【インタビュー】新潟の医療課題に寄り添い考える未来とは?
現在、にいがたヘルスケアアカデミーでは、「ヘルスケアICT立県実現プロジェクト」に携わっているコンソーシアム企業へのインタビューをシリーズ企画としてお届けしています!
今回は、ヘルスケアICT立県実現プロジェクトの生活習慣病分野に携わっているハイズ株式会社の天辰 優太氏にお話を伺いました。
医師を目指したきっかけや現在取り組まれている新潟県のプロジェクト、新潟×ヘルスケア×ICTへの取り組み、今後思い描くことへの想いを探ります。
天辰 優太(医師、コンサルタント)
大分県出身。岐阜大学医学部医学科を卒業後、岐阜市民病院の勤務を経て2014年より厚生労働省に入省。医系技官として急性期入院料やオンライン診療の診療報酬改定を担当したほか、医師の働き方改革、国立高度専門医療センターの研究開発、新型コロナウイルス感染症対策、リハビリテーションや
介護予防サービスの介護報酬改定などの医療・介護の幅広い分野に従事。2020年に退職し、現在は医師の働き方改革等のコンサルタントを行うほか、病院の企画経営に関するアドバイザー業務や在宅・訪問診療等の臨床現場にも関わっている。
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多様な選択肢から最終的に選んだ道
ーー医師を目指されたきっかけや、若手医師時代に力を入れられていたことを教えてください。
僕は医療家系でしたので、もともと医師という選択肢がありました。しかし、経済にも興味があり、商社マンにも憧れていたので、高校の時はすごく悩みましたが、最終的には人と接することができる仕事が良いと思い、医学部を目指しました。
親や親戚のお兄さんが医師として活躍しているのを見て、カッコいいなと思っていましたし、通っていた鹿児島の高校は進学校で、周りにも医学部に進みたい人がいて、友達とも切磋琢磨しやすい環境でした。
ですが、以前から経済にも興味があったので、医学部に入った後も、臨床で絶対やっていこうとは思わず、何か他に選択肢がないかとずっと考えていました。医学部としての勉強はリベラルアーツ(一般教養)や、もっと幅広い世の中の事も知りたいなと思いながら過ごしていました。
そんな中、自分が通っていたスポーツジムで、貿易会社の経営者や不動産の社長とたまたま仲良くなって、こんな世界も面白そうだなと思いました。医師になること自体は揺るがなかったですが、臨床医だけではなく他の世界も良いなとはずっと思っていました。
しかし、最後的には人と接し、やりがいを感じることのできる臨床医として働くことを決意しました。
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新しい世界に飛び込むチャレンジ精神
ーー病院勤務後、2014年より厚生労働省に入省されたと拝見しましたが、医系技官になったきっかけや、どのように働かれていたかを教えてください。
学生の頃、実習で訪問した病院では、過去に医系技官をされていた先生の下に就くことがありました。その際に、行政や厚生労働省で働くことの面白さを教えて頂きました。お話を伺っていくうちに、今後、臨床医ができるチャンスはあると思っていましたが、なかなか行政に関わる機会は無いと思い、チャレンジしてみようかなと思いました。
医系技官として厚生労働省に入って6年半過ごした中で、診療報酬の改定や介護の報酬改定、医師の働き方改革、さいたま市の地域医療構想など自治体の行政の担当をしてきました。
診療報酬改定をしていると、そこで決めたことがルールとなっていき、影響を与えることが大きいため、本当に世の中が良くなるのか、意味があるのかということをすごく考えましたね。厚生労働省で働いている人は皆そうだと思うのですが、「しっかり責任を持つ」という所を大事にしていると思います。
行政の立場って、臨床のように「ありがとう」と言われることはなかなかない仕事ですし、実際に僕の名前が表に出ることはありません。ですが、業界紙の記事やニュースで厚生労働省での取り組みを通し現場が良くなったという話題を目にしたり、認知症の診療報酬の評価点数を作成した際には、変更後の対応が見えたりすると、自分が対応した意味を感じて嬉しかったです。
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患者様に寄り添いながら見つけ出す「最善」の方法
ーー現在、医師として内科の診療・訪問診療などの臨床現場に携わる中で、特にこだわっている事や大切にしている事は何ですか?
今の病院のグループは「絶対に見捨てない」という方針で業務を行っています。これは本当に大切な姿勢だと思っています。
2年間研修医をしていた急性期の病院では、最善の治療をした後は、後方の施設に託すことしか出来なかったのですが、今は慢性期の医療に携わっていおり、リハビリ・栄養・介護サービスが総合的に連携しているため、患者様にとって最善な取り組みを行うことが出来ています。もともと厚生労働省にいたので、意見を調整したり、いろんな人と関わったりする事は得意なので、そこは活かせるところだと思っています。
患者さんと接する中で大切にしている事は、医学的なエビデンスはあるけれど、一方的に意見を押し付けるだけではうまくいかないので、患者さんがどう思って、どうしたいのかをしっかり聞くようにしています。
以前、介護施設と連携して診療をすることがありましたが、介護施設との連携は特性をよく理解して進めていく必要があります。患者さんの状態が悪くなった時に、入院して最期を迎えるのか、施設で最期を迎えるのか、ソーシャルワーカーの方や施設の方としっかりと話し合って決めました。
今のグループは地域多機能で、病院機能も在宅も介護施設もやっています。自分が一番活躍できる場所で色々なサービスやそれをどう使うのかを考えることが出来るのは面白いです。どうしても1つのサービスだけでは限界があるので、グループとして患者さんに提供できる事はすごく良いなと思います。
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高め合える仲間との出会い
ーー現在、ハイズ株式会社で働くことになったきっかけや仕事内容、また、やりがいを教えてください。
もともと厚労省時代から社長の裵とご縁があり、働くことになりました。ハイズ株式会社は病院に近い立場で、経営課題や組織課題の提案、現場で働いている人達に寄り添った提案をしている、というのが特徴だと思います。
お互いを高めていこうという気持ちが強く、明るくてアットホームな雰囲気なところも、ここで働きたいと思った理由の一つです。いわゆるコンサルっぽくはないかもしれないですね。すごく良い事だと思っています。
現在は主に医師の働き方改革や病院経営、病院の悩みや組織改革の支援をしている中で、一番印象に残ったものは働き方改革です。院内だけで議論するのはなかなか難しいのですが、客観的な視点で、議論をどのように進めていくべきなのかということをサポートさせて頂き、「議論が進んだよ、ありがとう」と言われたときは嬉しかったですね。
ーーヘルスケアICT立県プロジェクトの生活習慣病に携わって頂いているのですが、新潟のヘルスケア課題についてどのような印象を持たれましたか?
生活習慣病は、客観的なデータで見ると、運動習慣、食塩摂取量、歩数などが関係しています。そして、その背景は新潟特融の気候条件も関係しています。また、米所ということも起因する問題かなと思います。
生活習慣病のソリューションは、世の中で沢山エビデンスがありますが、新潟の背景事業に寄り添って出来る事を見つけていく事が大事だと感じながらこのプロジェクトに関わらせて頂いています。
何度か新潟に行ったときに、綺麗な田園風景だなと思いました。歴史を聞くと、沼地や急な斜面だったのを開墾して、今は米作りで日本1位になっている背景があります。新潟の人って真面目で忍耐強くて勤勉なイメージがあります。地域課題もありますが、ICTの力をうまく活用していけば、課題も乗り越えていく力があると感じています。
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皆さんへのメッセージ
ーー新潟のヘルスケアを盛り上げたいと熱い思いを持って活動している方々に向けて、メッセージがあればお願いします。
僕も仕事柄いろんなプロジェクトや組織の改革に携わることが多いのですが、世の中を変える為のポイントは、患者のため、県民のために良いものが提供できるようにこだわる姿勢だと思っています。
「本当に県民の為になるのか」という部分を突き詰めることが大切です。皆さん、とても強い想いを持って参加されていると思うので、「県民のため」という事を大事に、こだわり抜いて欲しいです。ここが一番大事ですね。非常に期待しています!
本記事では、ハイズ株式会社の天辰 優太氏のこれまでの歩みや現在取り組まれている事、そして、新潟のヘルスケア課題に取り組む方へ向けた熱いメッセージをご紹介しました。次回のインタビュー記事で、またお会いしましょう!
にいがたヘルスケアアカデミー
受講生:新潟のヘルスケアをより良くしたい!と考えている県内外の方々
主催:ヘルスケアICT立県実現プロジェクト
運営:株式会社BSNアイネット・ハイズ株式会社
後援:新潟県
Twitter:アカデミーの活動や関連情報、新潟のヘルスケア情報や潜在的な課題などを発信しています。
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