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ICU国際基督教大学入試自然科学の傾向と対策

ここでは、ICU国際基督教大学の自然科学分野の傾向と対策を述べていきます。

自然科学 80分

数学、物理、生物、化学の4分野から2分野を選択します。 1教科あたり約13問、
計約26問の問に答えます。社会科学と比較すると、既存の高校の科目の問題に近
く、対策は立てやすいですが、裏を返せば高得点を取る必要がある科目でもあり
ます。

なお2015年以降、自然科学の4分野すべてで筆記問題が出題されています(自然科学以外のICU入試はすべてマーク式)。

1 【数学】

<傾向>
4分野の中ではもっとも受験者が多く、年度によっては、難度が高い問題も出題
されます。

ICU数学の大きな特徴ですが,問題文中で新しい記号や概念が導入されそれに関した問題が出題されるというパターンが多く,中には長文を読み解いていかなければいけない場合もあります.例えばルジャンドルの多項式,調和平均,複素数など数IIIもしくは大学で学ぶ数学のテーマや物理学の話題(つまりこれまで学んだことがないであろう内容)に関して十分な説明がなされたあとに問題が続いたりします.全体として2つの大問に別れており,それぞれの大問で関連した約7問ずつの問題が出るのが通例です.必要な知識としては数学I,Ⅱ,A,B(数列、ベクトル)からと公式に発表されており,近年の傾向としては数学I,Ⅱに関する出題が目立ち,具体的には三角関数(特に加法定理),微分法(特に与えられたグラフとその接線に関する問題),積分法が頻出です.どの年の問題に関しても言えることですが,適切な式変形ができる能力が問われています.

<ICU入試対策>
新しい記号や概念が出題されるといっても問題文をきちんと読めば理解できるものばかりです.読んで理解できなければ落ち着いて具体例を自分で手を動かして計算してみるとよいです.長文が出てきた時には全てを理解する必要はありません.問題を解くのに必要な箇所を見極めましょう.具体的な対策としては,まず数学I,II,A,B(数列、ベクトル)の教科書に書いてある程度の知識を身につけることです.これにはセンター試験用の参考書をお勧めします.次に,問題文の読解及び必要とされる式変形の練習はICU数学の過去問が最適です.また過去の類題が再出題されることも少なくありませんのでこれが1番効果ある対策と言えるでしょう.余力がある人は過去問で引用されている本(例えば2013年度の『数』(上下巻)著者 エビングハウス等)を読んでみるのもよいでしょう.読解力がつくのはもちろんのこと入試問題の数学の背景を知ることができます.

2 【物理】

<傾向>
大問が2つあり,それぞれで資料(長文)を読み解きながら関連する約7問ずつの問題を解いていくというスタイルが通例です.それぞれの大問で高校物理では扱われることがないテーマが題材とされることが多いのですが,資料を読み解けば高校物理の知識で解けるようになっています.近年では例えばヒートポンプ(冷房の原理),浮沈子(おもちゃ),空に上がる虹等の「日常に潜む物理現象」がよくテーマとして挙げられており,また天文学に関するテーマは頻出といってよいでしょう.公式な発表で必要とされる知識は「物理基礎」「物理」の範囲とされており,「原子」以外の分野は全てあまり偏りなく問題として出題されています.全体的に計算量が多く的確な処理能力が求められるのも特徴です.

<ICU入試対策>
高校物理の範囲外のテーマが出題されると言っても,「物理基礎」と「物理」の基本的な知識があれば十分理解できるよう配慮されています.ただし,ICU入試全体の特徴と言ってもいいですが,文章量が非常に多いので重要な箇所を見極める読解力が求められています.やはりICU物理の過去問を解いていくというのが最も有効な対策と言えるでしょう.過去問を解く時はまず設定時間内で特に読解と計算処理を意識して取り組み,時間が切れたら今度は同じ問題に対して十分な時間をとった上でできるまでやってみる,というやり方をお勧めします.同じ問題を何度もやり直してみるというのも良い勉強になります.恐らく解くたびに新しい発見があることでしょう.ICU物理で必要とされる知識はセンター試験と同程度ですのでセンター試験の過去問やセンター試験対策の参考書に取り組むことも非常に有益でしょう.また,文章読解と計算処理の練習として同じくICUの数学の過去問を解くこともお勧めできます.余力があり,高校物理外の範囲からの出題に少しでも備えたいという人は,物理学の歴史について書いた読み物や,ICU物理過去問で引用されている文献(例えば2013年度の『物理学とはなんだろうか』 著者 朝永振一郎)を読んでみるのもよいでしょう.

3 【化学】

<傾向>
リード文を読ませる形式は他教科と共通しています。問われている事は必ずしも簡単ではありませんが、センターレベルの知識を応用すれば解けるという問題が多く出題されています。ICUの受験者のレベルを考えると、ミスなく答えていく必要があります。

例年4つのPartに小問がそれぞれ2から5問程あり、それぞれ問題文を読みながら解いていくという形式です。昨年度まで範囲としては、旧課程の化学Iの分野までの知識で解けるものがほとんどで、範囲外のものも問題文で説明がなされています。

<ICU入試対策>
年度にもよりますが、比較的取り組みやすい問題が多く、合格には7割以上の得点が目安となります。まずはセンターレベルの問題集で基礎力をしっかりと養成した上で、過去問を中心に、リード文の長く、大学レベルの資料が出る問題形式に慣れておくとよいでしょう。

問題によっては問題文を読まなくても解けるものもあります。高校の範囲外のものについては、問題文で説明しているため、それをきちんと読む必要があります。今年から学習過程が変わるため、それにあわせて多少出題範囲が変わる可能性がありますが、過去問対策は有効と言えるでしょう。特に、原子や分子の構成に関する問題は頻出で、今後も確実に出るものと思われます。酸化還元も要注意。無機、有機ともに化学基礎の範囲からは外れますが、ICUの入試問題においては出題されることが十分予想されるので、基本的な問題は解けるようにしておくことが必須です。

4【生物】

<傾向>
例年2,3のPartに分けられており、全体で、13-14問程度の小問が出題されます。正誤問題が多く、考察問題も出題されます。内容は旧課程の高校生物Iの範囲で、遺伝、細胞共生説、動物の行動、細胞組織などが多く出題されています。

概ねセンターレベルの出題の年度が多いですが、年度によっては高度な資料や考察問題が含まれる場合もあります。他教科と比較すると知識問題が多く、短時間で解くことができます。数学など、回答に比較的時間がかかる科目との併用が効果的です。

<ICU入試対策>
難度には幅がありますが、概ねセンターレベルの問題集をこなしていれば、十分に高得点が狙えます。ただし大学の授業で用いるような資料が登場する場合もあるので、過去問の演習は十分に行っておくべきです。

今年から新課程になり、中でも生物基礎に加わった生態系に関連する問題はICUにおいて出題される可能性が大いにあります。遺伝の法則は中学過程に移行したものの、やはり生物をかたる上で必須のため、たんぱく質の合成、生物の多様性などの範囲とともに今後も出題されるかもしれません。年々範囲が拡大傾向にある生物では、過去問対策だけでは不十分かもしれませんが、各分野の基本的な問題を解けるようにしておけば高得点が得られやすいと言えるでしょう。考察問題で差がつくかもしれないため、過去問等にあたり慣れる必要があります。

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