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にいがたヘルスケアアカデミー2023【第9回,第10回】ミニセミナーレポート

今年度開講した「にいがたヘルスケアアカデミー2023」は新潟県内の行政職員の方々をアカデミー生としてお迎えしています。アカデミー生自身が思う新潟のヘルスケア課題を深掘り・解決する力を育てるために、今年度も多彩な講師陣をお招きして講義を行いました。

アカデミー生が受講した第9回~第11回の講義は、コユルトメンバーもリアルタイムで参加可能なミニセミナーという形で実施しました✨
アカデミー生は普段の講義で受講していた「課題解決スキルの向上」とは少し異なる視点から、新たなヘルスケアの知識をインプットできたことと思います。

本記事では第9回第11回の講義内容についてお届けいたします。
にいがたヘルスケアアカデミーの講義内容が気になる方は必見です!



第9回と第11回の講師としてご登壇いただいたのは、株式会社ファストトラックイニシアティブでご活躍されている深津 幸紀先生です。

深津 幸紀 氏 / 株式会社ファストトラックイニシアティブ

製薬会社のエーザイ株式会社に入社し、社内弁護士としてM&A、事業開発、製造、株主総会関連等の業務に従事。途中、ICT部に異動し、データインテグリティー、セキュリティー、高速ネットワーク関連のプロジェクトを主導。その後、大手外資系コンサルティングファームを経て、2019年5月より(株)ファストトラックイニシアティブに参画。
東京大学薬学部卒業。東京大学法科大学院卒業。薬剤師、弁護士、ITストラテジスト


第9回講義 『これから必要とされる地方のヘルステック』

■講義内容

本講義では①ヘルステックの重要性②自治体とスタートアップとの関係性、具体的事例を解説いただきました。

<講義のポイント>
・ヘルステックとは、ヘルスケアとIT企業が融合したもの。
・医療費がひっ迫している中で、ヘルステックはヘルスケア領域において破壊的なイノベーションを起こすのではないかと昨今期待と注目が高まっている。(但し、実態はまだまだで、デジタルヘルスはかなり厳しく、個人的にバブルは崩壊したと評価している)
・ただし、日本は国民皆保険制度を導入しており、ここまで適切な医療サービスを提供できる国はほとんどない。それ故にヘルステック業界ではスタートアップ企業が育ちにくい状態にあることが課題。(日本のヘルステックスタートアップの最大の競合は、国民皆保険制度)
・高まるヘルステックへの期待の中で、地方都市でもスタートアップ企業を創生する必要があるという流れになっている。
・新潟県は全国の中でもスタートアップが進んでいるように感じているので、ヘルステック企業も増えてほしい。地方を盛り上げる要素として必要なのは、①象徴的存在の登場 ②応援も含めた連携 ③ベンチャー人気の醸成
・最近は地域密着型で地方自治体のインフラにもなりえるスタートアップ企業が出現した。
 ⇒具体的事例としてコロナ禍で活躍した時間外救急プラットフォーム『ファストドクター』、訪問看護専用電子カルテ『iBow』や介護の業務改善プラットフォーム『介護のコミミ』など
・ヘルスケアのスタートアップ企業は知らないうちに必ず誰かの助けになる。(但し、これはヘルスケアのスタートアップ経営者が、事業をあきらめきれない理由の1つになってしまう。どんなに赤字でビジネスとして成立しなくても、誰かのためになっているという麻薬的感情が、引き際を見定めにくくする)

第11回講義 『ヘルスケアと法律』

■講義内容

本講義では法律から見るヘルスケアビジネスとその具体例を解説いただきました。

<講義のポイント>
・ヘルステック領域の「電子カルテ」「遠隔診断」「薬局DX」「健康・予防」は、法律の壁がありなかなかうまくいかない。また、エビデンスまでの取得に時間がかかることからそれ以外の部分で勝負せざるを得ないため、不安を煽るようなプロダクトになりがち。
・ヘルスケア領域の技術は人も市場も騙しやすい。科学的根拠が曖昧であったとしても、それが市場で明らかになるまではタイムラグもあるし、科学の素養がないと見抜けない。
・上記のような科学的根拠が曖昧なプロダクトの中には、製品として販売されているものもある。しかし、詐欺としては立件できず、また薬機法・景品表示法のグレーゾーンとして法規制がかからずに販売され続けてしまう。
・関連する具体的事例として「健康食品」が挙げられる。
 本来は一切の健康保持増進効果を謳うことができないことになっているが、実際は効果を謳うような表現が多い。(例:体験談やステルスマーケティングなどの手法)
 薬機法や景品表示法の規制をすり抜けた後は業界ガイドラインに従い誇張しなければ良い、となっていることも問題。更なる法規制を進める必要性がある。
・このようにグレーゾーンが広いヘルスケア領域では、法の曖昧さに耐えながらビジネスを進める必要がある。(一方で、ヘルスケアの理解が深い弁護士と組めば、かなりリスクを下げてビジネスを推進できる)
 例:法規制の考え方として、実際の条文や過去の前例に沿わない判断があったり、担当大臣・担当官が交代することによって判断方法が変わったりすることも。



第11回までの講義も終了し、次回はにいがたヘルスケアアカデミー2023の集大成となる報告会です!
成果発表会終了後からは、ミニセミナーに加えてグループ活動も開始しました。成果発表会で発表したテーマが類似していたアカデミー生3,4名でグループを作り、各自治体の施策に関する情報共有を行ったり、発表資料の表現方法について相談を行うなど交流を深めています。

アカデミー生は成果発表会で計画した施策を実行し、その成果を検証するなど発表内容のさらなるブラッシュアップに取り組んでいます。

次回、ついに約9ヶ月間の集大成を発表した報告会の様子をお届けします!

次回の更新もお楽しみに🌻


にいがたヘルスケアアカデミー
主催:新潟県 
運営:ヘルスケアアカデミー運営事務局(株式会社BSNアイネット)

Twitter:アカデミーの活動や関連情報、新潟のヘルスケア情報や潜在的な課題などを発信しています。


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