1970年代の散文5 陰の棲息
陰の棲息
充分に満ちた
純白に
流れる血を受け止め
華やかな
沈黙に
誰ひとりとして疑いを抱かぬ
事実に
踏みにじられ
離れる空を
弄び
焦燥は
地獄の
喜びに
触れようと
人々を
宴に誘い
いつか吐き出す
島に聳える山に
確かめようのない罪を背負って登る
身を
食らう
陰の棲息
今を刻として
見定めるように
殺る
別の戸口には
吹くひとひらの
羽が泣き
無為を
為す
ロンドン・パリ・ブタペスト
蹂躙の花園へ
音の嵐を誘い込む
1975/Paris-Tokyo 一陽 Ichiyoh
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