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茂見社長とユーザ起点のイノベーションを探る ー第1回 : 日本郵船 様ー 3/3

ICI総合センターが「ICIオープンイノベーションLIVE」にて、共創パートナーである 株式会社トヨコーの代表取締役社長CRC 茂見様と日本郵船株式会社の執行役員で、デジタライゼーショングループ長も務めていらっしゃる鈴木様をお迎えして3社による対談が2020年7月1日(水)オンラインにて行われました。昨日より3日連続で対談の模様をお伝えてしております。今回はPart03をお送りします。

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ICI総合センターとの類似点とは

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土の話から木の話になってきていますが、岩坂さんにもお聞きしたいのは、前田建設でもICI総合センターを立ち上げオープンイノベーションに取り組まれていますが、先ほど鈴木さんから、土(人)作りや交差点で生まれるもの、それがポジティブでありポイントだ、という話がありましたが、いかがでしょうか。

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今も人づくりの真っ最中です。先ほどGive&Giveというキーワードがありましたが、お見合いおばさんのようにICIに関わって下さる方々が喜んでくれることがうれしい、という気持ちが根底にあるので、そういう役割を今後も果たしたいと思っています。ただ自社のメリットも必要なので、難しい部分はありますが、しかし今日のお話を聞いて、やはり「みんなでワイワイ」で進めないといけないなと、聞きながらずっと思っていました。

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オープンに人がつながっていく話の本質は、鈴木さんがお酒と人が好き、というところかと。 入社当時からいろんな人と飲みながら夢中になってやっているところ(笑)。先ほどの同業三社統合業務のお話はまさにオープンイノベーションだと思うんですよね。競合である三社が集まって、22か国の異なる文化の取りまとめを行いつつ、新しいものを生み出す中で、鈴木さんの動きの一つ一つがみんなをワクワクさせるものだったのではないかと思いました。その後のシリコンバレーでもそうです。そして、その経験が今のデジタライゼーション部門で人づくりにつながったのだなと思いました。

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鈴木さんのお話を聞くと、ICI総合センターは現状、現地と現場に全く飛び込んでないですね。面白いことをやる、そのためのネットワークを作るため、能動的な動きが、まだまだ足りないと感じました。

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でも、岩坂さんのファンタジー営業部の取組は、思いっきりオープンイノベーションですよね。

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あれは涙を流しましたよ!

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ありがとうございます。確かにあれは「面白いことをやろう!」だけだったと思います。NYKさんの業務はシリコンバレーの方にとっても「船」というイメージしやすい部分があろうかと思いますが、日本の「ゼネコン」という特有の事業形態を一般の方に伝えることは一つのハードルだと思ってます。その中で前田建設がオープンイノベーションで何を、そして何処を目指すのかを聞かれることがあります。今日、鈴木さんにお聞きしたかったのは、以前、鈴木さんが記事で書かれていた「顧客のペインにフォーカスする」というイノベーションの起こし方、あるいは様々なデータを取りうる中でどのように絞り込むかです。ご示唆があればお聞きしたいです。

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絞り込みの必要性は必ずしもないのでは。ペインもさまざまで、見る方向で見え方が変わるし、仕事に密着したものもある。ペインというものを言い換えると「問題設定能力」が重要だと思う。これまでの教育では「一つの答えを求める方法」を教わっていましたが、「問題を作ること」をしてきませんでした。それが重要であり、答えがない中でいかに正しく問題を設定するのかだと思います。間違った設定をしてしまうとすべての解が間違いになります。正しい問題を設定すれば解が得られますが、おそらくそれはひとつではありません。今後はこれが重要になっていくでしょう。
私はこれをデザインシンキングだと思っていて、人に共感し、ペインを探し、正しい課題設定と高速でPDCAをまわすこと、間違っていたら問題設定に戻る、の繰り返しで正しい解にいかに早く近づくかが重要だと考えます。
これから必要なのは正しい課題設定の能力、そしてアジャイルで、フレキシブルで、レジリエントであること。言い換えると、たくましく、しなやかに生きることではないでしょうか。答えが分からないので間違うこともある。シリコンバレー的な失敗を受け入れる、というようにマインドセットを変えないと日本的な一つの答えを求めるマネジメントの仕方では、今後、ちょっと厳しくなっていくと思ってます。そういう意味で土に種をまいている状況。そして、そもそも今すべきだったことを、コロナで早めに始めた印象です。

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岩坂さんはICI総合センターを活用しながら、どのような世の中の困りごとを想定しているのでしょうか。さきほどの鈴木さんの話で言うと、いかに問題を設定するのか、という部分になると思います。また、デジタルは手段であって、集めたデータを活用して何を解決するのか、その問題設定を間違うと集めたデータも意味がなくなると私は解釈しています。出発点の課題設定というのは、岩坂さんの方でも力を入れていると思っていますが、いかがでしょうか。

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当社のビジョンである、総合インフラサービス企業という面から直接的に考えれば、例えばインフラ構造物の快適性や耐久性の可視化・数値化などが考えられます。これが「顧客のペインへのフォーカス」の一つと思っています。ただ現実にはより広範なベンチャーさんと共創させていただいています。どのくらいの数のベンチャーさんと付き合い、どれくらいのトライ&エラーを行うか、我々の現実問題としてリソースの限界もありますからその辺をどうすべきか悩んでいます。

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オープンイノベーションの進め方や今後求められることなど、様々な示唆を頂きました。

デジタルの価値、アナログの価値を探る

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SDGsについても触れたいと思いますが、いかがでしょうか。

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鈴木さんのお話を伺っているとSDGs云々でなく、自分で腹落ちする課題を見つけて取り組む、という感じなんでしょうね。

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スタートアップや投資の世界では、SDGsに基づいている、という感覚はないと思う。
アメリカでは、クリーンテックの盛り上がりは原油価格に左右されるところがあります。なので、まだまだ経済原理が働いている面もありますし、その他にもポリティカルコレクトという面もありますから最近の社会情勢も影響していると思います。
SDGsなど環境関連はヨーロッパの影響が強く反映されているので、SDGsやESGについてはヨーロッパを見るようにしています。

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同じCSRという言葉もヨーロッパとアメリカでは意味が異なりますからね。
もう一点お聞きしたかったのは、我々の手本となるデジタルフォーワーダー(国際物流サービスにおける、クラウド等を活用した情報プラットフォームを駆使した企業)として、物流におえるトラブル発生時の対処方法や示唆がありましたら教えていただきたいです。

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ものごとは思った通りに進まない、という考えを持つべきだと思います。異常事態の時にいかに誠実な対応するか、これがサービスを選ぶときのひとつの基準になると思います。いろんな環境と闘っていて思うのは、何か起こった際にどうやってきっちりとしたリカバリーできるかということ。ですので、ヘルプセンターにその評価がかかっている部分もありますが、機敏に動けるか、誠意を持っているか、最後はそこだと感じている。あとは顧客の視点を常に持つことが重要だと思います。顧客にとってデジタルなど方法は関係がありません。スピード感と誠意が求められます。
今後、デジタルとアナログの融合が進み、人の余剰時間が生まれるはずです。第二の進化論生物が進化出来たのはでは「新しい能力を身に付けることで余剰エネルギーを得ることで、進化する余力を得る」というのがあり、これからはデジタル化で得られた余力をどう進化につなげるか、という部分を私はアナログだと思っています。例えばぬくもりや温かみという体験という方向にむかうのが一つの姿かなと思います。前田建設さんの業務でいうと、VRでの新しい空間認識の提供よりも、自然のぬくもりやにおいを感じる、あるいは自然光や風を感じるようなリアルな建築体験を作ることが大事かなと。それからオンラインが進むと「知らない人とが減る、出会いが減る」ので、交差点を作るような、まちづくりの工夫ではないかと思いますね。

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そうですね、コロナ以前のオフィスなら、近くに座っている同僚の業務や心身状況もある程度分かりましたが、テレワークはそれが分からなくなりましたね。偶然の会話、情報共有がなくなる感じですね。
鈴木:まさに、まちづくりですよね。隣近所との交流がなくなってコミュニティの崩壊に向かわないような対策が求められるのではないかと思います。デジタルの時代だからこそ、リアルが求められるのではないでしょうか。

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コロナによってデジタル化という話が多く言われていて、その中でも各会社の強みや価値は別にあると思います。先ほど出たように、人の集まる場所を作る価値が以前より高まっていると思います。アナログな部分で新たに価値が上げられる、まちや空間・・・これは前田建設さんの強みを生かせる部分でもあると思うんですよ。

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その辺も是非、また別のお時間いただけるようでしたら(笑)。

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期待しているところなんです。デジタルだけがイノベーションではなく、アナログでもイノベーションはあります。

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土地ではデジタルによって新たな場所貸しや時間貸しなどいろいろな可能性があると思いますね。最後に大きなヒントを頂きました。

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当社は前田建設さんと日本郵船さんと、それぞれとは取組をしてきましたが、今回このように3名が集って色々なアイデアが生まれましたから、今日のこの場も、一つのオープンイノベーションではないかとうれしく思っています。是非このご縁も続けていければと思っています。
お二人とも貴重な機会となりました。ありがとうございました!

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貴重な機会をありがとうございました!

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こちらこそ、ありがとうございました!

(終わり)

3日間連続に渡ってご紹介した「茂見社長とユーザ起点のイノベーションを探る」はいかがでしたでしょうか?Afterコロナ・Withコロナの時代を生き抜く何かしらのヒントになれば幸いです。

第一回は日本郵船様にご参加いただきましたが、この企画は引き続き連載を行い、次回はNTTドコモ様との対談を予定しております。ぜひ次回にご期待ください!

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