
死が二人を分かつまで
スキ
21
痛む肺。振り返れば仮面の巨体。徴魂吏(グリムリーパー)。白鎌が身体を通り抜ける熱さと魂を剥がされる寒さ。
それがユキが最後に見て感じた物だった。
魂魄本位制度に移行してから半世紀。価値が決して摩耗しない魂の需要は上がり続けている。
市は納税義務を14歳にまで押し下げ情け容赦ない課税により魂を狩る。
僕は雨に打たれながらユキだった物の前で立ち尽くす。寒さは感じない。安物の義体にそんな機能はない。
ユキとはスラム街で生まれた時から一緒だった。
彼女が病気になった時、治療費を稼ぐ為に僕は身体を手放した。
ユキはまだ13歳で。納税義務なんてない筈で。
体を売った時ユキは凄く怒って、二度とこんな事をしないようにと魂を半分ずつ入れ替えた。こうすれば互いに異変があった時すぐに分かるからと。
だから僕には分かる。彼女が14歳の誕生日を迎えた僕の身代わりになった事が。そして半分死んでしまった僕の魂が求めるものが。
――復讐だ。
【続く】
ニンジャヘッズ。現在逆噴射小説大賞
投稿作「ポスト・ポストカリプスの配達員」の続きを連載中。