。

また、睡眠中に見る夢が進歩の切っ掛けになる事もあります。

私にも乗り越え難い過去があって、布団にくるまって泣き寝入りした日の夜に、何とも形容し難い感動的な夢を見て、朝起きたら何となく吹っ切れていたという事が何度かありました。


また、あまりに辛いトラウマは脳や心が思い出す事を拒否するので、掘り起こすのが困難です。封印された記憶の扉をこじ開けるには、内観に全エネルギーを集中させる必要があります。

上手くトラウマを掘り起こせていないと感じた時は、寝椅子や、布団や、ベッドの上でリラックスした状態で内観をしてみて下さい。結跏趺坐が苦にならない人は、坐禅を組むのも良いでしょう。

因みに、私は部屋を暗くして布団にくるまり、胎児のような姿勢で過去を想起し、追体験する事をよくやっていました。


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