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~第100回~「スサノオノミコトへの祈りの心は全国に」

氷川神社の主祭神・スサノオノミコトは、「天岩戸」や「八岐大蛇退治」など有名な神話に登場する神様として全国でその名を知られております。

そのスサノオノミコトへの信仰は、氷川神社の神域を越え、日本各地で暮らす人々の間に浸透していきます。
その最たるものが全国6月末、または7月末に行われる夏越しの祓いでの「茅の輪神事」や、祇園祭などを支える「祇園信仰」でしょう。
いずれも疫病祓いの神様であるスサノオノミコトへの信仰心に基づきます。

「茅の輪神事」は備後国風土記に記された蘇民将来神話に基づく神事です。
「祇園信仰」は神道と仏教が合体した「神仏習合」の中で生まれた信仰で、蘇民将来神話のスサノオノミコトと同一視されるようになった牛頭天王(ごずてんのう)信仰です。
牛頭天王はもともと釈迦が説法したといわれる仏教の聖地「祇園精舎」の守護神で、やがて祇園精舎から名をとって祇園神と言われ、祇園社(現在の八坂神社)から勧請されて全国の祇園社や天王社で祀られるようになりました。
その祭礼は「祇園祭」「天王祭」「八坂祭り」など様々な名称で全国各地で今も継承されています。

スサノオノミコトへの信仰は風習や祭礼を通し、全国各地に広がっています。
疫病を祓い、健やかに生きることを願った先人たちが育んだ祈りの心を、未来にも継承していきたいですね。

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〔 Word : Keiko Yamasaki Photo : Hiroyuki Kudoh

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