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私がジャニオタを見つめ続ける理由

 夫から「どうして君はそんなにジャニーズに詳しいの?」と言われた。彼は関ジャニ∞の安田章大君のファンだ。対して私はジャニーズ事務所に推しがいるわけではない。そしてそれゆえに、彼らの情報を欠かさずチェックしている、というわけでもない。ではなぜ情報を持っているのかというと、ただひたすら彼らを応援するファンの動きを見ている。つまり私はジャニーズに詳しいのではなく、ジャニオタに詳しいだけなのだ。以前『手越祐也とアイドルにみるファンとミラーリング』というnoteを書いたのはそのせいだ。テキスト内にある通り、本人の活動はほとんど見ていない。

 かつて私も本域で応援している担当(いわゆる推し)というのがいた。諸々の事情で降りてしまい、その後本気で推している人はいなくなった。けれどとにかくジャニオタという文化が好きで、ずっとその界隈を見ている。だから、ヤスくん(安田章大くん)の心底推している夫が羨ましい。毎日毎日ヤスくんのことを考え倒している夫が眩しい。

 ジャニーズを応援することの何が楽しいかって、一番はファン同士の絡み、所謂ヲタ活だと思う。ジャニーズ事務所もそれを経営戦略としていて、LIVEの座席は住所が近い人同士を連番にさせたりしているらしい。帰り道が偶然一緒になれば、そこにはおのずと共通の話題が出るからだ。
 友人知人と話すときに最も重要となる「共通の話題」。これが常に熱いのが、ジャニオタである。何せジャニーズは日本一のエンターテインメントショーをずっと追求している。これまで私はジャニーズ関係なく様々なアーティストのLIVEを見たが、ジャニーズは本当に日本一だと思う。資金力、スタッフの技術、ファンの熱量、本人たちの才能と努力など、とにかくどの面を取っても頂点に立っている。日本でエンターテインメントを志す人なら一度は見ておいた方がいいとすら思う。日本一のLIVE、見ているファンも相当なエクスタシーを感じている。
 そして、自分の担当がどのようにファンへ愛やエンターテインメントを届けてくれて、それがどのように素晴らしいのか語りあう。この行為は他の遊びでは得られない異常な高揚感が得られる。日本一のエクスタシーの織りなすハイテンションである。
 ジャニオタでいると、みんなで団扇づくり、ミンティアづくり、自担(自分の担当)のいない生誕祭会、LIVE後の鳥貴族など、担当が生きている限り、延々と楽しいイベントが続く。コロナ禍でも変わらずに、インターネットを使った動画配信やSNSの更新などで全方位からジャニーズアイドルが甘やかしてくれている。一度なってしまえばとにかくめちゃくちゃ楽しいのがジャニオタなのだ。

 さらに、ジャニオタというのは、ジャニーズの凄さに直結する。とにかくそれぞれの熱意が強い。みんな当たり前のように「ジャニオタ専用アカウント」を持っているので、RTやいいねのフットワークがめちゃくちゃ軽い。いわゆる本垢と呼ばれるアカウントだと様々な人間関係が絡み合っていてなかなか気軽にRTできなかったりする。けれど彼女たちは違う。何なら推しグループごとにアカウントを分けている人も珍しくない。これは「バズり」をある種の評価軸としている現代では、アーティスト自身のコンテンツパワーへとつながる。ジャニオタは本当にすごい。

 そんなジャニオタたちは、自分の担当グループの雰囲気にめちゃくちゃ影響を受ける。以前にも書いたが、アイドルとファンは似るのだ。これはジャニーズに限ったことではないと思うが、グループ内で本人たちがギスギスしていると光の速さでファンもギスギスする。本当に実際に対面しているかのように連鎖していくので、人間ってすごいと思う。

 オタ活とは人間関係の真骨頂だなと思う。それに気づいてから、いつの間にかジャニーズではなくジャニオタの方に注目するようになった。前述の通り、担当次第でファンは不安定にも幸福にもなる。ファンの幸福度が高いアイドルは、どのような活動をしているのか?どのような発言をしているのか?というように、とにかくジャニオタ主体で考えてしまうのが現在の私だ。そうこうしているうちに、夫も娘もジャニオタになってしまった。彼らのことを知ってしまいさえすれば、どうしても好きになってしまうというものなのだと思う。

 もはや今ジャニーズが好きなのかジャニオタが好きなのかよくわからない。けれど幸せそうなジャニオタは見ているだけで楽しい。ただただ、楽しそうな人たちを眺めていたい、それだけなのである。

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