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とりあえず待ち時

 結婚なんてするもんじゃない、なんて聞いて育ったおかげで、結婚願望が特にない。30を迎えても、同級生の結婚式に呼ばれても、この頃は出産のニュースも多いけれども、焦りや憧れやでもやもやすることもなく。もうそんなに月日が流れたんだなあ、大人になったんだなあとしみじみ感じるくらい。結婚したい、というより、した方が世界が広がって人生面白くなりそうだから良いな。縁なければそれはそれで不幸じゃない体が動く限り好き勝手にあちこち行ってやろう、と思うくらい。恋人ができれば変わるかと思いきや、大して変わらない。一緒に過ごすのが一人であるときと変わらないかそれ以上に楽で、圧倒的に本を読むペースが上がったし、伝えるために感想や感覚を言語化することを常に意識するようになって、彼のおかげで成長したところも多い。それでも、結婚したい!に直結しない。それでも、一緒にあちこち行ってみたいとか、シニアになっても楽しく過ごせそうだなとかつい想像してしまう。

 子供についても、欲しくないような欲しいような。先が見えない世の中だからこそ、できるかぎり身軽でいたいと思うし、受験や思春期や大学入りたての面倒でいやーなフェーズをまた一緒に辿らないといけないかと思うと気が滅入ってしまう。一方で、女性として経験しないと損じゃなかろうかとか人間の成長を間近で見てみたいとか、孫が欲しいとか、もっぱら好奇心の枠を出ないようなところにすぎないけれど、思うところもある。あと数年で決心しないといけない(が特に焦りがあるわけでもないことに不安を感じている)。

 結婚したorする報告を聞くたびに、決め手は?と必ず尋ねてしまう。お互い結婚したいと思ってタイミングが合った、彼女が待っててくれた、彼の前なら涙を流せた、一緒に暮らせると確信した、、まだピンとこない。

 結婚に際して恐れているのは、結婚なんてしなければ良かった、していなければ~ができたのに、と思うことがあるんじゃなかろうか、ということ。就職についても、そもそも初めからここで働きたいと思ってたわけじゃないし、今だに自分がなぜこんなことをしているのか度々疑問に感じるし、何を血迷ったんだろう、第一志望の二次募集ちゃんと受けておけばよかった、なんてつい考えがちで、それで続けるのをやめることにした。相当強い希望や深い動機をもってないと、たまたま得られたものがどんなに価値があっても巻き戻したくなる、それが結婚や子育てで起こったらどうしようかと。恋愛についても、大学に入ったら男友達は欲しいと思っても彼氏が欲しいとは特に思っておらず、好きな人ができてもその先がイメージできず勝手に長いこと引きずっていたりした。でもそういえば、それでも就職した後からいろんな影響やら出来事を経てある時から、パートナーが欲しい、のスイッチに切り替わった。結婚についても、またそういう自分なりのタイミングというものがあるのだろうと、気持ちに任せてゆったり構えておけばよいのかな。

 とはいえ、自分だったらこんな結婚式がいいとか、こんなプロポーズが素敵だなとか、こんな老夫婦になりたいとかは意外と具体的にあって、それは中学生とかそんな頃からあたためていたなと思い出すとはっとする。願望がないというより、ただ現実のいろんな恐れやら不安やらに隠れていわゆる本音の願望が見えなくなっているだけじゃなかろうかとも。

 そもそも将来自分がどう生きたいかのプランも、今の仕事についてからつい最近まで完全に見失っていたところで、転職先が決まってからこの頃また少しずつイメージがわくようになってきたばかりだった。目の前のやりたいこととやるべきことを片付けつつ、今はまだ時を待つしかないんだろうな。 

 記事の気分にぴったりの砂糖菓子の写真を見つけたのでお借りする。このnoteの仕組みスキ。

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