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明晰夢と夢見の技法 Ver1.3


夢見術の系統

「夢見術」は睡眠中の夢をコントロールして、様々なメリットを得る為の技法です。夢見の技法は世界中に数多くありますが、大雑把に分類すると「啓示を得る為の体系(啓示系)」と「別次元を旅する為の体系(探索系)」に分けられます。

私自身は様々な著書を読み、独学で両方の体系を身に付けましたが、余程の覚悟が無い限り探索系には手を出さない方が良いと考えます。何故なら、啓示系より探索系の方が得られる力は大きいけれど、その分、リスクも高いからです。

因みに、オウム逃亡犯の高橋克也が所持していた故・カルロス・カスタネダ氏の著書「呪術と夢見」は探索系であり、かつての私の愛読書でもあります。



夢見の行動力と、夢見の観察力

夢見術を行う事で、我々は夢見の行動力夢見の観察力の二つの力を養う事が出来ます。

夢見の行動力は睡眠中に見る夢をコントロールする力であり、この特殊な注意力を高めると夢の中で自由に行動する事が出来る様になります。

これは普通の夢を明晰夢に変える力であり、技法としては探索系に属します。


夢見の観察力は、睡眠中に見る夢をリアル化する力であり、この特殊な観察力を高めると、次第に夢と現実の境界が無くなっていきます。

これも普通の夢を明晰夢に変える力ですが、技法としては啓示系に属します。

夢見の行動力夢見の観察力は夢見術の両輪なので、どちらが欠けても前には進めません。また、この二つの力は時間の経過と共に失われるので、後述するトレーニングをサボると次第に夢見が出来なくなっていきます。



夢見術の可能性

夢見の行動力を高めて夢コントロールが出来るようになると、意識して明晰夢を見る事が出来るようになります。そうなれば悪夢を克服したり、夢の中で空を飛んだり、自分の理想そのものの異性と付き合ったりするなど、普通ではない楽しみ方をする事が出来ます。

また、睡眠の質が非常に良くなり、目覚めた時に全身が活力で満ち溢れるようにもなります。

夢見の観察力を高めて夢のリアル化が進行すると、いわゆる予知夢を見たり、神仏や精霊などの高位存在とコンタクトを取れるようになるので、常人では知り得ない情報を掴む事が出来ます。


夢見の行動力と、観察力の両方を高めていくと、異世界・別次元の世界を旅したり、本来なら瞑想などの行法を極めないと入れない神秘的な領域に踏み込めるようになります。

チベット仏教には、ゾクチェンナーローの六法の「光明(ウセル)」などの伝統的な夢見術がありますが、これらの行法に近い事を灌頂の儀式を受けずに、独学で身に付けられる可能性も出てきます。

つまり、夢見の行動力観察力を高めるトレーニングを続ければ、何かと面倒で苦痛を伴う修行などしなくても良くなるという事です。



夢見術の第一段階

本格的な夢見術のトレーニングを始める前に、2つほど習得しておく補助トレーニングがあります。一つめは現代の仙人と名高い高藤聡一郎先生の入眠法です。

この入眠法のトレーニングをすると、大して眠くない時でも即座に寝入る事が出来るようになるので、夢見術のトレーニングをするのに都合が良いですし、不眠症にも絶大な効果を発揮します。

やり方はとても簡単です。まずは眉間に意識を集中して、その意識を頭頂から後頭部、首筋の順に落としていくだけです。首筋まで意識を落としても寝入る事が出来なかったら、また眉間からやり直してください。

夢見



二つめは、知る人ぞ知るマレーシアの夢の民・セノイ族の夢見術(以下、セノイ式)です。一般的な夢診断・夢占いは、夢の中に出てくる物事や行動には隠れた意味があると解釈しますが、セノイ式は夢の中に出てくる物事のパターン解析と、夢コントロールがメインです。

例えば、夢占いだと自分の乗っている飛行機が墜落する夢は、目標をクリア出来ないという意味になりますが、セノイ族の場合は飛行機が墜落する夢を見たら、現実世界で何が起きるかを数日間観察します。

セノイ式では、同じ内容の夢でも人によって異なるサインになると考えるので、ある人にとっては飛行機の墜落が雨のサインになりますし、別の人にとっては狩猟に成功するサインになる訳です。


また、セノイの民が悪夢を見たら、実際にどうするかの対策を練るそうです。例えば、夢の中で獣や悪霊に襲われたとしたら、目が覚めた後に、逃げたり退治したりするにはどう行動するべきかを考えて、夢の中で対策を実行出来るように予行演習をします。

セノイ式のコツは、兎にも角にも「夢に注意を払う」の一言に尽きます。たかが夢と軽んじれば夢は単なる夢のままで終わりますが、夢のサインを重視すればするほど、夢は真価を発揮します。

セノイ式啓示系探索系のハイブリッドですが、これは飽くまでもセノイ族の一般人が行う夢見術に過ぎません。セノイの呪術師は強力な呪術を使うと信じられており、その力の源は呪術師の家系に代々伝わる特殊な夢見術にあるとされています。



夢見術の第二段階

高藤式の入眠法と、セノイ式をある程度マスターしたら、本格的な夢見術のトレーニングに入ります。トレーニング法は色々あるのですが、主に2つのタイプに分かれます。

1.日常の意識を夢の中に持ち込んで夢見の行動力を高める
2.夢見の意識を日常の中に持ち込んで夢見の観察力を高める


つまり、夢と現実を交差させる事が夢見術の核心部分であり、啓示系・探索系の両輪を繋ぐなのです。そして、夢見術を実践するには絶対的なモチベーションと、気功や瞑想などで養った「氣」のパワーの二つが必要になります。

因みに、ネイティブアメリカン(インディアン)にも夢見術の体系があるのですが、その体系はモチベーションを高める為に複雑な儀式を行ったり、自然や呪術師から生命エネルギーを分けてもらうのが前提になっています。

条件的に独学独習は厳しいものがありますが、大いに参考になる体系です。


ネイティブアメリカンの夢見術は、まず「夢の中で自分の手を見る」事から始まります。この方法を実践すると夢見の行動力を高められるのですが、最初にやる事にしては難易度が高過ぎます。

と言うか、何の準備も無くいきなり夢の中で行動する事が出来るなら、もっと大勢の人が明晰夢を楽しめている筈です。導師に就く事が前提の体系は、こういった理不尽な部分があるので注意が必要です。

我々の場合は独学で夢見術を会得しなければならないので、比較的簡単な夢見の観察力を高める事を優先すべきです。なので、まずはそちらのトレーニングから説明していきます。

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