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松ぼっくりのハチミツ漬け

コロナがじわじわはじまりだした頃に行ったウラジオストクのレストランで、いけてる若い女子ガイドさんが「これはぜひ味わっていただきたいです! このお店の名物ですよ!」と教えてくれた珍味があった。
それがこれ。

松ぼっくりのハチミツ漬けだ。
まだ若い生えたての松ぼっくりを採って漬けるのだという。恐る恐るなめてみると、ハチミツの甘さと同時に松のすっきりした匂いが鼻に抜けた。寒く長い冬を過ごすロシアの人達は、あの青くささに夏を思い出すのかなぁ。好き嫌いは確実に分かれると思うが、私はけっこういいなと思った。

「お土産用の瓶詰めもありますよ!」
と言われたけれど、迷った末に買わなかった。帰ってきてから「やっぱり買っておけばよかったな」と何度か思った。いまだに思っている。

でも私は分かってもいる。
「あのとき買えなかった」という記憶、後悔や惜しむ気持ちも、いい旅の思い出なのだ。
衝動買いしたものやすんなり買えたものは結構買ったら満足してしまう。買わなかった、買えなかったもののほうが印象深く記憶に残る。買いそびれたものの記憶も、自分へのお土産になる。


……で、今検索したら、松ぼっくりのハチミツ漬けはAmazonで買えるらしいのだ。ちょっと欲しいけど、なんでもすぐ買えるというのは良いようで味気ないような気もする。そんなことを言いつつ、そのうち買ってしまうかもしれない。

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