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恋情炎上、散ルハ華

 女性は、恋をすると発火能力〈パイロキネシス〉を得る。
 火事と喧嘩は江戸の華――こう謳われるように、昔から恋が原因の火事や諍いは多数存在した。
 何故女性が恋すると発火するのか。その原因は現在に至るまでも解明されていない。
 とかく、女の恋は燃え上がる。
 昔の恋する女性は、戦場で敵を焼き払ったり製鉄の為に高炉の中に閉じ込められたりと過酷な目に遭わされた。今は戦場で恋する女性を用いるのはハーグ陸戦条約で禁止されているし、高炉は高速恋愛増殖炉に代わり安全になった。
 では現代の恋する女性達の活躍の場所は?
 それはもちろん――

「今年もやって参りました! 全ての恋する乙女の為の『恋情炎上頂上決定戦』!
 己が生き様恋の様、咲かせて魅せろ、恋の華!」
 司会がマイクをハウリングさせながら叫ぶと、会場内から爆発するような歓声が沸き起こる。
「ではさっそく第一回戦の選手紹介だ!」
 コロシアム型会場の中央ステージにスポットライトが当たる。
「一番、【禁断の】白銀百合! 恋愛強度5、炎色は紫! 上司との不倫中のOLだ!」
 スーツ姿の白銀は眼鏡のブリッジを抑えると指先に紫の炎を灯らせる。
「二番、【遠距離の】二条舞! 恋愛強度4、炎色は白! 彼氏が海外留学二年目の大学生!」
 セーターにフレアスカートの二条はぺこりと頭を下げる。その周りに雪の様な火花が散った。
「三番、【新婚の】空木詩織! 恋愛強度3.5、炎色は橙! 新婚ほやほやの旦那に恋する若奥様!」
 ひよこの刺繍のエプロンをつけた空木は客席に手を振る。その軌跡が橙色の残像を残した。
「四番、……え? これ間違いじゃ……合ってる? マジで? ……失礼しました。
 四番、【初恋の】桐谷優子! 恋愛強度……9!? 炎色は桃! この歳まで恋を知らず! 華の女子高生、十七歳!」
 セーラー服を着た桐谷――私はライバルの恋愛強者達を眺め、溜息をついた。桃色の炎のブレスが噴き出す。みゃーこの野郎、勝手にオーディションに応募しやがって。

【続く】

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ニンジャヘッズ。現在逆噴射小説大賞 投稿作「ポスト・ポストカリプスの配達員」の続きを連載中。