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苦手だった勉強を好きになったきっかけ

前回のお話で授業が苦手だったという話をしました。

小、中、高はほとんど勉強をした覚えがありません。
授業の内容が全然頭に入ってこないので、勉強というものが好きになるということは高校3年生までありませんでした。

高校3年の時、どうした!?

と思われましたね。

その話は、この後します。

先日、中学の同級生たちにあった時に、その中のひとりが僕と同じようなタイプで、授業の内容はまったく入ってこなかったと言っていました。中学入学当初は成績も真ん中より下(僕はもっと下)でした。
しかし、彼は中学のある時から勉強に目覚め、県内トップクラスの高校に進学し、その後、東大を目指していましたが、結局、慶應義塾大学に入学し、現在は大手企業に勤め、海外を飛び回っています。羨ましい限り。
彼に何があったのか、答えは僕の高校3年生の時に起きたことと一緒でした。

それは、「自分に合う勉強のやり方を見つけた」からです。
それからというもの、成績はぐんぐん上がり、有名大学に入学するまでになります。

僕は偏差値で言うところの40くらいの高校に通っていたわけですが、中学で勉強していなかったのが数字によく出ていますね。

高校に入学してからも勉強に身が入ることはなく、だらだらと好きなことばかりして高校生活を過ごしていました。
それはそれで楽しかったんですけどね。

しかし、高校3年生の時に勉強に目覚めるきっかけとなることがありました。

僕の通っていた高校では常識テストと呼ばれる、言葉通り世の中の常識を問うテストが数ヶ月に1回実施されていました。
通常の教科のテストでは毎回赤点やそれに近い点数だったことは言うまでもなく、しかし、動機は覚えていませんが、その常識テストを勉強してみるかとふと思ったのです。
この常識テストの問題は授業で習ったことがテストに出るのではなく、学校から渡された常識参考書的な本から出題をされます。
今まで、その本も開いたことすらありませんでした。
しかし、思い立ったが吉日、その日から自宅の自部屋に籠り、勉強を始めました。それから二週間くらいは勉強し、テスト本番を迎えました。
そこで僕は驚きました。
何に驚いたか。
それは、問題がすらすらと解けることに驚いたのです。
これまでそんな経験をしたことがなかったので、テストの問題を解きながら、興奮していました。
テスト時間はI時間でしたが、僕は30分程で全問題を解き終えていたと思います。
周りを見渡すと、まだ他の生徒たちはテストと戦っていました。
今までは、問題があまりにも解けずにテストを諦めて、他の生徒の様子を見ていたことは多くありましたが、今回は状況がまったく違います。問題を既に解き終え、まだテストに煩悶する生徒たちを高みの見物しているという状況です。
この常識テストは学年で成績順に順位が発表されていました。テストから数日後、順位が廊下の掲示板に張り出されてるのですが、その日は廊下がざわついていたのを覚えています。そして、友人が血相を変えて僕を呼びにきたのです。そして言いました。
「一ノ木、おまえカンニングしたろ!」
「してねーよ」
「じゃあなんであんな順位が上なんだよ」
「勉強したからだよ」
「お前が勉強なんかするはずねぇだろ」
「今回はしたの。で、何位だった」
「自分で見てこいよ。絶対カンニングだら」
まだカンニングと疑う友人を残し、僕は掲示されている順位表を見に行きました。
手応えはあったので、自信はありました。
廊下に行くと、まだざわざわとしていました。
僕がそこに現れると、そこにいる生徒たちのいろんな感情が入り混じった目線が僕に突き刺さります。
僕は生徒たちをかき分け、掲示板を見ました。

もちろん、1位から見ていきます。
1位はやはり頭のいいあいつでした。
2位も上位常連のあいつでした。
3位、一ノ木深緑

3位!
今までの僕の名前の隣には似つかわしい数字がそこにはありました。

正直、1位を取れると思っていたので、悔しい気持ちもありましたが、それ以上に自分を褒めたいという気持ちが湧き上がっていました。
その場でその数字と僕の名前を何回も見返し、感慨深くしていると、近くで女の子が泣いていました。その子を見ると、その子も僕を見て睨んでいるではありませんか。
僕はすぐに察しました。この子は僕みたい阿保に負けたことが悔しくて泣いているのかと。
僕は心の中で言いました。
「これが現実だよ」
僕が優越感に浸っていると、廊下の向こうから担任がずかずかと歩いてくるのが見えました。そして、僕に近づき言いました。
「一ノ木、ちょっと来い」
そう言われ、僕は担任に相談室へと連行されていきました。
そして担任は開口一番に言いました。
「カンニングしたろ」
「してねーよ」
「点数が高すぎる」
「勉強したんだよ」
「うそつけ」
「うそじゃねーよ。今回は勉強する気になってやったんだよ。そしたら見事に3位だよ。ほんとは一位狙ってだけどな」
「お前か勉強なんてするわけないだろ。授業も碌に聞いてないお前が。カンニングしたんだろ」
「してねーよ」僕は少しだけ怒りが湧いていました。そして言いました。
「じゃあ次も高得点だしてやるよ。カンニングなんてしてねーから、よく監視しとけよ」
それから数ヶ月後、常識テストの時期が来ました。僕は前回よりも勉強に励みました。
そして、挑んだテスト本番。今回とすらすらと問題を解いていく僕。そして、余った時間で見直し、終わりのチャイムが鳴るのを待ちました。
それから数日後、テストの結果が張り出されると前回よりざわつきが大きくなっていました。僕は急いで掲示板を見に行きました。
人混みをかき分け、掲示板を確認しました。

一位 一ノ木深緑

!!!!!!!!!!

遂にやってやったのです。

僕はそこで一位を取ったことの喜びと共に勉強をすることの喜びも同時に味わいました。

それからというもの、好きな教科だった英語だけは勉強をしようと、テスト前は自宅で勉強をし、テストもそれなりの点数を取れるよひ最終的にはなっていました。

僕の場合、授業であれやこれや教え込まれるよりも、自分のペースで勉強をすることが、自分にはあっていたということです。

僕のように不注意があると、通常の授業では置いてけぼりになることが懸念されます。そうならないためには、同じように不注意という特性がある場合は、その不注意が出ない環境で勉強することが当事者にとってはプラスになるのだと思います。学校はなんでも一緒にしようとしますがね。特に診断を受けていないけど、そういった傾向が見られる子たちは辛い思いをしているだろうなと察します。

だから、理想は子どもたちの特性に応じていろんな形態の授業が通常の学校にあればいいなと思うのです。

僕が勉強を好きになったきっかけはたまたまひとりで勉強してみたら、テストで割といい点が取れたことです。そこで自分にあった勉強の仕方、それから勉強をすることの喜びを知ることができました。

僕の場合は高校3年、慶應にいった友人は中学で自分にあった勉強方法を見つけましたが、それを見つけるのはなるべく早い方が僕はいいと思っています。早く見つけられたことで、その人の自信に繋がるからです。その自信はその人の強みになります。
そうなるようになにか勉強で躓いていたり、他のことで困っている子がいれば、周りの大人がこんな方法もあるだよと、助けてあげられると、その子のその後人生は劇的に変わると思います。

困難の種はすぐに摘んでしまいましょう。
そうすれば、すぐに自信の花がすぐ咲くでしょう。



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