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逆噴射小説大賞大賞2020年投稿作まとめ+解説的な何か

 逆噴射小説大賞、今年も熱い祭りになりましたね。参加者も投稿作品数も去年を上回り、新しい顔触れも随分増えて賑やかです。交流のないクラスタとのクロスポイント……ヘレニズム的文化融合……シンギュラリティ……イルカ……未来へ……。
 いつも通り前置きはサクッと飛ばして早速やっていきましょう。

第一作目『遺忘のナヴィガトリア』

 趣味のSFです。
 投稿解禁初日の0:00組作品です。何か他にも大量に0:00投稿あって圧がヤバイ。埋もれる! 埋もれる! 今年は去年より0:00組が多かった様です。バカじゃないの(褒め言葉)。
 趣味に極振りした結果、入れたい物を詰め込みすぎて破綻している感は否めません。要素を一つ位削るべきですね。
 主人公がダンテなのに相手ベアトリーチェじゃねえのかよってツッコミは入るかと思ってましたが特に入りませんでした。
 アイデア先行型作品。「電波を反射する電離層ではなく魂を反射する幽離層があったら誰も昇天できないな」という発想から。原型は余り留めていませんね。
 魂を閉じ込める→地獄だなという連想で神曲モチーフになりました。その結果文字数が逼迫して色んな描写を削られ、当初の予定とは別物に。よくあることです。
 地味に気に入ってる部分は「II型天使」という造語。めちゃくちゃ味気ないのが量産兵器っぽくて好きです。ちなみにII型超新星爆発から命名しました。

第二作目『竜と私と500の死体』

 竜と死体のファンタジーです。
 これは個人的に結構頭を使って書いた作品です。その割にはタイトル先行型。
「物語を転がす」事にだいぶ注力しました。その代償として造語とか細かい設定や背景が消失しています。とにかく読者の既知の単語や描写のみを使い物語の負荷を減らして遠距離まで飛べるようにチューニングしました。
 去年までの僕なら恐らく竜の魔法の凄さとか細かく書いて字数足りねえ! となって勇者が出てくる所で【続く】だったことでしょう。
 勝ちを狙いに行った作品ですが、読者の方々の反応も上々で喜んでいます。
 タイトルは乙一著『夏と花火と私の死体』から。最初死体の数は千だったような気がしますがタイトル口に出して読んだ時に据わりが悪いので半減されました。

第三作目『夕顔は咲く、凍夜〈しや〉の涯にて』

 凍った夜と巨人のSFです。
 タイプとしては去年投稿した『海鳴〈いの〉りの祝祭』に近いですね。ハードSFっぽく見せかけてファンタジーな事が起こるという。
 作中に出てくる様な、赤色矮星の近くを巡りその重力により潮汐固定されている惑星は実在します。同じ面を常に主星に向けているので昼半球は灼熱、夜半球は極寒というとても住めそうにない星ですが、なんと夕方部分は丁度いい温度で住めるのだとか。その見た目から「目玉惑星」と呼ばれたりもします。そういう星で光合成に適した色は紫だそうです。毒々しい。
 ちなみに主人公が「17」なのはアポロ計画にちなんでいます。探査機だからね。後これはタグでネタばらししてますが、巨人は北欧神話の「霜の巨人」がモチーフです。削られた結果消滅した惑星の名前は「ミール」といいます。
 アイデア先行型作品。なのでタイトルには悩みました。出来ればカタカナや英単語を使いたくなかったので。今回投稿した作品の中では一番タイトル気に入ってます。
 最初は普通に『凍夜〈しや〉の涯にて夕顔は咲く』だったのですが、氷の中花が咲いているイメージを強く喚起させたい為に現在のものになりました。

第四作目『ホール・ウォーズ〜グローリーホールの没落〜』

 これを真面目に解説するのも辛いのですが、書いた切っ掛けは揺り戻しというか、ちょっと真面目なの立て続けに投稿したせいです。責任能力がないので無罪。あと下ネタで評判得てる作品があったのでじゃあいいかな、と。俺は悪くねえ!
 アイデア先行型。古いネットミームとハルシオンランチという漫画が悪魔合体した結果生まれました。雰囲気の参考にしたのはSCP財団の記事にたまにある下ネタのやつ。

第五作目『仇統のアステリズム』

 星と復讐のダークファンタジーです。
 最終日投稿になったのですが、最終日に書きました。準備していた作品はあったのですが胡乱よりで茶化しが入るタイプの話。真面目なのもう3作も投稿してるし「勝ち」に行ってるガチなのもお出しできたしいいかな……と思っていたらバール=サンの投稿作品読んで頭をガツンと殴られまして。
 ただネタもないしどうしたものかな、と思っていた時に思い出したのが去年の逆噴射小説大賞で書いた仇統のアスタリスクというファンタジー。なんとなくゴニョゴニョしていたので設定は固まっている。レギュレーションでも続編はダメだが同一世界観はオッケーらしい。よし、じゃあこれにしよう。そういうことになった。
 二十八宿をほぼそのまま用いてます。キタルファとサダルスゥドは虚宿の距星の固有名です。紫微宮も星宿の紫微垣からですね。
 これ単体でも分かる様になっていますが、仇統のアスタリスクと合わせて読むとより理解度が高まります(PR)。
 タイトルは全然別のやつにしようかとも思ったのですが結局似た様なやつに。でもアスタリスク→アステリズムは中々エモいと思う。

プラクティス「ゲオルギウス達の遊戯」

 竜の死体と勇者のファンタジーです。
 本戦開始前の素振り作品その一。アイデア先行型。
 アイデアインスパイア元は「怪獣8号」って漫画ですね。そこに昔の屠殺業者に対するケガレ意識とかを組み合わせました。生活に必須なのに誰からも褒められない。なんでそんな職に就いてるのか→先祖が竜倒したからじゃね? という発想。
 結構評判が良く、個人的にもいい感じだと思うのですが、逆噴射先生が選考で落ちる例として挙げていた「依頼人が依頼しにきて終わり」タイプの話なんですよね、モロに。なのでこれはプラクティスで正解です。
 タイトルはどうやって決めたんだっけ……竜殺しだからゲオルギウスと安易につけたのは覚えています。

プラクティス「貘撃機の飛ぶ空」

 本戦開始前の素振り作品その二。タイトル先行型。
 神林長平著『麦撃機の飛ぶ空』からインスパイアされました。「なんでもいいから物語のアイデアを100個作る」という訓練に挑み飽きて投げ出したメモ帳に書かれていたネタです。
 貘弾は結構良いアイデアだと思うんですが、上手く転がせませんでしたね。貘と意思疎通できちゃったとか、夢の世界に囚われたとか、色々展開は考えていたのですが800文字に収まり切らず……。

 以上5作品+2が逆噴射小説大賞2020に対する僕の回答です。去年よりはやれている手応えはありますが周りも当然レベルアップしている訳で。人事は尽くしたので天命を待ちます。
 後逃げ場が無いように宣言しておきますが、今年の目標は「第二次選考に3作品残して、最低でも最終選考まで行く」事です。どうなるか、活目せよ!
 終わりです。

PS5積み立て資金になります