見出し画像

【茶室作り日記】第13回:茶室の完成−茶会が開催できた


■ 1 ■ 職場の同僚をお招きして

職場で「お茶室を作った」と話したところ、興味を持ってくださった四人が茶会に来てくださいました。お茶との関わりは、現役で教室に通っていらっしゃる方、会社の茶道部を休会中の方、だいぶ前に習っていた方、経験はないが興味を持っていらした方でした。特に最後の方は、「はじめてお茶会に招かれました。」という本を読んで予習されて、楽しみにしていただいた様子でした。

画像1

お酒をいただける方が多いということで、最初に点心のお弁当とお酒をお出ししました。話が弾んだところで、お菓子と薄茶一服です。

道具組は、雛祭りの頃で、立雛図の華やかな軸を掛け、桃の花と菜の花を入れました。

茶器と茶碗は華やかな花兎蒔絵白粉解と仁清写金砂子色紙草花絵とし、茶杓はお酒好きな皆さまを思い銘「酔花月」を選びました。

最後まで盛り上がって楽しい会でした。茶会のお酒好きな方はお酒が足りず、近くのお店で二次会を催したと後で聞きました。

■ 2 ■ グローバルなご家族をお招きして

画像2

家で稽古している方の知り合いに外国のご家族の方がいらして、甥っ子さんに日本文化を経験させたいとの話で、家でお茶をお出しすることになりました。

奥様はタイ人の経済学者で普段はシンガポール大学で教鞭を執っていますが、仕事関係で3か月ほど日本に滞在しています。
キプロス人の旦那さんは技術者でご自分で会社を経営しています。
お二人は日本に留学している頃に知り合って結婚し、20年近く日本に住んでいました。

甥っ子さんは旦那さんのお姉様の息子で、お父様はイギリス人です。
ロンドン在住で、友人夫婦を尋ねて約3週間に来日しており、初めてのアジア圏、日本ということで、刺激が多いようです。

タイ、キプロス、イギリス・・とグローバルなお客様で、スタッフ一同着物を着てお迎えです。
ご夫婦は日本語が堪能で、甥っ子さんに通訳していただきながらお茶を点ててお出ししました。

道具組は、甥っ子さんが卒業されるということで、軸は新しい門出を祝って「関 南北東西活路通」とし、奥様の出身地に因んでタイで作られた宋胡録の香合としました。

さらに6月で桜の時期は過ぎてしまっていましたが、日本の花の桜をお目に掛けたいと思い、茶器に夜桜平棗を、茶杓に「花吹雪」をお出ししました。

甥っ子さんは日本文化に興味津々の様子で、着物を着てみたいと言い始めました。どうも忍者や武士をイメージしているようです。着物を着て、風炉の前に座ってもらいお茶を点てるポーズもして、ご家族とも満足されたように帰られました。

画像3

画像4


■ 3 ■ 留学生をお招きして
中国出身の大学生、Cさん卒業記念茶会を行いました。

画像5


待合に、以前陳さんからいただいた、中国の切り絵細工である福と鯉の剪紙(ジェンシー)を荘ってお迎えしました。鯉は、黄河中流の「龍門」を遡上すると龍になるという出世魚で、また鯉は「利」と同じ発音で縁起が良いとのことです。

画像6


軸は、こちらも卒業ということで「関 南北東西活路通」の軸を掛けました。棗は中国のイメージの赤を使った亀甲絵朱石地塗大棗、乾山写しの漢詩の入ったお茶碗、茶杓は旅立ちの時で「観帆」としました。

Cさんは数年間日本にいて日本語も堪能で、お抹茶もお寺でいただいたことがあり、点前や道具の説明にも興味深く聞いてくださいました。

画像7


■ 4 ■ 釜師をお招きして
新宿のギャラリーにて奈良の釜師のKさんと知り合いになりました。Kさんは、珍しい女性釜師で、お父様まで三代続いている釜師の家の出身です。
お嬢さんの桃の節句に合わせてKさんが作られた炉釜が手に入り、雛祭りの茶会にお招きできました。

画像8


さらにお客様として、日本人としてのアイデンティティを大切にするインターナショナルプレスクールを経営されているNさんにも参加していただきました。
このとき、スタッフのSさんがかつて保育園の先生をしたことがあり、初対面のNさんとの会話が盛り上がりました。

画像9

点心のお弁当と雛祭りらしく蛤のお吸い物、Kさんの故郷の奈良のお酒をお出しして和やかに茶会が進みます。

軸は立雛図、花は桃の花と菜の花です。
そして主役海松貝繰口釜は、女の子の成長を願う思いを、海松貝の文様と桃の鐶付で表した素敵な釜です。
少し華やかにと思い、インド絹のサリーを仕覆とした塩釉婆娑羅茶入、薄器は住吉蒔絵としました。
茶碗は奈良に因んで奈良絵の赤膚焼、茶杓は薄茶器に合わせて濃茶は銘「住吉」と、茶は銘「胡蝶」を選びました。
主菓子は、雛祭りに合わせて桃の「西王母」にしました。

画像10

Kさんは道具好きのようで、茶道具の話で盛り上がりました。また、たまたま近所に引っ越されて、この後、何回か来ていただくことになりました。さらに、このご縁がきっかけで、数年後に実現した師をお招きしての茶事の記念品を作ってくださいました。

釜師Kさんは新宿の柿傳ギャラリーにて、
―寧楽づくし工芸展― 代をつなぐ」に、他の奈良の作家と共にお父様と作品を出品されます。
https://www.kakiden.com/gallery/archives/44168/

■ 5 ■ 稽古メンバーの亭主デビュー
拙宅でお稽古をしているメンバーの中で亭主をしていただこうという話になり、Nさんに初めての亭主を担当し、茶会を開催していただきました。
お客様は、Nさんのご友人の親子で、Nさんがお点前をして薄茶をお出ししました。
他のメンバーや私はサポートに徹しました。

画像11

軸は、これからも精進するという意味を込めて「白珪尚可磨」を掛けました。
お子さまがいらっしゃるとのことで、寄付にお地蔵様の古摺佛を掛け、お茶碗はハート形と子どもが手を繋いでいる絵の「世界は一つ」です。
季節は秋で、茶杓は銘「梢錦」を選びました。
お子さまもお菓子と抹茶をいただいてくださって、楽しいひとときを過ごすことができました。

画像12


どの茶会もとても楽しく充実した時間を過ごすすことができ、茶友がいなければそして茶室がなければ実現できなかった茶会でした。

上記のお茶会は自宅にお茶室を作ってから数年の間に行ったものです。参加者のプロフィール等は開催当時のものです。
写真も数年前のもので、コロナ禍の現在においては、お稽古時にはマスク着用等、感染拡大防止に充分配慮して行っております。

つづく

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?