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日本の経験を世界へ、世界の経験を日本へ

初めまして、アイ・シー・ネット株式会社 代表の百田です。中々実態が知られることが少ない開発援助、途上国支援の世界について、中にいる人間のリアルな生態をお伝えできればと思い、遅ればせながらnoteを始めることにしました!とはいえまずは初投稿ということで、紋切り型ですが簡単に当社をご紹介します。

百田 顕児
株式会社 学研ホールディングス 取締役
アイ・シー・ネット株式会社 代表取締役
早稲田大学法学部卒業後、株式会社三菱総合研究所にてODA事業に従事。2004年4月にアイ・シー・ネット株式会社へ入社。2014年に同社コンサルティング事業本部ODA事業部部長、2018年に副社長へ就任。2019年から現職。2020年12月より学研ホールディングス 取締役を兼務。

社会課題に向き合い30年

創業は1993年、今年で30年を迎えました。
基本理念は社会課題の解決という大変広いもので、その理念に合致していれば何でもいい!というかなりリベラルな風土の集団です。
とはいえ今は主に「開発途上国支援・国際協力に関わる業務」を生業とし、その中でも組織開発や人材育成、ビジネス支援などを中心にしています。

ビジネスモデルはシンプルで、主に公的援助機関や民間企業から依頼を受け、開発途上国向けの協力事業を現場で実施する、もしくはビジネス展開を支援する“コンサルティング事業”とくくられる業態です。
また最近は新規事業や現地企業に出資する事業者としての側面も強くなっています。

国や地域としては、いわゆるグローバルサウス諸国が多く、例えばバングラデシュやラオス、ガーナから大洋州のバヌアツまで150か国以上で経験があります。

現地の人たちと共に汗をかき、変化を起こす

創業者は当社のことを“裏道国際派”と名付けましたが、言い得て妙で、一般的にイメージするグローバルな仕事とは場所も内容もまるで正反対です。
ないないづくしの国で当事者として汗をかき、むしろそういう環境でこそ生きる意味を実感できる人間の集団と言えましょう。

もう少し具体的に掘り下げます。
日本の国際協力というと、橋や道路などの設計や施工など大型の公共事業、もしくはNGOの人道支援のような仕事をイメージされることが多いと思います。
私たちはその中間というか、開発途上国政府の政策支援や組織強化、人材育成などを主な領域としつつ、その仕組みを現場でも根付かせるための研修や実践を担っています。
いや、むしろこの現場感覚にこそ特徴があり、 “言うだけコンサル”ではないという点に強いこだわりがあります。

元々日本の援助の特徴として相手国の意向やニーズにそって支援内容を決めていくという点があります。このスタイルは、相手国の自主性を重んじる分、時間もかかります。
またある意味無手勝流なところがあり、フォーマットに沿った支援内容をそのまま相手国にドンと当てはめるわけでもないので、再現可能性が低いというか、支援する国や地域によってテーラーメードな支援になっているともいえます。
このアプローチの是非はともかく、相手国のオーナーシップを尊重する奥ゆかしいスタイルは、日本らしいと言えますし、手間暇かかる分、長期的な国の発展に地味に貢献できると、私は思っています。
そしてこの手間暇のキモになるのが、現場での実践や浸透にこだわるスタイルなわけです。

例えば橋や道路を作るとメンテナンスが必要になります。
メンテナンスを計画的に行い、長期間維持していくためには政策や予算、人員配置など様々な計画が必要になります。
この辺の計画は、いわゆるコンサルタントが得意とするところですが、計画を立てただけでは何もその国に変化は起こりません。そこで私たちの出番となります。
計画と現場をリンクさせることは大変にむずかしく、きれいな看板を整えても、実際には何もその国に変化をもたらすことができません。
関わる組織や団体、人の利害関係や制約、急な政策変更、紛争やテロなどの外部条件はいわずもがな、組織の訓練不足やマインドの欠如など、不安定な国で仕組みをしっかり定着させることは、想像以上に困難なものです。

私たちのこだわりは、この仕組み作りだけでなく、制約の多い環境下でも、“途上国の人が自ら考え、自らに必要なものが何で、優先順位をつけるための考え方やプロセス、現場に落とし込むことの重要性などを自ら消化すること、なおかつその文化が継続的に定着する”ことを目指しています。
そのためには現場に乗り込んで、現場の人たちとともに過ごすことで変化を起こしていく、そういう地道な取り組みが重要になります。上述した橋や道路は、病院や学校とも言い換えられますし、国の仕組みや政策ということもできます。

この現場での存在感で言えば、当社のベテランコンサルタントは名だたる国際機関の専門家と比べても全く引けを取ることはありません。実際、その現場での献身が評価されて、相手国政府から叙勲されるほど評価された専門家もいるほどです。

そして、世界からも多くを学ぶ

もう一つ重要な点は、相手国を対等な立場として捉え、時には彼らの取り組みから学び、その経験を日本にも生かしていきたい、そういう関係性を目指していることです。

よく言われることですが、日本はGDPランキングで3位の先進国の部類にあり、援助する側に位置する国です。一方で2023年の男女格差の現状を評価したジェンダーギャップ指数は146か国中125位と、大変に恥ずかしい状況にあります。
この指数で上位に位置する国の中には、例えば7位ニカラグア(GDPランキングは125位)、8位ナミビア(同138位)と、経済発展のステージはまだまだ途上にある国が、ジェンダーギャップという点では日本よりはるかに進んだ状況にあるわけで、実際の取り組みや社会環境は学ぶことも多くあるでしょう。

また最近はグローバルサウス諸国の経済成長も著しく、日本企業にとってもはや無視できない市場に成長する国も増えています。
こういった国に進出したい日本企業の橋渡し役として、現場の経験や人脈、ネットワークを活かして事業立ち上げを共に手掛ける、こういった仕事が急速に増えています。

とまあこんなところで、当社の姿や理念、実際に働く現場や人たちを語るにはさすがにスペースが足りませんね…次回以降はもう少し肌感覚に沿った内容、例えば私自身がなぜこのニッチな業界に飛び込んだのか?
どんな人や思いが当社にはあるのか?その辺についてもう少しお話しできればと思います!