i could write a book - ジャズ文芸誌

京都大学の学生を中心として製作するジャズ文芸誌 "I Could Write…

i could write a book - ジャズ文芸誌

京都大学の学生を中心として製作するジャズ文芸誌 "I Could Write a Book" のウェブコンテンツです。 Twitter: @icwab_jazz https://twitter.com/icwab_jazz

マガジン

  • ジャズスタンダード曲に僕がみる情景

    京都大学ジャズ研究会2回生の牧野翔馬と申します。 トランペットとピアノを少し、練習しています。 僕は毎回一曲ずつ、ジャズスタンダードバイブルに収録されている曲を中心にセッションなどで頻繁に演奏される曲について、その曲を聴いて僕が感じる「情景」を徒然と書かせていただきたいと思います。

  • 小説の中の、ジャズの話

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I Could Write a Book.

I Could Write a Bookのnoteへようこそ! I Could Write a Bookは京都大学ジャズ研究会発のジャズ文芸企画です。ジャズにまつわる随筆・エッセイから評論や小説、短歌に至るまで様々なジャズ文芸の可能性を模索しています。 ジャズ研究会などの多くは、演奏を主体として活動しています。 しかし、わたしたちは書いてみようと思いました。曲について、人について、場所について。 きっと本だって書けるでしょう。 そんな思いで製作している我々のコンテンツを

    • Archive - I Could Write a Book vol.3

      2019年11月に新刊を発行いたしました!! 今回も自信作です。ぜひお楽しみください。 Kindle版は以下です。目次だけでもチェックしてみていただければ幸いです。 また、京都にて本誌も細々と販売しておりますので、プロフィールページの連絡先にメール・DM など頂けましたら対応いたします。 以下、目次と作品紹介です。 イメージを重ねるジャズを聴くとき、どのように感覚が呼び起こされるのか。内省を基に軽い筆致で綴る随想。 鉄道とジャズーー鉄道には心を動かす何かがあるーー。

      • Archive - I Could Write a Book vol.2

        Archiveでは、既刊誌の紹介をいたします。作品のいくつかはnoteでも公開しているのでお楽しみください。 Kindle版は以下です。ぜひお楽しみください。 また、京都にて本誌も細々と販売しておりますので、プロフィールページの連絡先にメール・DM など頂けたら幸いです。 以下、目次と作品紹介です。 居場所ロシア出身の筆者が遠国日本で心の拠り所としたのはあるジャズ喫茶。その空間はどのように彼を包んだのか。情感溢れる随想。 サックス吹きと卒業 「サックス吹きと鴨川」(

        • Archive - I Could Write a Book vol.1

          Archiveでは、既刊誌の紹介をいたします。作品のいくつかはnoteでも公開しているのでお楽しみください。 Kindle版は以下です。ぜひお楽しみください。 また、京都にて本誌も細々と販売しておりますので、プロフィールページの連絡先にメール・DM など頂けたら幸いです。 以下、目次と作品紹介です。 ジャズの素朴な愉しみ「コンボジャズの演奏」は即興演奏という体験を伴う。現代におけるその特殊性と魅力について内省的に綴ったエッセイ。 軽やかにジャズを楽しむ難しいばかりが

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        マガジン

        • ジャズスタンダード曲に僕がみる情景
          2本
        • 小説の中の、ジャズの話
          1本
        • ジャズ喫茶巡り
          1本

        記事

          サウダージと地球の裏側

           今年*1はボサノバ誕生六十周年である。一九五八年、ブラジルのギタリスト兼ボーカリストであるジョアン・ジルベルトによるアルバム『シェガ・ジ・サウダージ』の発売が、ボサノバが初めて世に出た契機だと言われている。今でこそボサノバというと、ジャズスタンダードの中の一ジャンルになり、古い音楽というイメージがあるだろう。しかし、ボサノバというスタイルがブラジルで生まれた当時は、かなり革新的なサウンドとして受け入れられていた。  というのも「ボサ・ノヴァ」という言葉自体、「bossa(傾

          サウダージと地球の裏側

          ジャズ依存症患者によるロシア紀行文

           私は今モスクワにいる。普段は毎日ジャズを聴いているが、旅行中は非日常を味わうためにジャズ禁をしている。しかしツアー三日目、早くも禁断症状が出始め、何を見てもジャズのことを考えてしまう……。These foolish things remind me of jazz……(1)  さて、いまから take the Sapsan train (2) してサンクトペテルブルクへ向かうのだが、一つ問題が発生した。ツアー参加者の人数が奇数ゆえ誰か一人は知らない人と隣席にならねばならな

          ジャズ依存症患者によるロシア紀行文

          青い鳥

          Tenderly やさしさは盗人なのだ そよ風を抱きしめている木立のなかで Crazy He Calls Me 望むならどんなことでもしてみせる 狂ってあげる 愛してくれる? Body And Soul 差し出したからだとこころ海原の難破船には伸ばされない手 Smoke Gets In Your Eyes 閉じたままいられたならば残された煙がしみることもなかった Stardust まぼろしは抱きしめられず星屑の調べにかかる涙のエコー Dancing In The D

          ジャズスタンダード曲に僕がみる情景:Beatrice 小麦畑での別れ

           暑くて長い夏が終わったと思ったら、休む間もなく非常に強い台風19号が到来し、それが過ぎ去ってやっと一息ついたような気分の今日この頃ですが、皆さんいかがお過ごしでしょうか。  さて、前回「On Green Dolphin Street 新しい街」と題して書かせていただいた「ジャズスタンダード曲に僕がみる情景」ですが、I Could Write a Bookのウェブコンテンツにて連載させていただけることになりました。連載といっても、1か月にいっぺんずつくらいのゆったりとしたペー

          ジャズスタンダード曲に僕がみる情景:Beatrice 小麦畑での別れ

          ジャズの素朴な愉しみ

           ニ〇十五年の統計では、日本で一年のうちにリリースされる総新譜枚数のうちジャズが占める割合は五.九%にすぎない。この冊子を手にとってくださっている人々は比較的ジャズに接する機会が多いと予想されるが、それでも幼少期からジャズに接してきたなんていう人はごく少数だろう。我々京大ジャズ研の人間もほとんどがそうだ。  しかし、そんな世の中でもなぜか人々は懲りずにジャズというフォーマットの音楽を演奏している。大抵の大学にはジャズ研があったりするし、街にあるジャズクラブとロック系のライブハ

          ジャズスタンダード曲に僕がみる情景: On Green Dolphin Street 新しい街

           誰しも、ジャズに限らずとも様々な楽曲を聴く時、頭の中に何かしらの情景が浮かぶということはあると思います。僕も例に漏れず、昔から様々な曲を聴く時、自然と頭の中で何かしらの風景やイメージを思い浮かべて曲を聴いています。しかし、それらについて他の方と話し合ってみると、人によって曲に違うイメージを持っていたり、逆に共通のイメージを持っていて意見が一致したりということがあって、それをとても面白く思いました。  そこで、せっかく多数の方に僕の文章を見ていただけるこの機会を活かして、僕

          ジャズスタンダード曲に僕がみる情景: On Green Dolphin Street 新しい街

          ライン・アップ/レニー・トリスターノ

           押すと扉はぎいと開く。大音量で流れるトランペットソロはチェット・ベイカーか。黒い壁は黄ばんだフライヤーで埋め尽くされている。「セロニアス・モンク・ナイト」だの「ドン・モイエ西部講堂ライブ」だのという文句が目についた。  ジャズバーというと小綺麗な場所を想起させるけれど。部屋の右隅には、ビールケースにベニヤ板を乗せただけのテーブル席がある。左隅には、レコードや段ボールや漫画なんかが一緒くたに積み上げられている。それらを包む暗がりの中に浮かぶようにして赤いカウンターがある。カ

          ライン・アップ/レニー・トリスターノ

          ピアノトリオのスタイルとその変遷

           本稿の目的は、ジャズにあまり詳しくない人にもわかるようにモダンジャズのスタイルの多様性と変遷を見ることであるが、取り上げるバンドの編成が変わっては、何を比較したらいいかわからなくなるので、ここではピアノトリオに対象を絞ることにする。ピアノトリオは、ジャズのコンボのいわゆる最小単位であり、楽器の数が少ない分演奏を耳で追いやすい。以下では10枚のアルバムを録音年代順に紹介するが、解説は最小限にとどめる。ジャズのスタイルというものは、聴き手にとっては、言葉で色々と説明されるよりも

          ピアノトリオのスタイルとその変遷

          ジャズスポットヤマトヤ

           九月に入ったというのに、外は太陽がギラギラと照りつけて暑い。午後二時、乾ききった洗濯物を取り込もうとベランダに出ると、くっきりとした夏っぽい雲が浮かんでいて、日の傾き具合だけが季節の進んでいることを感じさせる。クーラーを効かせた下宿の部屋で、何をするでもなく怠惰な土曜日を過ごしていた私は、朝から「そろそろ原稿を書かないと……」と頭の中だけで繰り返していた。  重い腰を上げ、向かったのは近所の老舗ジャズ喫茶、ジャズスポットヤマトヤ。  見慣れた東山丸太町の交差点の南東の角

          ジャズスポットヤマトヤ

          居場所

           時間が経つにつれて町の様相が少しずつ変わっていく中、この場所だけが相変わらず、初めて足を運んだ数年前と全く同じ様子だ。実際、ここはもう何十年も前から変わっていないのだろう。  いつも賑わっている通りに面した急な狭い階段。今夜もまたこの階段は、私をこっそりとここに導く。何かしらのポスターが貼ってある黒いドアの向こうは 、町の喧騒が届かず、無味乾燥な日常の感じられない、閉ざされた特異な空間。天井にはさらに何枚かの枯けたポスター、小さな電燈が曖昧な明かりを放つ。タバコの煙の染みつ

          小説の中の、ジャズの話―『オン・ザ・ロード』―

           今も昔も、都市に生きる人間にはある種の苦しみがつきまとう。  様々な物体と人々が目の前に現れるが、全てのモノを手に入られるわけではないし、全ての人生のあり方を試してみることもできない。「多様な価値観」なんてものも現れるが、それらを前に確固たる「自分の生き方」なんかを信じるのも難しい。自分の持っているモノより、自分の生き方より、もっと良い何かがあるはずと思わずにはいられない。都市で生きることは、何か手に入れられないものに直面しつづけることである。『オン・ザ・ロード』の舞台と

          小説の中の、ジャズの話―『オン・ザ・ロード』―

          Tune Up(テスト)

           これはテスト投稿です。  こんにちは。"I Could Write A Book" 編集部です。ジャズ文芸誌 ”I Could Write A Book” は9月中旬よりWebへ進出します。  このnoteを web版 "I Could Write A Book" として、web限定記事や本誌のバックナンバーからのアーカイブの掲載を行います。また公式ツイッターでは、noteの更新情報、本誌の頒布情報等をお届けします。是非チェックしてくださいね! ジャズ文芸誌 "I C