飛び出す冬(出産の話)

妊婦話ですので、以降ご注意ください
何ヶ月前の話だよって感じですが、自分のメモがてら

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入院初日

夕方、破水のような感覚があったもののよく分からずとりあえず待機という名の昼寝を開始。夜、もう一度同じ感覚があったので準備して病院へ。

まだまだ実感なんて湧かない中、いよいよ出産かー今日産まれちゃったらどうしようかなーなんてソワソワしていた。家のドアを閉める時、ああもう帰ってくる時は1人じゃないんだなあなんてしんみりしてた。今となっては、出産舐めんなバカが、である。

病院到着後、検査で破水確定し、入院スタート。まだまだということで母と夫氏は帰宅。30分〜20分間隔くらいの緩めな生理痛もどきを感じながらもよく寝た。

基本的に図太い。


入院2日め

5時頃起床。骨盤の上あたりがぎゅうっと掴まれるような痛み。内臓が痛いとでも言えばいいのか。でもまだ耐えられるかんじ。夜間に産気づいた妊婦さんが到着されたようで、陣痛室で相部屋に。お隣さんがんばれ。

あとで聞いたら、この日は立て続けに出産があったとかなんとか。私、完全に乗り遅れる。

診察を受け、促進剤導入が決定。午前に3錠飲んで様子見したけど変化なし。午後にも3錠追加。急に痛みマシマシで脂汗。痛みの合間に夫氏にぐちぐち当たり散らす。心の余裕はない。

許せ(傲慢)

痛みによる吐き気で夕飯が食べられず、母と夫に任せる。何か口にしたら吐くレベルで痛みを感じていたのに、この日はまったく進まず夫氏と母は帰宅。明日もコレ(促進剤)やって、アレ(痛み)に耐えんのか、という絶望感。母と夫と一緒におうち帰りたい痛いのもうやだ、という悲しみにひたひたに浸る。『もう嫌だお家帰るー!!いっそ殺してくれー!』と『意地でも赤さんと一緒に帰るんじゃボケエ』と『あーこれ適応障害悪化しましたわヤベエどうしよう』が頭の中で大渋滞して混沌カオス。帰りたい帰りたいと呟きながら一晩枕を濡らす。

ここが産前メンタル崩壊のピーク。マジでしんどい一夜だった。

入院3日め

汗だく起床。朝ごはんもあまり進まない。夜中に何度も起きたため、寝た感あんまりなし。シャワーを浴びて体はさっぱり(メンタルは完全崩壊)する。朝の検診で、今日産んでしまいたいね、と言われる。赤さんに出てくる気はあるのだろうか。先は長いけど地獄の終わりが見えたような気がした。

一瞬だけな。

前日とは違い、この日は点滴タイプの促進剤を使用。使い初めて3時間後には脂汗べったり。錠剤服薬とは効きが違った。激痛でのたうちまわるも、まったく陣痛がつかず、我が子の頑なな引きこもりスタイルに遺伝子の強さを痛感。

お昼を意地で完食。その後完全破水してみるみる痛みが倍増。内臓と腰骨が弾けそうなやつ。これはあかん。死ぬこれは死ぬ。死を覚悟する。この辺で夫と母が到着。助産師さんとの会話から、まだまだこれからが本番だぜ!ということが分かり、今日も出てこないんじゃないかという絶望感。一瞬見えた地獄の終わりが遠のく。一方の我が子は爆睡して助産師さんに起こされていた。

なんぼのもんじゃい

2時間後、そろそろ麻酔入れようか、という提案を食い気味に承諾する。ちゃきちゃき麻酔処置をしてもらい、急速に痛みが落ち着く。医学、神。まじで神。

私は麻酔なし分娩だったら多分まじで心が死んでた。10万超えの課金を許してくれた夫氏には頭が上がらない。

出産は4時間後くらいかな〜ということで、母と夫は一時帰宅。痛みは感じなくなって余裕が出てきたもののやっぱりちょっと心細い。体力温存しておこうね、ということで2時間くらい分娩台でうとうと。

麻酔効いてだいたい2時間後、寝ぼけ頭で診察を受けたところ、いつの間にか出産バッチコイ状態になっていたらしい。足元で慌ただしく準備が始まった。

あとで聞いたら、この時、子の心拍が少し下がっていたとのこと。すまん、子よ。母は寝ていた。

指導されながら死に物狂いでいきむ。目を開ける、おへそを見る、鳩尾に力を入れる、深呼吸2回で息を止める、腕でレバーを引き寄せて足を踏ん張る。

いきみ中、私も子もめちゃくちゃ褒められた。うまいわね!教科書のようなお産ね!だそう。初産だし運動もしてないし、思い当たるのは妊娠中の便秘との戦いだけ。いやまさかね。

深呼吸といきみと褒められを繰り返すこと約40分、ムスメヌス爆誕。ふやけてしわしわのくしゃくしゃ。全く実感がない。でも、わたしから出てきた。しわくちゃで、へにょへにょで、一生懸命泣いていた。

ギリ間に合わなかった母と夫も爆誕直後に合流。一安心。もう痛いのは終わった(この時点で後陣痛の存在を知らない)のだ。ばっさり切られたお股を縫合されながら完全に気が抜けた。

1時間くらい後に改めて子と対面。赤い。思っていたよりも小さい。手も足も全部が小さい。耳はでかい。動いている。指を手に置いたら掴む。頭がへこんでいる。髪の毛が生えていて濡れている。ここでもまだ実感なし。おお、不思議な生き物が目の前にいる、という感じ。

ふと自分を省みると、パンパンだったお腹はぶにぶに。腕の点滴痕が痛い。でも、生きてる。いわゆる母子ともに元気です。よかった。ようこそ我が子。私の人生が変わった日。


おわり。