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~第18回~ 「魚の話」

本年も8月1日の例祭、8月2日の神幸祭、それぞれ厳粛に奉仕させていただきました。
当社では様々な神事毎に神饌(しんせん)と言って、神様へのお食事を御神前にお供えし、おもてなしを致します。
神饌には、生のまま供えられる生饌(せいせん)と、調理したものをお供えする熟饌(じゅくせん)がありますが、魚はその時期のものを用意します。

神幸祭中の橋上祭での魚は、まず江戸前の白鱚の日干し。それと見沼の鯉です。
夏の時期、江戸湾で獲れるのは白鱚で、生は腐ってしまうので日干ししたものを用意いたします。
また鯉は神域東側に広がる見沼で直ぐ手に入る為で、この地方では元々、お祝いの魚は鯉です。

一方、12月の「大湯祭」では鯉、鮒、小鮒、塩鰹等を用意します。
鯉はあらいにして、鮒は櫛にさし、型を整えながら焼きます。
小鮒は焼いたもの、塩鰹は塩漬を切ったものです。
このほか、鰹節を切ったものやスルメ、タコ、鮑等を海の物、木の実や根菜、山鳥等の山の物、それぞれを分けて百味膳として調製いたします。

そのような神饌で、神様にお食事を差し上げておもてなしをした後、そのお下がりを参列した人たちでいただくのですが、それを「神人共食(しんじんきょうしょく)」と言います。
「直会(なおらい)」とも言いますが、神様と私たちは古来、食を通して触れ合ってきたのです。

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〔 Word : Keiko Yamasaki Photo : Hiroyuki Kudoh 〕

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