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第197回 氷川風土記「祈りと感謝と祭政一致」

2月17日に行われた「祈年祭」。
「としごいのまつり」とも言い、「とし」は稲、「ごい」は祈りで、豊作を祈願するお祭りです。
大祭である為、神職は神社に籠り、参籠・潔斎を致します。

ところで、この祈年祭の祝詞には「御年の皇神等」への供物として白馬・白猪・白鶏があげられています。
9世紀に斎部広成が記した神道資料『古語拾遺』に、御年神の祭式の起源説話が残っております。

神代の頃、大地主神が耕作の日に牛肉を田人に食べさせていたことを御歳神が怒り、蝗(いなご)を放ってその田を枯らす祟りを起こしたそうです。
そこで白馬・白猪・白鶏を献じて謝罪したところ、御歳神がその災いを解く方法を教え、その通りに行ったところ田は豊かに実ったそうです。
この話が白馬・白猪・白鶏を奉る起源なのだ…ということです。

御歳神(ミトシノカミ)は、父を大年神(オオトシノカミ)にもつ神様で、「とし」は「としごいのまつり」の「とし」に通じます。
そして父である大年神は、須佐之男命(スサノオノミコト)が、大山津見神の娘の神大市比売を娶って生まれた二柱の神様のうちの一神です(もう一神は食物神である宇迦之御魂神・ウカノミタマノカミ)。
スサノオノミコトやその末裔は大地の実りを私たちにもたらしてくれた神様なのです。

大地の実り。
日本人は、春には祈年祭で大地の実りを祈り、秋には新嘗祭で豊作を感謝してきました。
これらは農耕を生命の要としてきた日本風土で生まれた農耕祭祀儀礼です。
生産物の収穫は国の運営=政治の行く末にもかかわることですから、これら祭祀は祭政一致として重要な国家儀礼に位置づけられました。

神さまへ実りを祈り感謝する。
昔も今もこれからも、この心を持ち続けなくてはいけません。

〔 Word : Keiko Yamasaki Photo : Hiroyuki Kudoh 〕



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