誰もがタイムマシンを持っている
過去・未来を自由に行き来できるタイムマシン。
私は、この不思議なアイテムを誰もが持っていると思っている。
未来へは、予知夢という形で。
過去へは、記憶という形で。
私は今朝、過去へ行ってきた。
時は1997年。
父はまだ、生きていた。
朝から二人は、喧嘩をしている。
私「早く会社行ったら?」
父「うん。もう少しテレビを見て茶を飲んでから」
私「早く」
父「まだだよ」
私「もう終わりにしたら?」
父「黙ってなさい!」
面倒臭いな。
私がテレビを見たいのに。
ああ、またイライラする。
こんな調子で、父との関係はずっとギクシャクしていた。
学生時代、複雑な思いで過ごしていた父との記憶。
そんな私を、透明なもう一人の私が見つめ、過去の自分を眺めている。
透明な私は父を見て、ゆっくりお茶でも飲みたいし、時間ギリギリまでテレビを見たいよね、と頷く。
時間軸の立ち位置からこんなにも、私という人間は変わるものだと驚く。
今から過去を見れば、過去に許せないと思った人は許せるようになるし、自分の過去の過ちも、自分で癒すことができる。
なんてすごいアイテムなんだ!
ただ、問題は・・・
行きたい時に行けるタイムマシンではない、ということだ。
気まぐれにタイムマシンが発動し、時代を飛び越え本人が思いもしなかった世界へ連れていく。
だけどきっとそれは、私が無意識に望んでいる世界なのだろう。
人生でもう会えなくなった人たちがいても、私は大丈夫。
タイムマシンがあるから。
そして、またいつ発動するかわからない面白さが、ある。
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