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プロジェクトマネージャーのすべき決断の種類について

PjMの仕事は決断だ。とにかく決断することでプロジェクトを前に進めなければいけない。
決めるべきことをうやむやにして皆を困らせていませんか?って話をする。

決断のパターンは3種類だと考えている。

  • 方針選択

  • 権限移譲

  • 決断条件の策定

何かしらの出典があるわけではないので経験と勘によるものだけど、僕はいつもこのうちのどれかを選択している。
プロジェクトを進める中で湧き起こるあらゆる事象において、どれかしらの決断をしなければならない。

「方針選択」の場合は選択したものを正解に導くように行動する

方針選択はこんな条件のものを指す

  • 選択肢の中に明確な優劣が存在しない(あるいは不明である)

  • 決断に必要な情報がすでに集まっており、時間を置いても材料が増えない

  • 決定した方針に従ってすぐに人が動き出す

おっさんたちが「決めの問題ですね」とよく言うやつだ。

この場合は速断する。決断を先延ばしにするといざ着手した際に思わぬ問題が浮上して皆が困ることがある。
この決断は勇気がいるがPjMの責任として進む方向を示す。

重要なのは、皆で選択したものを正解に導くように行動することだ。後からやっぱりあっちの方がよかったなと思うことは多々あるが、それは決断して進んだから見えた景色なので気にしても仕方ない。本当に間違っていたのならさっさと方向転換すればいい。

また組織に「議論は本気でする、反対意見も遠慮なく言っていい、だが決定事項には従い目標達成のために尽力する」という文化が根付いていないといけない。このことはプロジェクト開始時に説明しておくといい。
しかし、会議では発言しないくせに後からグチグチと言うやつはいる。しばき回したくなる気持ちを抑えて無視するしかない。非協力的であれば、社会人としてスマートなやり方で痛みを与えるしかない。

方針選択は速やかに行う。

「権限移譲」の場合は達成すべきものを示して決断者を指名する

深い専門知識が必要であったりより適任者がいる場合は決断する人を指名して権限移譲を行う。

全ての決断をPjMが行う必要は全くない。変に介入しようとすると、むしろプロジェクトの進行を遅らせることになる。

この場合PjMが行うことは下記だ。

  • 達成すべきものを明確に示す

  • 決断者を直々に指名する

  • 決断の期限を設定する

判断材料と目標を伝え期限を明確にする。
指名した人が決断に困ることがあれば、障害になっているものを一緒に取り除く。情報不足であれば一緒に情報収集をする。関係各所との調整が必要であればPjMが手伝う。

権限移譲は積極的に行った方がよい。プロジェクトが速く進む。

ただ、権限移譲を無責任な丸投げにしないために大切にしていることがある。

  • 権限移譲者をひとりにしない

  • 基本的に対応方法には口出ししない

  • 最終的な成果物への責任はPjMが持つ

権限を移譲して、はいよろしく!ってわけにはいかない。定期的に大丈夫?って様子を伺った方がいい。責任者ってのは不安と孤独を抱えているものだ。
そして、当たり前のことだけど、権限移譲責任というか他者に決断を委ねた以上、その人の決断の責任はPjMにある。サポートしつつ見守って、失敗した場合はPjMが皆にごめんなさいする。別の記事に書いたけど、メンバーを守る義務がある。

「決断条件の策定」
今決められない場合、決断が可能となる条件を明文化する

プロジェクトを進める中では、多分このパターンが一番多い。

  • 決断に必要な情報や条件が不足している

  • 現状では不確実性な要素が多く、時間経過に伴って明らかになる要素がある

  • 決断を先送りにしても弊害が少ない

このようなものは積極的に決断を先送りにする。むしろ決めてはいけない。当てずっぽうの決断に皆が引っ張られることになる。

ただし、ただ先送りにしてはダメだ。
下記については決めて資料に書いておく。他者が参照できる状態にしておくことが大切だ。

  • 決断に必要な条件(XXの検証結果、XXの合意をとる、XX時点でのプロジェクトの状況)

  • 決断のデッドライン

どちらかを満たした時点で決断を行う。
そして条件やデッドラインが書いてないと、ただの忘れられた何かになってしまう。先が見えないってのは、強い不安を与える。不安は恐怖に変化してプロジェクトを破壊する。

ほとんどの場合、情報など十分に集まらず決断のデッドラインがやってくる。
当たり前だ。ちょっと考えたり、調べたりして選択肢が明確になる問題など金にならないし、こんなに多種多様なサービスも生まれたりしない。

PjMは不確実性を多分に孕んだ決断を行わなければならない。そしてその責任を取らなければならない。だからこそ存在に意味があるし、皆やりたがらない職種なんだと思う。

何に基づいて判断するかは、プロジェクトの目指すべきところ、会社のビジョン、顧客が本当に望むもの、そこらへんだろう。

僕は臆病者なので、とにかくリスクを減らす決断をしがちだが、これだけじゃあいけないんだろうなぁと常々思う。うーん、つくづく難しいや。


この記事は「プロジェクトマネジメントとか組織作りとか Advent Calendar 2022」の12月11日分として書きました。僕が普段考えていることを言語化しています。他の記事も読んでいただければ幸いです。


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