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小説のようなエッセイ

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遅刻する朝

遅刻する朝

家族でゆっくり食べる朝食が好きです。

心地良いホテルの朝、子供達はパンケーキにアップルジュースとオレンジジュース、僕らはアイスコーヒーとアイスティーを飲みながらゆっくりするなんて、最高だと思います。

自己紹介の変わりに好きな場面を書きました。

現在、41歳。特に特徴はないですが、ポジティブと向日性でシンプルに暮らしていこうと思います。

4月の雨が5月の花を咲かせる

言葉、色彩、ときどきコ

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東京23区の物語り。〜杉並区の女性、焚き火を囲んで〜

東京23区の物語り。〜杉並区の女性、焚き火を囲んで〜

2000年の春、雨上がりの心地良い夜明け前、僕は控えめな住宅街のコンビニにいた。

街の夜明けは、集中すれば子供達の寝息さえも聞こえそうな静寂に包まれていた。

当時、学生だった僕はマンションにいても特にやることもないのでコンビニに出かけ、とりわけ興味もない雑誌の立ち読みをしていた。

数分たった後に2人組が入ってきた。多分始発で帰ってきたのだろう。

確か、男性はキャメル色のスーツと桜色のシャツ

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東京23区の物語り。〜新宿区の女性、靴の物語〜

東京23区の物語り。〜新宿区の女性、靴の物語〜

天気なんて覚えちゃいないけど、その日は早稲田駅から飯田橋駅へ向かうため東西線に乗っていた。いつもと逆方向だ。

大学二年生で、授業が終わり夕飯を誰かと食べる予定だった。

神楽坂でその女性は乗ってきて、ぼくの目の前に座った。
新しいスーツを着て透明感のある女性で、面接官がすぐに合格を出すような性格の良さも外面に現れていた。
少しの違和感を除いて。

数分経った後、その違和感を理解する。

彼女の膝

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