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複線型授業に思うこと2!

 今回も複線型授業について考えてみたい。

授業

 複線型授業、いろいろと考えるとこれは究極の授業の一つだと思うようになってきた。

 ちょっと脱線するが、自分が現役の時も、一斉授業、個別学習、協働学習は授業の形として、様々取り入れられてきた。個に応じた学習というのがキーワードになった頃、丁度自分が本格的にコンピュータに取り組み始めた頃で、分岐を駆使しながら、子どもの興味関心に応じた問題を作成したこともあった。しかし、環境はパソコン室に45台という時代で、週に一回使えれば上等だったし、ネットワークなどなかった時代で記録媒体はフロッピーディスクだったので、放課後一台一台フロッピーのディスクドライブにデータを読み込ませるなど、ブラックなんて言うものでなく、漆黒の世界だった。途中でバグが見つかり、もう一度やり直し。家に帰るのが10時なんてこともしょっちゅうあった。しかし、子どもがどんな反応をするだろうとそれなりに楽しかった時代だったのだが。

パソコン室

さて、本題に戻ろう。
 授業の形としては、一斉学習、個別学習、協働学習。この3つの形は授業としては王道で、今後ともなくなることはないだろうが、それを誰が主導に行っていくのか。これが大きな変化になってくるはずである。
 個別学習にしても、協働学習にしても、今までの授業はすべて教師主導であった。個別学習ということでタブレットを使用したとしても、先生が「ハイ」タブレットを開きなさいで始まり、時間も教師が決めて、終了も教師が行う。唯一やる内容は子どもが選択できるが、もう理解できたからと言って4年生が6年生の問題を解こうものなら教師から指導が入る。協働学習も同じである。テーマについてもほとんど教師が決め、グループは子どもが選択することはできるが、学習方法はほとんどみんな同じである。開始終了もすべて教師のスケジュールで行われ、発表の仕方もどこかのグループが発表して他の子どもたちはそれを聞くというやり方はほとんどの小中学校で行われている協働学習の形である。

 さて、複線型授業になるとどうなるだろう。最初の確認だけはする必要があるだろうから、数分は教師主導の一斉授業になるだろう。もしかしたら、その確認もクラスルームで確認するようにしたら、授業のあいさつが終わったらすぐ、子どもたちはタブレットを開いて確認という授業になるかもしれない。教師としてはやっぱり寂しい面がある。(まあ、複線型授業も毎時間ではないので、説明好きの先生は一斉授業の形を多く残すかもしれないが)

 さあ、ここからが問題。子どもたちはスプレッドシートに書かれた本時の学習目標とルーブリック評価を確認しながら、自分ならどのレベルの学習を達成するのか、その方法は教科書中心で行くのか、インターネットを駆使するのか、席を離れてグループを作ったり、はたまたチャットで友だちに聞いて勉強するのか様々な学習方法や学習形態を決める。

外部との連携

 学習方法や学習形態を自分で決めるというのは本当に画期的である。今まで、教師の許可なしに席を離れて勝手にグループを作って学習する、あるいは子どもがどんどん席立して友だちに聞きに行っている。途中でその場面だけを見たなら、完全に学級崩壊の形である。
 その授業形態に教師が本当に耐えれるかどうか。確かに楽は楽である。勝手に動いたり、しゃべっている子どもたちを指導しなくていいのである。今まで、学習規律のもとに、子どもの勝手は許さないという100年以上の授業の形を変えることになるのであるから。
 英語の授業では、コミュニケーションをとる時には、教師の指導の下、席を離れて子どもが自由に動き回ることはあるが、それは極めて限られた時間内の、教師の指導のもとの活動である。
 昔、グループ活動が盛んになった時、はい回る授業ということで、いかにも子どもたちは活発に動いて授業しているようだが、結果として学習目標を達成している子どもはわずかであるということで、強力な指導の下でのグループ学習でないとただ活動ありきの授業で終わってしまうという批判が多くなされたことがある。子ども任せではだめだという批判である。

 さて、複線型授業、本当に素晴らしい授業だと思う。まさに子ども任せの授業である。しかし、その授業はもしかしたら、多くの先生方がかつて目標にしてきた授業なのかもしれない。
 子どもたちが学習目標に向かって自ら学習形態や学習方法を選んで学んでいく。学習の終わりにはスプレッドシートに、ルーブリック評価を記入し、自分が今日何をどのように学んだかを反省していく、こうした積み重ねで子どもたちのメタ認知は高まっていくだろう。教師は、そのスプレッドを見ながら、個別にコメント返したりという授業になるので、その点では、かなり時間は取られるだろうが、子どもたちが学習している合間に、コメントを入れれば時間の節約にはなるだろう。その方法は、これから検討されていくだろう。
 複線型授業、これはタブレットが入ったから実現できる授業であろう。今までの学習環境でこれをやろうとしたら、まず、毎時間学習目標シートとルーブリック評価を印刷して子どもたちに手渡す必要がある。個別学習、グループ学習は可能ではあろうが、情報源は教科書か図書室の本、勉強のできる子の頭脳のみである。これでは、本当にはい回るだけの授業になろう。インターネットやネットワークがあるからこそ、様々な課題を解決する方法を手に入れることができる。今やググるだけでなく、AIを駆使することで、効率よく学習することも可能であるし、わざわざ席を立って移動しなくても、チャットの画面共有を通じて学ぶことも可能である。

 さあ、時代は動き出している。先生方の覚悟のほどはいかに。そして、ICT支援員は覚悟を決めた先生方をどうサポートしていけばいいのか。ICT支援員の新たなステップが始まろうとしているのかもしれない。続く。



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