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光る君へ(1-4)ドラマの種を仕込む・大河ドラマで学ぶ脚本テクニック
大河ドラマ「光る君へ」が面白い。ということで、「「光る君へ」で学ぶ脚本テクニック」と題した動画を作っていくことにしました。動画といっても内容はスライドとテキストなので、noteにも載せていきます。今回は第一回〜第四回までの学びポイントです。
歴史の知識や「源氏物語」については一切触れませんので、予めご了承ください。
今回の学び
![](https://assets.st-note.com/img/1706779025107-LuYWl5mKYE.jpg?width=1200)
今回の学びポイントは、暗示、枷、対比、三角関係、一致、です。
順番に説明していきます。
1.暗示
![](https://assets.st-note.com/img/1706779607828-ThM42t9uHX.jpg?width=1200)
これはキャラクターや運命を暗に指し示すテクニックです。
タイトルバックで、手の映像が印象的に使われていますよね。
つなぐ手は愛を表し 書く手は自己実現を表しています。
愛と自己実現は、両立困難であるがゆえに、ドラマや映画でよく描かれるテーマです。
「光る君へ」も愛と自己実現の葛藤がテーマであることを、タイトルバックが暗示しています。
![](https://assets.st-note.com/img/1706779784593-0FZhojT5Xj.jpg?width=1200)
もう一つの暗示です。
第1話で、まひろの飼っている小鳥が逃げてしまいます。
このエピソードは、まひろの人生を暗示しています。
まひろの着物は蝶の文様です。
鳥も蝶も、自由に飛び回る生き物です。
母と三郎は、小鳥に対して対照的なセリフを言います。
母は籠の中が幸せと言い、三郎は籠の外が幸せだといいます。
鳥籠は身分やしきたりを表しています
母は皮肉にも、それを逸脱したせいで殺されてしまいます
まひろも今後、籠の中と外、どちらを選ぶかの選択に迫られることを、逃げた小鳥は暗示しています。
2.枷
![](https://assets.st-note.com/img/1706780116631-Bgdhu6S1nC.jpg?width=1200)
枷というのは、「登場人物を束縛するもの」のことです。
ドラマに枷は不可欠です。枷がなければ見る方の感情は盛り上がりません。
第一回で、三郎の兄がまひろの母を殺します。
三郎の父に雇われているまひろの父は、保身のため、それを病死として片付けてしまいます。
なにか「平安のロミオとジュリエット」といった感じですね。
この枷によって、視聴者の心もガッチリつかまれました。
3.対比
![](https://assets.st-note.com/img/1706780309125-33cH4SXuOj.jpg?width=1200)
三郎の姉・詮子と円融天皇の話が、まひろと三郎の話に対比する形で描かれます。
愛と憎しみの物語を2つ並行して描くことで、ドラマに立体感を出しています。
![](https://assets.st-note.com/img/1706780402155-ZWPneYQOR0.jpg?width=1200)
もうひとつの対比は「手」と「足」です
これは穿ち過ぎかもしれませんが、テーマを象徴する手に対して、足がキャラを象徴するものとして使われているように思います。
足で字が書けるという特技は、常識にとらわれない三郎のキャラを表していますし、兄につけられた足の傷は、大人になったまひろが三郎を同定する徴となります。
また、仕事で失敗したまひろは、小石に八つ当たりして草履を飛ばしてしまい、それが三郎との再会のきっかけになります。
皆さんはどう思われますか?
今後も注目して見ていきたいと思います。
4.三角関係
![](https://assets.st-note.com/img/1706780574005-z7CVzdrzNh.jpg?width=1200)
第三回に謎の男が出てきました。
三郎はその男と間違えられ捕らえられてしまいます。
このエピソードは、謎の男が三郎と対を成す登場人物であることを示しています。
男は散楽の役者で強引な性格です。
これは三郎を反転した設定で 三角関係を描くときの典型的な設定です。
今後まひろは、高貴で穏やかな三郎と、下賤で強引な謎の男の間で揺れ動くことになると思います。
5.一致
![](https://assets.st-note.com/img/1706780696821-f1rkjLk7Ve.jpg?width=1200)
第4回のラストで五節の舞を舞うまひろは、客席の三郎に気づきます。
三郎の隣りに座っているのは母を殺した男です。
まひろは、三郎が母殺しの弟であるという衝撃の事実を知ります。
この、映像的見せ場とドラマのクライマックスの計算された一致は、たいへん見事で素晴らしかったと思います。
最後までお読みいただきありがとうございました。
第五回以降も、こんな感じで学びポイントを取り上げていくつもりです。
背景画像:
From The New York Public Library https://digitalcollections.nypl.org/items/510d47e3-fe62-a3d9-e040-e00a18064a99
動画
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