サルモ キカラ オチル
英語を勉強するために、オンラインで知り合ったオーストラリア人の友達がいる。
わたしはアニメもゲームも歴史も疎くて、日本人濃度薄めなので、せっかく日本好きの外国人に出会っても会話を盛り上げきれないことが多い。彼らの方がずっと、日本の文化や歴史について詳しい。
だけど、今回そのオーストラリア人、ここではBちゃんと呼ぼうかな(いくつか年上の男性だけど、どこか人懐こい感じがしてかわいいので心の中では勝手に○○ちゃんと呼んでいる)との初めてのビデオチャットで、日本の「ことわざ」が話題に上がった。これは言葉が好きなわたしにとってもおいしい話題。いろいろ教えてあげようと張り切って臨んだ。
Bちゃんにとって、誰かと日本語を話すのは初めてだそう。基本的には英語で話し、ちょっと照れながらも知っている単語を教えてくれた。
イソガシイネ、タシカニ、アツイ…そこで飛び出したのがあのことわざ「サルモ キカラ オチル」だった。
Bちゃんはすごく真面目に言っていたのだけど、まさかこう来るとは思わなくて、おかしくてつい大笑いしてしまった。どうやら、Bちゃんが日本語の勉強のために聞いているPodcastで紹介されていたらしい。
わたしはわたしで、その意味を小学生レベルの英語で頑張って説明する。
うーん、文法や言い回しはさておいて、一応Bちゃんはその説明に納得していた。
「猿も木から落ちる」が一番好きなのだそうだが、その後も色々と出てきた。
これはほんの一部で、他にも「豚に真珠」や「自業自得」「早起きは三文の徳」など、さまざまなことわざをめちゃくちゃな英語と身振り手振りで説明した。中には英語にも似たニュアンスの言葉があるということも教えてもらって、とても興味深かった。
Bちゃんは時折メモを取りながら、真剣に聞いてくれたけど、果たしてわたしの説明は十分だっただろうか。少なくともわたしにとってはいい英語のスピーキング練習になりました、Bちゃん、ありがとう。
それからもう一つ、相づちの「たしかに」のニュアンスを聞かれてとても困った。
I seeともYeahとも違う、タシカニ。
共感を示す言葉でありながら、話を聞いていない時の便利な相づちでもある、タシカニ。
これもPodcastで覚えたのか、Bちゃんが妙なタイミングで「タシカニ」と言っていたので、今のはちょっと違うかもと伝えたものの、何が違うのかを説明するのは難しかった。
仕方がないから、正解の時は「OK」、タイミングが変だったら「NO」と言って実践で覚えてもらうことにしたら、Bちゃんのタシカニ精度がだんだん上がっていった。
こういうことは、テキストでは学べないから難しい。
コミュニケーションツールとしての言葉は、結局は使って体得するしかないのだ。
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