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正しく見積もるたったひとつの方法

プロジェクトマネジメントの肝は見積にある。
最も重要な要素だと断言する。

まあ難しい。はっきり言って未来予知の領域だ。見積もりに自信があるって人がいたら紹介してほしい。僕にはできる気がしない。

しかし、かなり正確に見積もる方法が一つある。それは再現だ。
要するに同じことをもう一度やるってことだ。システム開発においては、最強の見積方法は一度作ってみることだ。

寝ぼけてんじゃねーぞ!できるならやってるわ!って気持ちはよくわかる。そりゃそうだ。全ての仕事に対してそんなことをしていたら会社が潰れちまうわ。

まあ全部作れとは言わない、新しい何かを作る際には10%くらい着手してみて、それで見積もってみるのがいいんじゃないって話だ。

何もシステム開発に限った話ではない。仕事全般に対して同様のことが言える。詳しいことはこの本に書いてあるので詳しく知りたい方はどうぞ。ビジネス書を読むYoutuberである堀本氏の感想動画も面白い。

見積精度を上げる方法について書いてみよう。

少しだけ着手してみる

冒頭に述べた再現にもっとも近い方法だ。不安要素の大きいタスクに対して実施するとよいだろう。

不確実性の高いものに対しては、見積もる前にちょっと作業してみる。

ウォーターフォールの開発だから設計の前に作るなんてできないよ…って意見はあるだろう。いや、ウォーターフォールだからこそやるんだよ!と叫びたい。設計段階で一画面分でもよいので実際に動くものを作ってお客さんに見せるんだ!下流に流れたら止められないんだ。これほど怖いものはない。

実際に作ってみることで設計時に考慮すべきことが新たに見つかるかもしれない。また、今作ろうとしているものを本当にお客さんが欲しがるのかを早い段階ではっきりさせた方がよい。そのための予算とエンジニアの工数は絶対確保しろ!

なんか不安だなーって思う要素を放っておいたら、最終的に大きな問題を運んできたりする。結局のところ、やってみないとわからない。

システム開発だけの話ではない。なんの仕事にせよ「いつまでにできる?」って質問されたら当てずっぽうの納期を答えてはいけない。自分の首を絞めることになる。対応期日はいついつまでに回答しますと答えることをおすすめする。

実際に作業するメンバーと一緒に見積もる

まさか見積はマネージャーなんかが一人でExcelと睨めっこしながら作るものだと思ってないだろうか?

それは大間違いだ!声を大にして言いたい!
仮に先に述べたように少しだけ着手して、おおよその時間が想像できたとしても実際に作業しない人間だけで見積してはいけない。

過去の僕自身はそのことに大して疑問も抱かず、いつの間にか決められた納期や予算に向けてがんばっていた。が、うまくいかない。想定外の問題がポンポンと出てくるわ。着手した時点でどう考えても間に合わないタスクはあるわ。でもお客さんには既に約束しているし。どうしようもない。

重要なのは実際に作業する人間と一緒に見積作業をすること。

プランニングポーカーみたいなことをやってもいいし、普通に会話してもいい。みんなで、丁寧に、時間をかけてやった方がいい。そして、前提条件として実際に少しでも着手して作ったものがあった方がいい。そうでないと、何人で話し合おうが次に出る賽の目を予想しているようなもんだ。

ここからはちょっと嫌な気分になることを書く。

作業者一人だけに見積もらせることもおすすめしない。
残念ながら人間は怠惰だ。仕事の納期を好きに設定できるのであれば、自分を守ろうとする。だから複数人で見積もった方がよい。
マネージャーの希望だけを押し付けてもいけないが、作業者に好き放題させてもいけない。

世の中には生き生きとしたチームで伸び伸びと開発とか、メンバーを信頼することが成果を生み出す、みたいなキラキラした考えが沢山ある。きっと、それらも事実なんだろう。

ただ僕はものすごくネガティブで臆病なので、どうしてもそこまで人を信用できない。こんなことを書くと一緒に働いている人に申し訳ない気持ちになるが、常に悪いことが起きることを想像して仕事をしている。職業病だと思う。

見積は当たらないし人は失敗する。だから実際に作ったものを信じる。
楽観的な見積は本当に多くの人を苦しめる。だから面倒でも事実を積み上げるしかない。僕には未来予知なんてできない。


この記事は「プロジェクトマネジメントとか組織作りとか Advent Calendar 2022」の12月5日分として書きました。僕が普段考えていることを言語化しています。


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