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死が二人を分かつまで

 痛む肺。振り返れば仮面の巨体。徴魂吏(グリムリーパー)。白鎌が身体を通り抜ける熱さと魂を剥がされる寒さ。

 それがユキが最後に見て感じた物だった。

 魂魄本位制度に移行してから半世紀。価値が決して摩耗しない魂の需要は上がり続けている。
 市は納税義務を14歳にまで押し下げ情け容赦ない課税により魂を狩る。

 僕は雨に打たれながらユキだった物の前で立ち尽くす。寒さは感じない。安物の義体にそんな機能はない。
 ユキとはスラム街で生まれた時から一緒だった。
 彼女が病気になった時、治療費を稼ぐ為に僕は身体を手放した。
 ユキはまだ13歳で。納税義務なんてない筈で。
 体を売った時ユキは凄く怒って、二度とこんな事をしないようにと魂を半分ずつ入れ替えた。こうすれば互いに異変があった時すぐに分かるからと。
 だから僕には分かる。彼女が14歳の誕生日を迎えた僕の身代わりになった事が。そして半分死んでしまった僕の魂が求めるものが。

 ――復讐だ。

【続く】

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居石信吾

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いっぱいちゅき……
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ニンジャヘッズ。現在逆噴射小説大賞 投稿作「ポスト・ポストカリプスの配達員」の続きを連載中。